花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

船で行く山

2007-03-23 22:00:51 | 季節/自然
 船で行く山と言えば、先ず頭に浮かぶのは利尻山です。稚内から深い深い藍色の海を渡っていくと、行く手に天を射んばかりに引き絞られた稜線を従えた利尻山の姿が見えてきます。鋭角的な孤高の山です。この間の日曜に行った伊豆大島の三原山は、それとは対照的でした。竹芝桟橋から高速船で行くこと2時間、ほとんど波の揺れは感じずエンジンの振動だけ、目を閉じていれば飛行機に乗っているような感じです。岡田港にだんだん近づいて来ると、小籠包のにゅっとねじり上がったところをあにっと食べた後のような、ぽたっとした伊豆大島の姿、そして三原山の外輪山が迫ってきます。最初は雲かと思われた三原山山頂付近の白いものは雪でした。一番雪が積らなそうなところへ出掛けて行ったのに、あらまぁといったところです。岡田港からバスで山頂口まで行き、そこから歩くこと45分程で複式火口の稜線に出ます。北に富士山、南に伊豆諸島、西は伊豆半島と天城の峰、東は房総半島、ぐるり360度のパノラマに囲まれてお鉢巡りが出来ます。この日は雪があったので、キリマンジャロ山頂のミニミニ版のような雰囲気がありました。東京から日帰りで三原山に登れるとは高速船の威力は大きいと感じながらも、一方で旅館の泊まり客が減るようなことはないのだろうか、と思ったりもしました。ともあれ、晴天に恵まれて、船で行く山を楽しむことが出来ました(きょんも見れて良かった)。惜しむらくは、椿がちょっと終わりかけつつあったことでした。くさやのにおいに送られながら高速船に乗って、沢木耕太郎の「敗れざる者たち」を読んでいると竹芝に到着。浜松町へ向かう路で、今度は東京タワーが出迎えてくれました。