ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

花嫁人形

2010年07月31日 | 思想・学問

 冥婚という風習をご存知でしょうか?
 日本や中国、韓国などの東アジアに広く見られる、死者の結婚です。

 結婚することなく亡くなった息子や娘のため、花嫁人形や花婿人形を寺に奉納して結婚した、と見なしたり、人形を使って実際に結婚式を行ったり、という儀式です。

 東アジアでは祖霊信仰が盛んなので、結婚せず、子孫も残せなかった無念の思いを晴らそうということのようです。
 しかし実態は、親や親族の癒しのためでしょう。
 若くして死んだ者が、祖先になりたい、などという欲求を持っていたかどうかなんてわかりませんし。
 仏壇にお供え物をするのと大して変わりません。

 ただ、奉納された人形を見ると、なかなか迫力があります。
 私は写真で見ただけですが、生前の写真と、一対の花婿・花嫁人形が並べられているのは、そこに強い親族の思いが込められているようで、その情の強さに、戦慄すら覚えます。

 ひるがえって現代、アラサーだとかアラフォーだとか、婚活だとか負け犬だとか、ずいぶん結婚しない、あるいはできない妙齢の男女が増えています。
 さらに、日本では認められていませんが、同性同士の結婚や、籍を入れない事実婚など、結婚にまつわる事態は多様化しています。昔「週末婚」というドラマがありました。単身赴任というのも、常識的な結婚の形態とは異なっています。

 一対一の異性間における婚姻が、普遍的なスタイルではないことは、歴史や地域差を見れば明らかですから、個人の、またはカップルの意思によって、どのような形態を取ろうが自由です。

 しかし、わが国を含めた東アジアの多くの地域で、死んでなお、常識的な結婚をさせてやりたい、という遺族の強い願望が今なお存在することは、現代の結婚事情を考えるうえで、案外重要なヒントを与えてくれるように思います。

 
死者の結婚 祖先崇拝とシャーマニズム (北大文学研究科ライブラリ 3)
櫻井 義秀
北海道大学出版会
 
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 上記の本は、読み応えがあります。新しい発見があるでしょう。


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三か月

2010年07月30日 | その他

 今日で無事、復職から三カ月が過ぎました。
 火曜日に体調不良で休みましたが、三か月で有給を丸一日使ったのはこの日だけです。
 予想以上に順調です。
 有給はまだたくさん残っているし、何より通えていることが自信につながっています。
 8月。
 暑いと体が重くなりますが、なんとか乗り越えたいものです。


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時とともに

2010年07月30日 | 文学

 何事も、古き世のみぞ慕わしき。今様(いまよう)は、無下(むげ)にいやしくこそなりゆくめれ。

 鎌倉時代のブログともいうべき、「徒然草」第22段の冒頭です。
 はるか鎌倉時代から、人々はその当時の風俗や言葉遣いを嘆いていたことが分かります。

 現代日本語も、短い間に変化しました。
 古い映画やニュースで語られる日本語は、今とはずいぶん違います。
 まず、早い。
 小津安二郎や黒澤明の映画など、早口で、かなりきつい東京弁です。
 書き言葉で言えば、明治から始まった口語文。これの普及で、古文漢文をすらすら読むことは、現代人には困難になりました。 
 戦後、新仮名遣いが始まり、日本語の変化は加速しました。
 怖ろしいことに、敗戦のショックかコンプレックスか知りませんが、敗戦直後には国語教師の間で日本語をすべてローマ字化しようという運動さえありました。

 そして、現代。
 いわゆるギャルと呼ばれ、自らもそう称している頭の弱そうな若い女性が放つ言葉は、私のようなおじさんにはとても下品に聞こえます。
 もはやら抜き言葉などは本来の言葉に取って代わりました。
 近い将来、をきちんと発声しただけで、年寄り扱いされるかもしれません。

 しかし私は、時の流れとともに変化していく言葉遣いや風俗を、微笑ましく見ようと思うのです。
 人間本来の性質なんて、表面が変わっても、簡単に変わるはずもありませんから。

 冒頭の兼好法師の言葉によって、若さを失った中高年は、いつの時代も同じように移ろいゆくただ今現在を嘆いている、と気付かされます。

徒然草―付現代語訳 (角川ソフィア文庫 (SP12))
吉田 兼好,今泉 忠義
角川学芸出版
ヘタな人生論より徒然草 (河出文庫)
荻野 文子
河出書房新社

 


