古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

青色ダイオード

2004-01-31 | 経済と世相
青色ダイオードの発明者に200億円払えという判決が出たそうです。この判決の意味について考えて見ました。賃金の能力主義についてです。
 プロ野球選手の賃金が能力主義であることは、万人が認めています。でも、プロ野球球団は儲かっているでしょうか。殆どの球団はスポンサー企業からのお金で成り立ち、黒字の球団は少ないと思います。
 本当に、能力に対応する給料を払ったら、会社の取り分はなくなって、利益は出ません。能力を発揮していないからといって給料をマイナスには出来ません。能力を発揮している人、稼いだ人には稼いだ分払っていたら、当然会社の取り分はない。だから、賃金の能力主義はあり得ない。
 世に言う「能力主義賃金」は、能力を口実にする人件費カットに過ぎない。会社というものは、賃金は安い方がいいのであって、能力に相応しい賃金を払おう等とは考えていません。
 そもそも、経営者にとって、大事なことは、能力主義の経営であって、能力主義の賃金ではない。
 能力主義の経営とは、いかにして従業員に能力を発揮させるか?を追求する経営です。能力を発揮させれば、一人の従業員が200億円も稼いでくれることもあります。
 鵜匠の仕事は、鵜に魚を沢山取らせることで、鵜に、何匹の餌の魚を与えるかということではない。
 と思ったのですが・・・違ってますか?04/01/31

ほろ酔いゴマメ

2004-01-29 | 経済と世相
編集長のメールから、私も久しぶりに「紅乙女」を味わいたくなり、買ってきました。720ml¥1418+税でした。早速、お湯割を作り、コップ一杯で、いささかほろ酔い気分。
以下は、ほろ酔いゴマメの歯ぎしり論です。

 新聞を広げると、『経団連が政党の政策を採点』なる報道。これって一寸おかしいんじゃないの?
 経団連は企業経営者の団体。だから、企業にとって都合のいい(正確に言うと企業経営者にとって都合のいい)政策が、好ましい政策になる。だから、そういう政策をとってほしいと、政府や政党に陳情するのは自由だし、その陳情に応じてくれない政党に寄付はしないというのも自由だ。
 だが、その政策を基準に政党を採点するというのは「傲慢」ではないのか!
 経営者よりの政策をとろうとする政党もあって良いし、一般大衆よりの政策を実現しようとする政党だってあって良い。
 一体、経団連が政府に要望することと、例えば、医師会が政府に要望することと、本質において、どれだけの差があるのか!
 いずれも、自分達に都合のいいルールを作ってくれと、要望しているだけではないか?言ってみれば、自分達の私益を主張しているだけ。私益を主張して悪いというのではない。民主主義は、ある面で、互いに私益を主張しあうシステムとも言えるからだ。しかし、そうした主張は、自分達の内輪で話していれば良いことで、記者会見までして、世間様に発表するような代物ではないと思う。
 昔、アメリカに『GMに良いことは、アメリカにとって良いことだ!』と言った経営者がいたそうだが、まさか経団連会長は『トヨタに良いことは日本に良いこと』と主張するつもりではないでしょうね。

 新聞も情けないと思う。『経団連が政党をこう評価している』と、報道するのみ
で、経団連が政党を評価することの是非には口をつぐんでいる。一社ぐらいは、疑問を呈する社があっても良いのでは?
 私見ですが、小泉・竹中ラインの進めている政策は、一言で言うと、『日本の社会や経済をアメリカ型にすることをねらいとしている』。そうした社会は、経団連には都合のいい社会かも知れませんが、私は、日本の社会には、もっと別の選択肢があると思うんですが・・・

 胡麻焼酎の効き加減で、いささか辛口すぎる議論になっちゃいました・・失礼!

凄い奴

2004-01-28 | 読書
>  ところで今日は私の尊敬する知友の“スゲ-話し(?)”を御紹介します。皆様は【ホーン岬】って  聞いたことありますか?南米は《チリ》の最南端に 位置します。(勿論地球で一番最南端でもあるわけです)風がヒュウヒュウと吹き波も荒く海の男も肝を冷やすという突端海峡です。この海峡を【カヌー】で渡っている“スゲ-奴”がいます。東京大学  を退官、60歳の還暦を迎え「さて これから何をす  べきか?」と考え(その区切りに)かねてからの夢を遂げんと先週末 決行に及んだというわけです。
  何しろこれに成功した者に与えられる称号は世界の海の男達にとって大変なものなのだそうです。
  彼の名前は『月尾嘉男』、建築を志しマルチメディアを紹介し川ネットを立ち上げカヌーを友とする超マルチ人間、~彼の無事を祈るのみです。

