尾張名古屋のNOZUEです。
参議院の審議で、人質事件の被害者を「反日的分子」と非難した議員がいるそう
だ。どうしてこうした発想が出てくるのか?と考えていたら、そのヒントになりそう
な文章を、週刊文春4月29日号で見た。高島俊男氏(「漢字と日本人」の著者)の
寄稿である。内容を紹介すると、
【日本人にとっては、組織の中での役割がすなわち自分なのである。
日本語には一人称や二人称が数多くあるが、その大部分は役割名称である。母親が
子供に「お母さんはね・・・」と言い、教員が児童に「先生はね。・・・」と言うの
は、自分の社会的役割を自分と同一化して言っているのであり、子供もまた、役割が
すなわちその人であることをたえず教えられながら育つ。】
【名刺はその人の役割を確認するために日本人にとって重要なものである。
ひとたび安定した役割をあたえられると、日本人は俄然その有能を発揮する。仕事
に創意工夫を加え、精緻化する。】
【「ハイお爺さんは山で芝刈りですよ」とお役目をきめられると、毎日嬉々として山
へ行って良質の柴を集めてくる。
それが、「ハイ今日からは川で洗濯だよ」などとしょっちゅう役目が変わったので
は、お爺さんはやる気をなくしてしまう。まして、
「ハイお爺さんはリストラです。退職金あげるからどこへでも行っていいよ」などと
言われちゃたいへんだ。役割がすなわち自分なんですからね。いくらお金をもらっ
たって、自己を喪失したお爺さんはよくて鬱病、悪くすると首をつってしまうかもし
れない。】
つまり、集団の中の役割があって、初めてどう行動したら良いかが分かる。これが
うまく行く時は集団主義での成果が上がる。ところが悪くすると、役割がない純粋の
個人としては、ものが考えられない。自分が、考えられないだけでなく、集団の考え
と無関係な発想をする人を、異端者として排除する。
日本という集団が国会で「自衛隊を派遣する」と決めたのに、「自衛隊派遣は間違
いだ」などと公言し、勝手にイラクなどへ出かける輩は、まさに「反日的分子」とい
うわけ。さらに、この「分子」という言葉自体、独立した個人を認めていない表現で
ある。
話は別だが、年間3万人を越す自殺者が出るということも、経済的苦境もさること
ながら、この集団での役割喪失に耐えられない人が多いのでは?
戦後の教育で、個人の尊重を教えられたましが、日本人は「個人の意味」が、いま
だに理解できないのではないでしょうか。
参議院の審議で、人質事件の被害者を「反日的分子」と非難した議員がいるそう
だ。どうしてこうした発想が出てくるのか?と考えていたら、そのヒントになりそう
な文章を、週刊文春4月29日号で見た。高島俊男氏(「漢字と日本人」の著者)の
寄稿である。内容を紹介すると、
【日本人にとっては、組織の中での役割がすなわち自分なのである。
日本語には一人称や二人称が数多くあるが、その大部分は役割名称である。母親が
子供に「お母さんはね・・・」と言い、教員が児童に「先生はね。・・・」と言うの
は、自分の社会的役割を自分と同一化して言っているのであり、子供もまた、役割が
すなわちその人であることをたえず教えられながら育つ。】
【名刺はその人の役割を確認するために日本人にとって重要なものである。
ひとたび安定した役割をあたえられると、日本人は俄然その有能を発揮する。仕事
に創意工夫を加え、精緻化する。】
【「ハイお爺さんは山で芝刈りですよ」とお役目をきめられると、毎日嬉々として山
へ行って良質の柴を集めてくる。
それが、「ハイ今日からは川で洗濯だよ」などとしょっちゅう役目が変わったので
は、お爺さんはやる気をなくしてしまう。まして、
「ハイお爺さんはリストラです。退職金あげるからどこへでも行っていいよ」などと
言われちゃたいへんだ。役割がすなわち自分なんですからね。いくらお金をもらっ
たって、自己を喪失したお爺さんはよくて鬱病、悪くすると首をつってしまうかもし
れない。】
つまり、集団の中の役割があって、初めてどう行動したら良いかが分かる。これが
うまく行く時は集団主義での成果が上がる。ところが悪くすると、役割がない純粋の
個人としては、ものが考えられない。自分が、考えられないだけでなく、集団の考え
と無関係な発想をする人を、異端者として排除する。
日本という集団が国会で「自衛隊を派遣する」と決めたのに、「自衛隊派遣は間違
いだ」などと公言し、勝手にイラクなどへ出かける輩は、まさに「反日的分子」とい
うわけ。さらに、この「分子」という言葉自体、独立した個人を認めていない表現で
ある。
話は別だが、年間3万人を越す自殺者が出るということも、経済的苦境もさること
ながら、この集団での役割喪失に耐えられない人が多いのでは?
戦後の教育で、個人の尊重を教えられたましが、日本人は「個人の意味」が、いま
だに理解できないのではないでしょうか。