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2010年07月29日 | 思想・学問

 近頃は、どこへ行っても、誰に聞いても、金がないのオンパレードです。

 国立大学等の教育研究機関は、平成16年度の法人化以来、毎年度1%予算が削られ、電気代すらおぼつかない状況です。1%というと、中規模総合大学で毎年5億円もの予算が削減されている計算になります。

 その代り、グローバルCOEやら科学研究費補助金やらの競争的資金獲得を目指し、国公私立取り混ぜてパン食い競争を繰り広げているような状況です。しかもそのパンは、日持ちがしないのです。長くて5~6年。獲得できたとしても、すぐに次の競争に参加しなければなりません。
 巷間言われているように、そう遠くない将来に、競争力の弱い大学、特に地方の単科大学などは、ばたばたと潰れていくでしょう。

 昨今、ゆとり教育は失敗だったとばかり、詰め込み教育が復活しています。
 鉄は熱いうちに打て。
 暗記できる若いうちにできるだけ詰め込むべきでしょう。
 バックグラウンドになる知識がなければ、まともな判断はできません。

 それならば高等教育はどうか?
 有名国立大学でも、理系の学生の数学や物理などの基礎知識が不足しており、高校レベルの補習をやっているような状況です。
 今のような、目先の成果を求める競争的研究ばかりやっていたのでは、いずれ日本という国家自体が沈没していくでしょう。
 教育は国家百年の計。
 それには何より、先立つものが必要です。
 日本の教育予算は先進国の中で著しく低いことは、何度も指摘されています。
 しかし、民主党の教育行政の姿は、今だ、見えてきません。

 年金・医療も金がない、半島情勢きな臭い折、防衛費も足りない、犯罪者が増えているのに刑務所が足りない、そもそも検挙率が落ちているのに警察にも金がない。ないないづくしが今の日本です。

 天下り団体の廃止やら埋蔵金やら、無駄を省けば金は出てくる、と民主党は言っていましたが、事業仕分けをしたって、出てきた金など微々たるものでした。

 役人はついた予算は使い切るのが本能で、しかも翌年度の予算が削られるのを極端に嫌います。
 ここは予算の単年度主義を改めて、金を残した部署が表彰されるようにしたらどうでしょう。
 役人は大方針が決まれば驚くほど忠実にその任務を遂行します。

 ただ、憲法改正が必要なんですよねぇ。
 議論百出の9条改正は将来の問題として棚上げ、ということで、どうにか与野党一致してくれませんかねぇ 

大学破壊―国立大学に未来はあるか
全国大学高専教職員組合
旬報社

 

国立大学・法人化の行方―自立と格差のはざまで
天野 郁夫
東信堂

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2010年07月28日 | その他

  先ほどNHK-BSで当代一流の売れっ子たちによる歌番組が放送されていました。
  アイドル だったり、ロックだったり。
 でもどうしてこんな浅はかな、自慰行為のような歌ばかりなんでしょうか?
 
 じつはそのことは、ずいぶん昔から感じていた疑問です。
 私が幼いころ、ピンクレディーやら新御三家やらの歌が、しょっちゅうテレビから垂れ流されていました。
 同時に、貧乏くさい四畳半フォークだの、思想性があるという触れ込みのロックだのも。

 しかし私にはどれも、浅はかな自己憐憫にしか聞こえませんでした。

 それはきっと、レコードからCD、はてはインターネット配信と、大量の歌が、大勢に同時に聞かれるようになってからではないかと推測しています。

 つまり、歳月による審判を受けていないのですね。

 それらは時代をうまく捉えたのかもしれませんが、歌が持つ本質的な芸術性を獲得し得ていない、ということだと考えます。

 古来わが国では、歌といえば、和歌であり、それが連なった連歌などでした。
 それは短い定型詩であるがゆえ、多くの制約と約束事によって、いやでも言葉を選ぶことに慎重にならざるをえません。

 現代の流行歌にみられるような、あまりに直截的な表現、例えば好きだの愛してるだの、あるいはがんばれだのという努力を強いるような文言は、三十一文字の制約のなかでは、とても使えません。
 それを使えば、歌は徒らに下品になってしまいます。
 そこで、暗喩や、本歌取りのような高度な技巧が凝らされ、三十一文字はごくまれではありますが、珠玉の美しさを輝かせるのです。 