 すごい知友をお持ちですね。“月尾嘉男”の名を聞いて、早速書棚を点検しまし
た。
『ポストj情報社会の到来』(PHP,91年2月刊)がありました。
 著者略歴を見ると、1942年愛知県生れ。名古屋大工学部教授とある。当時は名大にみえたのですね。その後東大に転じられた。
 13年前の本ですが、副題は「10年後を変える7つの技術革新とは』です。こういうテーマの本を刊行後13年経ってから読むと、凡百の書はアラが目立つものです。
 しかし、再読してみて、これは中々のものと、感銘しました。勿論、筆者の予想では10年後、相当進む筈の技術がそれほどでなかったということもあるし、筆者が予想していなかった進歩が見られる技術もあります。でも、再読に耐える本です。
 
 因みに、この本で、筆者が13年前、時代を変革すると位置付けた7つの技術とは?
1.アモルファス材料
 「アモルファス薄膜トランジスタをスウィッチ機能素子として利用し画像の処理を行えば壁掛けTVが出来る。」とのべています。今日、電気屋を覗いたら、デイスプレイがTV画面にもスピーカにもなっているパソコンが出ていました。その原理が、アモルファスの利用かどうか分かりませんが、開発の過程で、こうした材料の研究が、寄与しているのではないでしょうか。 もう一つ、都市計画も社会の組織原理も、アモルファスになるのではないか、と述べています。
2.化学反応による生産からバイオロジーによる生産
 化学反応においては、多数のセンサーが装置の各所に設置され、それらからの時時刻刻の情報が中央制御システムに集中し、そのシステムが全体の状況を把握してすべての反応が最適に進行するように制御している。一方、生物反応においては、状態を監視するセンサーは設置されているものの、反応自体は生物自身が独自でおこない特別の制御が必要なわけではない。前者が統一された全体制御方式とすれば、後者は自律した分散制御方式ということができる。
3.電子社会から光子社会
 時代は光通信へ!、方向は正しいと思いますが、まだその入口?
4.アナログからデジタル
 補足して『日本の製造会社でのカンバン方式は、生産工程において必要な時刻に必要な部品が到着するというデジタルを徹底追求した結果である・・・アナログ方式もデジタル方式もある意味では極端な概念であり、当然、長所も短所もある。したがって、それぞれの長所を適切に組み合わせて、全体が最適に機能するハイブリッド方式を探求することがこれからの社会の重要な課題』と述べています。 
5.コンピュータのフォン・ノイマン方式を超克
並列処理のコンピュータが、ノイマン方式のコンピュータの限界を超えるのでは?と、筆者は期待したようですが、・・・インターネットの進展がこれほどとは、流石の筆者も予見出来なかった? 
6.ホログラフィ技術
ホログラフィ技術は大発展を、筆者は予想しましたが、現時点では、偽札防止の印刷技術で実用化されたぐらいでしょうか?それよりも前川製作所を例に取り、ホロン経営が今後の組織運営のモデルと、賞賛していました。筆者の興味は、科学技術の理論を社会現象に適用することにあるようです。
7.ファジー理論の応用と不確定性の理論が技術を変える。
 交通システムの設計に不確定性理論が導入されると述べていますが・・・

 いずれにしても、月尾さんはこうしたことを考えていた人なんですね。


年賀葉書は儲かるの?

2004-01-27 | 経済と世相
 年賀ハガキの景品から、購入者の利益率を論ずるお話、面白く拝読しました。私
は、お話と違う二つの視点から問題を考えて見ました。
 一つは、銀行預金の利子率を比較の対象にすることの是非。もう一つは、仮に、年賀ハガキの収益率が高いとしても、必要以上に年賀ハガキを買えないという視点です。
 まず前者。今、一年定期の利息は0.03%。換言すると、銀行の資金調達コストは0.03%、この資金を銀行が一般企業に貸し出すとき、何%で貸し出すか?
 相手企業によって貸出し利率は異なるでしょうが、平均して2%以下ではないで
しょう。仮に2.1%とすると、預金者利率のなんと70倍。これはどう考えても儲けすぎ。これは、貸出し利息が高すぎるのでなく、預金利息が低すぎる。どうして低いのか?銀行を儲けさせて不良債権を償却させるためと私は考える。
 日銀が(金融緩和と称して)市中銀行にじゃぶじゃぶお金を流して、預金者に高い利子を払ってお金を集めなくても、こちらがお金を調達してあげます、というわけ。
 以前、銀行利子より預金者に渡す銀行の粗品の方が金額が高いと皮肉りましたが、今や銀行は粗品すら出しません。
 年賀葉書が、預金者利子より高い景品率が可能なのは、年賀葉書には、不良債権がないからです。
 つまり、年賀葉書が儲かるのではなく、銀行利子率が低すぎることを意味しているだけでは?
 
 次に後者を考えます。仮に、年賀葉書が儲かるからといって自分が使う以上に買う人はいないでしょう。使わない葉書を抱え込んでもどうしようもない。ただ、在庫評価としては¥50で評価すれば計算上は儲かっている。しかし、今年の年賀葉書は来年使うわけにいかないので新しい葉書に代えると¥5の手数料がかかる。つまり一割の損が発生することになります。
 あらゆるモノは、使う量以上に持っても、利益のでるものではないと思います。これは、モノに限らずお金についても同様で、必要量以上にお金を流しても、利益にはならない。いつか、お金の評価を下げることになる筈です。
 現在、日銀がじゃぶじゃぶお金を流しても、お金の価値は下がっていないのは、経済が一国内で閉じたシステムになっていないからです。つまり、外国にどんどん流れている。円をドルに代えて、そのドルを米国債に代えている。一方、外人はその円で日本の株を買っている。さて、米国債と日本の株式と、どちらが価値があるのでしょ
うか?

