ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

昼ドラの顔、逝く

2011年04月27日 | その他

 田中実が自殺した、との一報に触れました。
 彼は主婦向けの午後の早い時間のドラマにによく出演していて、病気休暇で休んでいるとき、ぼんやりと眺めていました。
 悩みなど何もない、といった顔で明るく前向きな、爽やかな好青年をよく演じていました。
 うつ状態の私はそんな彼を見て、非常に白けた気分になったことを思い出します。

 そのご本人が、人知れず悩みを深め、自ら縊れ死ぬとは、痛ましいことこの上ありません。
 44歳で、三つ年上の奥様がいて、高校生と中学生の子供がいたと聞きました。
 ドラマの仕事は半年先までスケジュールは一杯。
 外面的なことだけを見れば、人も羨む境遇だとしか思えませんが、その彼がなぜ?

 いつだったか、精神科医が、武士の切腹や自爆テロを行うテロリストなどを除いて、自殺する人はその前後激しいうつ状態にあり、服薬と休養によって良くなる可能性が高い、と言っていました。
 でもまさか自分が精神病に罹患しているなんて思いもせず、絶望的な気持ちをどうにもできず、自殺にいたってしまうのですね。
 人ごととは思えません。
 うつ状態が激しいと、死ぬ元気さえないのですが、少し動けるようになると、死ぬということがとても魅惑的に思えてくるのですよねぇ。
 まさに悪魔か死神が耳元でささやいているのですよ。
 「死んだら楽だよ。あれもこれも、みいんな、解放されるよ」
 と。

 田中実という役者が44歳という年齢で死を選んだ本当の理由は、結局のところ誰にもわからないでしょう。
 もしかしたら本人にもよくわかっていなかったのかも。
 人間、不可解な行動をとることがありますからねぇ。

 私は30歳の時に職場の後輩で27歳の男性を、38歳の時に精神障害者の自助グループの友人で39歳の男性をそれぞれ自殺で喪いました。
 自殺のニュースを聞くたびに、この二人のことを思い出します。
 私ですらそうなのですから、家族や親族に自殺者がいる場合、心の傷は深いでしょうねぇ。
 
 今生きている私と、自殺が成功してしまった後輩や友人との違いは何なのでしょう。
 また、何度も自殺未遂を繰り返しながら、結局死にきれずに天寿を全うする人との違いは?

 私は7年に及ぶ双極性障害との付き合いで、自分だけを大事にしようと考えるようになりました。
 身を粉にして働いたって、徹夜したって、土日にサービス出勤したって、何も良いことはありません。
 与えられた職務だけを誠実にこなして残業は一切せず、貰えるものを貰えばそれで十分。
 職場に貢献しようとか、出世しようとか、そんなことは私にとって発病前の懐かしい思い出でしかありません。
 そんな風にご隠居気分で働くには、定年まであと19年、あまりに長いですねぇ。
 

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