 正岡子規は古今や新古今のような技巧めいた歌を嫌い、「歌よみに与ふる書」の中で万葉調への回帰をうったえました。
 明治を迎えた新しい歌は、万葉とも新古今とも違うものになるのは必然で、そのような願望はむなしいばかりです。
 そして今では、自由詩ではなぜいけないのかと思ってしまう、ほとんどおふざけのように思える現代短歌が現れています。これらが時代の流れを生き残るのか、甚だ疑問です。

 さてそこで、現在テレビなどで垂れ流されている歌の問題は、高度な大衆化にあると思われ、これは修正不可能です。

 きっと浅はかに思われる現代の歌のなかにも、千年の風雪に耐えうる光り輝く珠玉の言葉が隠れていると信じましょう。

歌よみに与ふる書 (岩波文庫)
正岡 子規
岩波書店




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法務大臣

2010年07月28日 | 社会・政治
 これまで死刑執行を行わなかった千葉法務大臣が、今朝、二名の死刑囚の刑を執行させたそうですね。
 よく大臣の任期が終わりに近づくと、死刑が執行されると聞きますが、本当にそうですね。
 千葉法務大臣は先の参議院選挙で落選しており、9月の民主党代表選挙後の引退が確実です。

 死刑確定囚に死刑執行の命令を出すのは法治国家の担当大臣として当然ですが、麻生内閣の森法務大臣が飯塚事件の死刑囚の死刑執行を命じたのは、いやな感じです。

 飯塚事件は、再審で無罪となった足利事件と同じく、まだ技術的に未熟だった20年ほど前のDNA鑑定を証拠として、死刑判決が確定したものです。
 しかも、飯塚事件の死刑囚は、足利事件と違い、どんな取り調べを受けても、一貫して無罪を主張し続けた、とのことです。
 再審請求の準備中の出来事で、弁護士もショックでしばらく立ち直れなかったとか。
 今、死刑執行後ではありますが再び再審請求を行う準備中だそうです。
 仮に再審が認められたとしても、もう死刑は執行されてしまいましたし、なんとも空しいかぎりですね。

 この件については、国家公安委員長が「死刑執行は残念だ」と言ったり、鈴木新党大地代表が国会で質問したりして、政府が一致して国家権力を濫用した、ということではなさそうです。
 少なくとも、一部国会議員は、冤罪の可能性に言及しています。

 このような場合、法務大臣としては、職務だからと右から左に署名してはいけませんね。
 死刑執行は法務大臣が署名しなければ行えないわけですから、膨大な裁判資料を精査して、かけらも疑う余地はない、と確信してからでないと、取り返しのつかないことになります。

 世界の大勢は死刑廃止に動いていますね。
 日本では平安時代に事実上、死刑が停止されましたが、武士の世になってから今日まで、死刑は存続しています。
 多くの人の中には、矯正不可能な邪悪な人間も存在するでしょう。
  
 しかし終身刑を導入すれば社会的に抹殺することは可能なのですから、この際終身刑を導入し、死刑は廃止してはいかがでしょう?

元刑務官が明かす死刑のすべて
坂本 敏夫
文藝春秋

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プレイ

2010年07月28日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はDVDで「プレイ」を観ました。
 舞台は現代日本の廃校ですが、そのテイストは、純日本風の怪談ですね。

 麻薬の売買をするための資金を得ようと、女の子を誘拐する男女。
 しかし、女の子の家に電話をかけると、娘は一年前に亡くなった、と言われます。
 ではこの少女はいったい何者か

 母校でもある廃校で、怨みを残して死んだ者、生者を温かく見守る霊、怯える誘拐犯とその一味が織りなす浪漫的恐怖物語。
 誘拐犯同士の裏切り。男女関係のもつれ。
 複雑な要素が混ざり合って、物語は盛り上がっていきます。

 ホラーファンには抑えた演出が物足りないかもしれませんが、血がやたらと出て、むやみに人が死ぬハリウッドのホラーに食傷気味だった私には、ちょうど良い味わいでした。

プレイ/pray [DVD]
小川智子
ポニーキャニオン

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ピースボート

2010年07月28日 | 社会・政治
 辻元議員が社民党を離党したそうですね。

 辻元議員といえば、ピースボートを早大在学中に立ち上げた左派の論客というイメージが強いですね。
 野党時代、自民党の大物を激しく責める姿をよく国会中継で見ました。

 それなのに、与党になって、しかも国土交通副大臣として閣内に入ったせいで、与党の旨味と面白味を味わっちゃったのでしょうか。

 オフィシャルブログで、「現実との格闘から逃げずに国民のための仕事を一つずつ進めていきたい」と語っていました。

 当たり前だろ、と突っ込みたくなりましたが、鳩山前総理も「勉強すればするほど沖縄の米軍基地が大事だとわかった」と言っていましたから、与党になって初めて気づくことも多いのかな、と納得してみたり。

