今日はだらだらと過ごし、2本目のDVDを鑑賞しました。
今ではすっかりホラー映画の手法として定着し、やや食傷気味のPOVの手法で撮影されたホラー「アパートメント:143」です。
妻を事故で亡くし、男で一つで4歳の息子と思春期の娘を育てるホワイト。
妻が亡くなってから自宅で物が飛んだり照明が点滅するなどの怪奇現象が頻発したため、古ぼけたアパートに引っ越します。
しかし、引っ越して2週間もすると、またもや奇妙な現象が起こるようになり、しかもしだいに激しくなっていきます。
困り果てたホワイトは、怪奇現象を研究する超心理学者のチームを呼び、調査を依頼します。
この手の映画はなかなか怪奇現象を登場させず、引っ張ってから一気に異常な世界に突入するというのが定番ですが、この作品、80分という短い尺のせいか、最初からガンガン怪奇現象が起こるという大サービスをしてくれます。
当初は妻の霊が巻き起こしているかのように見えますが、チームのボスである学者は、心霊現象ではなく、生きている人間のストレスや不安が原因となって引き起こされるポルターガイスト現象の激しいやつだと結論付けます。
そして、当初は貞淑で明るく、人望のある妻だったと語っていたホワイトが、妻は病気をしてから人が変ったようになり、家事も育児もせず、自宅に男を引っ張りこんでは浮気を重ねるメス豚だったと涙ながらに語ります。
妻は統合失調症に罹患していたのでした。
しかも処方された薬を飲まず、病状はみるみる悪化し、最後は車ごと大木に激突して亡くなっていたのです。
思春期の娘は母親が自宅のベッドで間男とよろしくやっている場面を目撃。
激しい精神的ショックを受けます。
しかし非難は母親には向かず、母親を不幸にした父親のせいだと言って父親をなじるのです。
学者の見立てでは、娘も統合失調症を発症しており、その負のエネルギーがポルターガイスト現象を起こしていると結論付けます。
また、娘の治療は難しいだろう、とも。
なんともやる瀬ないラストです。
一般にポルターガイスト現象は思春期の少年少女がいる家でよく起こると言われます。
思春期の子供が持つエネルギーは膨大で、しかも傷つきやすく、怒りや不安にどう対処してよいか分からないため、エネルギーが爆発するのだ、とも。
学者は、この世に超自然現象は存在せず、単に科学が解明していない自然現象が存在するだけだ、とホワイトに説明します。
私もそうだと思います。
存在すれば、それは超能力ではなく能力、超自然現象ではなく自然現象であるに違いありません。
ただこの映画、気になる点があります。
統合失調症という精神疾患に対する偏見を助長する惧れがあるということです。
統合失調症も今ではずいぶんと良い薬が開発され、病気を抱え、治療を受けながらも社会で働いている人がたくさんいます。
もちろん重度の場合は精神病院に何年も入院ということになりましょうが、それはあらゆる病気がそうなので、一人統合失調症が特別なわけではありません。
その点がこの映画の不愉快な点ですねぇ。
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