花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

アジア大会男子サッカー決勝・日韓戦

2018-09-03 20:58:59 | Weblog
 9月1日の夜、アジア大会男子サッカーの決勝戦、日韓戦がテレビ放映されました。次の日は山へ行くため早起きするので、「前半戦だけでも見るか」と軽い気持ちで見始めたのですが、双方の気力、体力を振り絞った戦いを見ているとテレビを消すことが出来ず、前半後半90分プラス延長の前後半30分の計120分を見ることになりました。韓国の勝利でゲームが終わった時は日付が変わろうとしていました。
 翌日の朝日新聞には、「U21の日本が、『本気』の韓国に食らいつき、そして力尽きた」と書いてありました。ワールドカップ・ロシア大会出場メンバーを含む韓国は、21歳以下の国内組だけで固めた日本より戦力的には上だったようです。また記事には、「優勝すれば約2年間の兵役が免除される韓国の気迫はすさまじかった」ともありました。兵役免除のために韓国のスポーツ選手が必死になるとは、時々耳にすることです。しかし、この記事の文脈で兵役免除に触れているのには、いささか違和感を覚えました。「兵役免除を賭けて鬼気迫る韓国に、果敢に挑んだヤングジャパンが最後には力尽きた」という構図は、判官びいきの日本人好みです。でも、ここで兵役免除を持ち出すのは負け惜しみではないでしょうか。延長に入って明らかにフィジカルが落ちた日本は、やはり実力で負けたと思います。兵役免除はモチベーションに強くつながっているでしょうが、それだけで勝ち抜けるほどスポーツ界のトップ層は甘くないと思います。決勝へ進むような人たちに必死さで遜色はなく、実力やコンディションのほんの紙一重の差、あるいは微妙な運がメダルの色を分けるように思えます。
 「兵役が免除される韓国の気迫はすさまじかった」と言えば、「なるほどなぁ」と思いがちですが、これはオーストリアの哲学者、エルンスト・トーピチュが、人々に対して説得力があれば、その言説が真理であると見なされる傾向のことを、「説得力優先のファラシー(fallacy)」と呼んだことに当てはまりそうです。説得力それ自体は何ら真理を証明するものではありません。この記事の記者は、はたして韓国選手に兵役免除のことを尋ねた上で書いたのでしょうか。もしそうでないとするなら、ゲーム内容が良かっただけに、「兵役免除」の負け惜しみは残念です。