花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

第三の開国(上)

2011-01-22 16:11:07 | Weblog
 1月18日と21日の両日、朝日新聞朝刊に環太平洋パートナーシップ協定に対する識者の意見が掲載されていました。それぞれ、賛成の立場と反対の立場の双方の学者が登場しています。私は反対の論者の言っていることに説得力があるように感じました。ところで、この2回の掲載記事を読んで思い出された本があります。そのうちの一冊は「江戸時代」(大石慎三郎著・中公新書)です。この本には江戸時代の鎖国について次のような記述があります。「江戸時代の〝鎖国〟なるものを誤解しないためには、国家というものはどんな時代でも密度の差異はともかくとして、必ず鎖国体制(対外管理体制)をとるものであることを承知しておく必要があろう。〝鎖国〟とは一度とりこまれた世界史の柵から、日本が離脱することではなく、圧倒的な西欧諸国との軍事力(文明力)落差のもとで、日本が主体的に世界と接触するための手段であった。つまり〝鎖国〟とは鎖国という方法手段によるわが国の世界への〝開国〟であったとすべきであろう。」さて、環太平洋パートナーシップ協定ですが、ヒト・モノ・カネが自由に行き交うようにするためのものと聞けば何やら良い印象を受けますが、その耳障りの良さの裏には国家としての主体的関与の放棄が隠れているような気がします。ここで言う自由とは「おのおの好きにせい」の自由ではないかと思われるからです。(つづく)