花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

ご意見拝聴・聞き流し政権

2022-08-27 17:06:12 | Weblog
 安倍元首相の国葬に関する今朝の朝日新聞朝刊記事から、いくつか抜き書きしてみます。

 ▷国葬の費用を閣議決定した26日、松野博一官房長官は記者会見で、国民から国葬への批判があることを問われ、国の裁量で実施できると強調した。一方で、弔意表明を求める閣議了解は見送ったとし、国民の批判に配慮する姿勢もみせた。

 ▷国葬にこだわったのは首相自身で、安倍氏が歴代最長の8年8カ月にわたって首相を務めたことや遊説中に凶弾に倒れた経緯などを重視。国葬を行えば、多くの海外要人らが訪れて「弔問外交」の機会が得られることや、党内外の保守派からの支持をつなぎとめ、政権基盤を安定させる効果が期待できるとの皮算用もあったとみられる。

 ▷8月に3日間だけ開かれた臨時国会でも首相が国葬について説明することはなかった。

 ▷自民党中堅は「国葬も改造も決定を急ぎすぎた。国民はプロセスを見ているのに、意見を聞いたり、調整したりする様子が見えなかった」と話す。それでも首相が今後、国会で国葬について説明するかは見通せない。(中略)首相周辺からは「国葬後の臨時国会で説明すればいい」との声も上がる。

 これらの記事からうかがわれることは、「国葬は政権基盤を安定させるため」、「国民の批判に配慮して国民に弔意を表明することは見送った」ということです。それから、岸田首相周辺に丁寧な説明を行う気配はなさそうです。

 素朴な感想ですが、国葬を執り行うなら広く国民の同意を得るよう説明を尽くし、一人でも多くの人が弔意を示すのが望ましいのに、そういった努力をしないのは不思議です。首相の真意は分からないものの、批判されそうな点をそぎ落とすことで、批判する人たちをも切り捨て、「文句を言わない人たちだけを相手にして、自分らのやりたい事をやればいいじゃん」と言っているように見えます。

 「弔意は示さなくても結構ですよ」くらいで誠意を出した振りをされても、やっぱりちゃんとした説明をしてもらいたいものです。反対意見に十分な説明もなく「配慮しました」と言うだけでは、賛成でも反対でもない態度保留の人たちもないがしろにすることになります。批判の声を上手くかわし、目障りなものは見ないようにして、内輪の利益を得ようとする態度は、コンセンサスを作る気がないように受け取れます。「ご意見拝聴」と言うばかりで聞き流していくのが、この政権のやり口なのかもしれません。