古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

光より早い!

2004-04-12 | 読書
 『光速より早い光』という奇妙な題の本を読みました。光の速度が一定(真空中で
秒速30万m)というのはアインシュタインの相対性理論の基礎になっている話で、
その光速を超える光が存在するなんていうのは、「とんでも本」?でも、NHK出版
が、出たら目な本を出している筈ないと、大枚¥2300+税を払って購入したしだ
いです。
 著者は、JOAO MAGUEIJO。1967年生れの理論物理学者、ロンドン
大学インペリアル・カレッジ教授。プリンストン大学客員研究員。といういことです。
 一通り通読しましたが、まだピンとこない点が多いのですが、著者の主張は、簡単
にいうとこういうことです。
 光速cが一定というのは、現在の光速は一定という意味で、宇宙が誕生したいわゆる
ビッグバンの時(具体的にはビッグバンから1秒以内の時間)には光速は、今のcよ
りずっと早かった。と仮定すると、宇宙生成に関する諸現象を旨く説明できるという
のです(どう説明できるかは長くなるので割愛)。
 著者はこの”光速変動理論“(Varying Speed of Ligh
t)、略してVSLと呼ぶ理論誕生の経緯を、詳細に述べています。世の中には、随
分変わったことを研究している人がいるものですね。

 この話を読んで、理論の正しさを保証するものは何かを、あらためて考えてみまし
た。言うまでもなく、科学においては、実験結果が理論どおりになっているか?で、
理論の正しさを検証します。しかしその場合、その実験結果を裏付ける理論がただ一
つだということは、必ずしも言えないのでは?
 天動説と地動説、ガリレオの”それでも地球は動いている“の言葉は有名ですが、
現在の宇宙に関する知識から言うと、もちろん、地球は動いていますが、太陽だって
動いている。だから、地球を停止させて(原点を地球に置いた座標系で)他の惑星と
太陽を動かす方程式を作れないわけではない。
 しかしその場合、太陽を原点とする方程式より、かなり複雑な式になるだろう。し
てみると、理論の正しさを裏付けるのは、実験結果だけでなく、理論のシンプルさでは
ないでしょうか?ことに、実験に現在の技術水準からして限界がある場合、更に、実
験が不可能な場合、ある事象を説明する理論の正しさは、いかにシンプルな理論で、
その事象を説明できるか、ではないでしょうか?
 最近、特に思うのは、経済現象を説明する理論は、いかにシンプルに(いかに少ない
仮定で、いかに単純なプロセスで)説明が可能であるかだと思うのです。
 放送大学の新学期、”宇宙とその歴史”(杉本大一郎教授)を選択しました。宇宙
理論の歴史から、宇宙解明理論のシンプリシテイを味わいたいと思うからです。

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