 無所属で活動するとは言っていましたが、社民党が政権離脱したことが離党の理由だそうですから、近いうちに民主党入りするんでしょうね。
 あのヒステリックな辻元節が聞けなくなるかと思うと残念です。
 しかし政権与党のなかで仕事をしたい、ということですから、これまでの、議論すら許さない頑なな護憲思想や、外交・安保音痴は改めていただかなければなりますまい。
 
 そうじゃないと、選挙に落ちちゃうよ。

 落ちたら、内縁関係にある元日本赤軍の男と、昔懐かしいピースボートで地球一周を楽しみなさい。

へこたれへん。
辻元 清美
角川書店

なんでやねん
辻元 清美
第三書館


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となり町戦争

2010年07月27日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 「となり町戦争」を観ました。
 サスペンスのコーナーにありましたが、コメディですね。それもあまり出来の良くない。
 
 田舎の隣接する町が戦争を始め、それにまつわる悲喜劇を描こうとして、それが陳腐になってしまった、というところでしょうか。

 筒井康隆の小説、「東海道戦争」と設定がやや似ていますが、「東海道戦争」は関西と関東の戦争を描いてスラプスティック・コメディに徹しているのに対して、「となり町戦争」は安い反戦思想みたいなものが見えて楽しめませんでした。

 ただ、主人公の上司(砂漠の国で戦争経験あり)が、「戦争って、ハリウッドのスターがやるんじゃなくて、そこらのおっさんや若造が女子供を巻き込んでやるんだよね。殺し合いじゃなくて、ひょいっと死んじゃうの」と言っていたのが印象的でした。

となり町戦争 [DVD]
江口洋介.原田知世.瑛太.菅田俊.飯田孝男.余貴美子.岩松了.小林麻子
角川エンタテインメント

 

東海道戦争 (中公文庫)
筒井 康隆
中央公論社


 


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チェアーズ

2010年07月27日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はDVDで「チェアーズ」を観ました。
 最近流行りのシチュエーション・スリラーです。

 オーディションと称して集められた6名の男女が密室に閉じ込められ、そこにいたひどく不潔な男が言うままに、10分おきに流れる童謡を合図に椅子取りゲームを始めます。
 そして、椅子に座れなかった者は椅子を一つ持って密室から出ていくのです。
 外で何がおきているのか

 雰囲気はダークな感じで良いのですが、あまりにも想像どおりの展開に、突っ込みたくなりました。

 わりと気楽なシチュエーション・スリラーです。

チェアーズ [DVD]
リン・グエラ
タキ・コーポレーション

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ぽか休

2010年07月27日 | 精神障害

 今朝、目が覚めたら、体が変に重く、背中や腰が痛みました。
 それと、目を開けていられないほどの疲れ目。
 やむを得ず、職場に電話して休むことにしました。
 せっかく復職以来皆勤を続けていたのに残念です。
 
 今、風邪薬を飲んだせいか、少し良くなりました。
 風邪だったんでしょうかね?

 あえて前向きに、勇気ある休暇と考えましょう。
 無理をして、もっと体調を崩しては本末転倒ですからね。


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2010年07月26日 | 文学

 今日は土用の丑。

 本来ならばうなぎを食すべきところ、ひねくれ者の私はもう一つの夏の味覚、鰹をいただきました。
 もちろん、たたきで。
 近頃は刺身も流行っていますが、やはりほんのりと香ばしいたたきに軍配が上がります。

 目には青葉 山ほととぎす 初がつお

 有名な山口素堂の句です。
 夏の季語がいくつも並んで、豪華な感じがしますね。
 ほとんどこの一句をもって知られている俳人とさえ言えます。

 しかし今年の夏は、死人が続出する猛暑で、この句のように優雅に命の盛りを楽しむわけにもいきますまい。
 まずはおのれの健康を守ること。さらには死なずに秋を迎えることが肝要です。 

