(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「(冷戦とは)戦後処理のメカニズムの一端だった」
第二次世界大戦後、リベラルな勢力が台頭したり、伝統的な道徳に代わる新しい価値観が人を惹きつけるようになる。戦争が終わったのに、国内では考えの異なる勢力のせめぎ合いや混乱が起こり出した。米ソ対立の構図の中、第二次大戦の記憶と朝鮮戦争が第三次大戦の引き金となることへの恐怖とが相まって、保守陣営の巻き返しとして「冷戦」が創られた。内政安定化の手段として仮想敵を作ったことが「冷戦」を生んだのではないか。なるほど、アメリカのマッカーシズムや日本の逆コースはそんな風に見えてくる。「反共」の剣は、実はソ連に向けられたものではなく、自国内の魔女狩りに使われたのだと。
益田肇著 「人びとのなかの冷戦世界」(岩波書店刊)から
「(冷戦とは)戦後処理のメカニズムの一端だった」
第二次世界大戦後、リベラルな勢力が台頭したり、伝統的な道徳に
益田肇著 「人びとのなかの冷戦世界」(岩波書店刊)から