ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

世に争いの種は尽きまじ

2011年04月25日 | 社会・政治

 石川や 浜の真砂は尽きぬとも 世に盗人の 種は尽きまじ   石川五右衛門 

 盗人の種は尽きないと五右衛門は詠みましたが、世に争いの種が尽きることもないようです。

 世界遺産のヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア」周辺の国境未画定地域をめぐって対立するタイとカンボジアが、ここ数日国境付近で小競り合いを続け、両軍に死傷者が出ているそうです。
 カンボジアは悪名高いポル・ポト政権時代を経て、今は王政が復古し、仏教を奉じる立憲君主制国家。
 カンボジア憲法には、内政不干渉、紛争の平和的解決、永世中立が明記されています。
 タイは王を神聖不可侵とする憲法を持ち、日本の明治憲法との類似がみられますが、仏教を国教とし、国王を仏教の庇護者としています。

 同じ上座部(小乗)仏教を奉じる王国で、方や紛争の平和的解決を憲法に明記しながら、結局領土の話になると、銃火を交える仕儀に相なってしまうわけですねぇ。
 カンボジア王国に言わせれば、タイが侵略してきたから自衛のために戦ったので、憲法違反ではない、ということになるんでしょう。

 領土をめぐって当事国がナーバスになったりヒステリックになったりするのは、わが国の北方領土返還運動を見ても、韓国の竹島に対する感情的な対応を見ても、十分理解できます。

 1980年代にはフォークランド諸島をめぐって英国軍とアルゼンチン軍がガチンコ対決になりました。
 第二次大戦後、精強で現代的な軍隊を持った国家同士がまともに戦った最初で(今のところ)最後の戦争だったでしょう。

 真に真に、争いの種は尽きません。

 カンボジアのように、平和的な憲法を持っていたって、やる時はやっちゃうんですよねぇ。
 目の前に危険が迫った場合、法律談義をしている暇はなく、反撃せざるを得ないのは当然。
 国民の生命、財産が脅かされてなお、法律の条文に拘っているようでは、政治家として失格だし、そのような政治家を持った国民は真に不幸というものです。

 彼我に鑑みて、わが国とカンボジア王国に何ほどの差がありましょう。
 同じ立憲君主国家、同じ仏教国、同じような平和的憲法を持って、ここ20年は平和に暮らしてきました。
 そうであるならば、わが国が領土紛争に巻き込まれたとき、わが国がとるべき態度は結局のところ一つしかありません。
 つまり、やられたらやり返せ。
 おそらくわが国民はその時、頭に血が昇ってやれやれどんどん、という雰囲気になるでしょう。

 今震災を巡ってセンチメンタルな報道や過剰な自粛が横行し、震災復興とさえ言えばぐうの音も出なくなってしまうような雰囲気がわが国を包んでいるように。

 やれやれ。

石川五右衛門(上) (光文社文庫)
赤木 駿介
光文社
石川五右衛門(下) (光文社文庫)
赤木 駿介
光文社

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 女性的男子 | トップ | 殺人犯 »
最新の画像もっと見る

社会・政治」カテゴリの最新記事