 特にご高齢のみなさまには十分に水分をとり、エアコンを積極的に使われますようにお願いします。
 


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嗜好品

2010年07月26日 | その他

 10月からタバコ税が増税されるそうですね。

 もともとは日清戦争後の税収不足から始まったタバコ税。
 当初は税金がたくさんほしくて始めたものでした。

 それがここ15年ほどは、喫煙者を減らして健康を増進するために、喫煙者に対する懲罰的な意味合いを持つ増税に変化してきました。
 そして実際、増税しても税収が少しずつ減るという現象が起こり、喫煙者を減らすという目的には一定の効果があるようです。
 そして喫茶店やレストランでも喫煙席は厳重に分けられ、会社によっては建物の中で吸うことを許されず、玄関先に灰皿を設置して、雨が降ろうが炎暑だろうが社員が大挙してわずかな灰皿に群がる、という珍妙な光景もおなじみになりました。

 そもそもタバコは嗜好品の一つで、酒やコーヒー、各種お茶と同列であったものでした。
 それが煙が出るせいか、これを嗜まない人々から蛇蝎のように嫌われ、今日の仕儀と相成りました。
 まるで禁煙と言えば誰も文句が言えない、ファシズムのようです。

 そのうちタバコ税は増税を重ね、一本一万円もするような高額品になり、一部のお金持ちだけのものになるかもしれません。

 一箱百円なんて半端な値上げをされると、喫煙者としては困ります。
 絶対にタバコを止められるよう、一箱10万円くらいにして、この世からタバコを撲滅してほしいものです。
 ついでに睡眠障害を引き起こすコーヒーや、肝臓や胃に悪いアルコールや、高脂血症を引き起こす油っこいものや、歯の健康を害し血糖値を上げる甘いものなども、手が出ないほどに高い間接税をかけてほしいものです。

 いやいっそ、それらの販売を禁止したらどうでしょう?

 かつて米国が禁酒法を施行したように。

禁煙ファシズムと戦う (ベスト新書)
小谷野 敦,斎藤 貴男,栗原 裕一郎
ベストセラーズ

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アンチボディ

2010年07月25日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 連日の猛暑、今日は部屋を寒いくらいに冷房を効かせ、サスペンス・スリラーを楽しみました。
 「アンチボディ」です。

 連続殺人鬼の逮捕から物語は始まります。
 被害者の下着に付着した精液が、犯人のものの他、もう一人発見されたのです。
 ドイツののどかな村を舞台に疑心暗鬼のサスペンス劇が始まります。
 善人そのものの警官とその家族、警官の義理の父、連邦警察、村人たち、いったい誰が共犯者なのか?
 犯人は語ろうとしません。
 「ダーク・ナイト」のジョーカーのように、彼の目的は悪の存在をこの世に知らしめることなのです。

 キリスト教徒の善悪の意識というのは狂信的でさえあります。

 この世に絶対悪も絶対善も存在しないのに。
 この世にあるのは、善でも悪でもない、自然の法だけなのに。

 それでもこの映画は、重層的で魅力的でした。

ANTIBODIES-アンチボディ- (死への駆け引き) [DVD]
ヴォータン・ヴィルケ・メーリング,アンドレ・ヘンニック,ハインツ・ホーニヒ,クリスチャン・フォン・アスター,ノーマン・リーダス
株式会社アネック

 

ダークナイト 特別版 [DVD]
クリスチャン・ベイル,マイケル・ケイン,ヒース・レジャー,ゲーリー・オールドマン,アーロン・エッカート
ワーナー・ホーム・ビデオ

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能の雅 狂言の妙

2010年07月24日 | 美術

 
 
 今日は猛暑をおして六本木、サントリー美術館に出かけました。
 「能の雅 狂言の妙」展です。

 おそらくこれほど大規模な能・狂言に関する展覧会は、史上初ではないでしょうか。
 衣装、面、小道具、大道具、それに絵巻まで、展示物は多岐に渡っており、私はしばし陶酔しました。
 国立能楽堂が集めたコレクションということで、私はそう広くもない美術館を二時間近くもさまよったのでした。

 能楽は演劇や舞踊としてだけではなく、それに関わるあらゆるものが美的なのです。
 
 その洗練された美は、私のわずかな知識からすると、世界に例を見ないものです。
 
 このような幻想的な総合芸術を生みだした我がくにの祖先たちの優れた感性には、驚嘆せざるをえません。
 その芸術性は、古典でありながら前衛的で、先進的です。

 三島由紀夫は「近代能楽集」を著しましたね。
 能は今なお、進化し続けているのです。

近代能楽集 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社




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