ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

オーディション

2011年04月27日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 米国のエンターテインメント・ウィークリー誌が最近20年間に製作されたホラー映画のランキングを発表しましたが、日本映画、「オーディション」が見事1位に輝きました。
 ちなみに日本のホラーでは他に「リング」が10位に入っています。
 昨夜「オーディション」をDVDで鑑賞しました。
 原作は村上龍の同名の小説です。

 映像制作会社を経営する青山は7年前に妻を亡くし、高校生の息子と二人暮らし。
 そんな彼を心配した親友の映画プロデユーサーが映画製作のオーディションと称して青山の好みの女を探そうとします。
 応募書類を見て、青山は麻美というミステリアスで薄幸な女性に目を奪われます。
 実際にオーディションで会ってからは、もはや麻美のことしか考えられなくなります。
 そして何度もデートを重ね、青山はプロポーズすることを決意するに至ります。

 ここまでは中年男と妖気を放つ若い女との純愛物語。

 しかし、麻美の素性を探るうち、奇妙なことばかりが起こっていることに気付きます。 
 アルバイトをしているはずの銀座のクラブは1年以上前にママが殺害されて閉じていたり、麻美が少女時代通っていたクラシックバレエ教室の先生は両足がなかったり。
 このあたりから、純愛物語は暗転し、怖ろしいサイコ・サスペンスの様相を呈し始め、ほどなく血しぶき舞うスプラッターにまで高められます。

 この映画の特徴は、麻美を演じたトップモデルの椎名英姫の不気味なまでの美しさと存在自体から漂う妖気をうまく引き出したことでしょう。
 何も言わずに立っているだけで妖しいオーラを放つのです。

 それと、抑えた演出。
 セリフ回しはささやくように、BGMも控えめ、麻美が中年男に針を刺しならがら「きり、きり、きり、きり、痛いでしょう」という名ゼリフですら、ささやくような小さな声で、それはまるで恋人同士の愛の言葉のようです。

 ロッテルダム映画祭では途中退場する客が続出し、ショックのため病院に運ばれる客まで出、客の一人から三池監督が「悪魔」と罵られるほど過激な残酷シーンがありながら、見事批評家賞を受賞しました。

 私は「リング」のほうがホラー映画としての完成度は上だと思いますが、麻美を演じた椎名英姫の演技ではなく素なんじゃないかと思わせるほどのハマりぶりが、この映画が米国のホラーファンから熱狂的支持を受けている理由だと思います。
 妖しげな美人ほど怖ろしく見える存在はないのはなぜでしょうね。
 
 このような異色作が米国で高く評価され、わが国ではあまり知られていないのは日本のホラーファンとして残念です。

オーディション [DVD]
石橋凌,椎名英姫,松田美由紀,大杉漣,石橋蓮司
角川エンタテインメント
オーディション (幻冬舎文庫)
村上 龍
幻冬舎
リング (角川ホラー文庫)
鈴木 光司
角川書店
リング [DVD]
鈴木光司,高橋洋
角川映画

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