昨日の朝日新聞夕刊に法哲学者・碧海純一さんの死亡記事が出ていました。7月18日に脳梗塞で亡くなられ、享年は89だったそうです。碧海さんの紹介として、『カール・ポパーやバートランド・ラッセルらの影響を受け、批判的合理主義を提唱した。著書に「法と社会」「合理主義の復権」「法哲学概論」など。』とありました。ここで紹介されている著書のうち、「法と社会」(中公新書)、「合理主義の復権」(木鐸社刊)を学生の頃に読みました。「法と社会」では、ロスコウ・パウンド取り上げながら法律の社会工学的な働きを説明する箇所に、法律のアクティブな面を知り、それまで法律学は訓詁の学と思っていた私は、蒙を啓かれた思いがしたのを思い出します。また「合理主義の復権」では、「酩酊しない」認識とは何たるかをバートランド・ラッセルやエルンスト・トーピチュの考えに則しながら説いてあり、私はマックス・ヴェーバーの『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』と関連付けながら、認識におけるどのような態度が誤謬に陥りやすいかについて、非常に興味を持って読んだことを記憶しています。故人のご冥福を謹んでお祈りしたいと思います。