「世のなかはつねにもがもな渚こぐあまの小舟の綱手かなしも」
この歌は百人一首に収められている源実朝の歌です。これなども、不遇の将軍としての我が身を詠んだ歌とみれば、実朝が痛く、哀しく思われます。「つねにもがもな」には平穏を望む気持ちが、「小舟」は己の無力さが、そして「綱手かなしも」には北条氏の傀儡に甘んじなければならない自分を憐れむ気持ちが、それぞれ込められているようです。「さけて散るかも」の「動」に対して、「綱手かなしも」は「静」と対照的ではありますが、どちらも同じく実朝のやるせない思いを詠んだ、双子のような歌ではないかと思います。
この歌は百人一首に収められている源実朝の歌です。これなども、不遇の将軍としての我が身を詠んだ歌とみれば、実朝が痛く、哀しく思われます。「つねにもがもな」には平穏を望む気持ちが、「小舟」は己の無力さが、そして「綱手かなしも」には北条氏の傀儡に甘んじなければならない自分を憐れむ気持ちが、それぞれ込められているようです。「さけて散るかも」の「動」に対して、「綱手かなしも」は「静」と対照的ではありますが、どちらも同じく実朝のやるせない思いを詠んだ、双子のような歌ではないかと思います。