花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

久しぶり 二題 その1

2013-06-09 16:36:48 | Book
 今年は平年より早く梅雨入りしましたが、梅雨入り宣言した後は「どこが梅雨なんだろう」というような日が続いています。6月2回目の土曜日も、窓から入って部屋を通り抜けていく風はカラっとしています。この日は、久しぶりに丸山眞男の文章が読んでみたくなり、書棚から「丸山眞男セレクション」(平凡社ライブラリー)を取り出しました。「超国家主義の論理と心理」における、おなじみの「へだたりのパトス」や「抑圧の移譲による精神的均衡の保持」などの分析は何度読んでも感心させられます。また、「福沢諭吉の哲学」の初めの方で、福沢諭吉はヨーロッパ文明の紹介者に過ぎないという見方に対して、「一個独立の思想家であるか、それとも他人の学説の単なる紹介者乃至解説者であるかということは、他の思想や学説の影響の大小によるのではなく、むしろ彼がどの程度までそうした影響を自己の思想のなかに主体的に取り入れたかということで決まるのである」と反論するあたり、「丸山節が冴えているなぁ」と思いました。
 丸山眞男の文章が時代を突き抜けて凄いのか、はたまた自分が初読の時から進歩がないのかはさて置き、久しぶりに触れてみた丸山眞男の論考は、いつもながら新鮮な思考の枠組みを与えてくれます。かつて「なるほど」と思ったのをすっかり忘れてしまっていただけかもしれませんが、忘れたら忘れたでまた「なるほど」と思えばいいだけです。要は、何度目の「なるほど」かが問題なのではなく、その「なるほど」をどう「主体的に取り入れ」られるかが大切だと思います。土日で読み切れなかった分は、週明けからの通勤電車で読みます。会社は楽しくないかもしれませんが、会社へ行くのが楽しみです。