牛丼そしてマラソン

2004-01-26 | マラソン
 25日は、午後、TVの大阪女子マラソンは録画予約しておいて、期末試験会場の中京大学に出かけた。3時半から「計算科学」を終えた後、次の「数学とコンピュータ」の試験は夕方6時からなので、腹ごしらえをしよう
と、近くの牛丼屋に行く。 この週、寒い日が続くので、火曜日からは連日大学に来ている。自宅で勉強してもいい(試験は土・日)のだが、自宅に居れば暖房代がかかる。大学で勉強すれば、暖房費は大学持ち、交通費は敬老パスを使えば無料になる。というわけで、6日連続大学に来ている。ついでに、食事代もく上げようとすると、話題の牛丼で、大学のすぐ傍に牛丼屋がある。最近の国際情勢からすると、もうじき牛丼が食べられなくなるらしい。今のうちに食べておこうと、6日連続で牛丼を賞味した次第です。
 閑話休題、牛丼を食した後、大学に戻り、視聴室でビデオで復習。6時からの試験を無事に済ませて8時前帰宅しました。
 さて、女子マラソン。実は未だビデオは見てないのですが、ニュースと新聞報道によると、寒かったようですね。一体、何度ぐらいの気温が走りやすいのか?私の体験からすると、ハーフぐらいの距離だと4度~5度ぐらいが一番速く走れる。フルになると、10度前後が一番早く走れると思います。
 勿論、気温と走りやすさは個人の体質で変わりますから、一般化は出来ませんが、4~5度が早く走れる(逆に言うと早く走らないと寒い)のですが、そのスピードでフルを走りきるのは不可能。もっと気温が低くなると、筋肉がこわばるようで、走りにくくなる、ということです。
 いずれにしても、低温と風の強さ(1月の大阪には珍しく)でタイムは低調でし
た。前半ゆっくり走ったら後半は速く走れるか?というと、それが出来るのはよほど力のある選手で、疲労は速度より時間で決まると、私は思います。前半ゆっくり走っても、かかった時間分の疲れが溜まっています。
 記録が低調であったため、アテネオリンピックの代表は、編集長のご推察のよう
に、野口、高橋、坂本の三選手に決まりそうですね。
 名古屋で、勝つ選手が代表に食い込むためには、少なくとも4年前の高橋の大会記録(2:22:19)を上回らないといけないでしょう。
 名古屋の3月は、伊吹下ろし(北風)がきついんです。コースの前半は向かい風に悩まされます。後半は風に押される利点もあるが、前半の向かい風での体力消耗の方が影響大と思います。ですから、名古屋のコースでよい記録を出すのは難しい。それに、このコースを2時間22分で走れる選手は高橋、野口、それと千葉選手ぐらいしか居ないのでは?
 勿論、やってみないと分からないのがマラソン。偶々当日風がなかったとか、突
然、凄い選手が出現ということもないとはいえませんが、その確率は少ないでしょ
う。
 個人的には、千葉選手は出てほしかったのですが、日本の女子マラソン選手の層は厚いですね。

女講談師

2004-01-19 | 素晴らしき仲間たち
 今日は、話題をぐっと変えて女講談師の話です。
 埼玉の走友、Kさんからメールが入りました。「18日午前、高槻ハーフマラソンを走る。帰途、名古屋で下車する。名鉄ホールで観劇後、出演中の神田陽子を誘って夕食しないか。」と言う。
 早速「OK}と、返信しておいた。
 18日午後、「今、京都から新幹線に乗った」と電話が入ったので、新幹線口まで出迎えに行き、一緒に名鉄ホールへ。楽屋(という所に初めて入った)で陽子さんに会って予約のチケットを受け取り、ホールに入る。演しものは、左とん平一座、あおい輝彦主演『大江戸人情噺奴と若様』、陽子講談師は狂言回しの役どころだった。
 終演後、Kさんと納屋橋交差点の宮鍵なるかしわ料理の老舗に行く。(グルメの
方、”みやかぎ”の名を記憶され、名古屋にお立ち寄りの際、名古屋コーチンをご賞味ください)座敷に案内され、坐ると、Kさんが小生の耳元に口を寄せ囁く。「後ろ、佐々木信也だよ」、振り向くと後卓の4人連れ、一人は高名なプロ野球解説者だ。Kさんは目ざとい・・・
 7時、陽子さんがやってきて歓談しながら、みそ鍋をつつく。先日高齢でなくなったニューヨーク芸者の話なども。彼女をモデルの講談を陽子師匠は演っている。
 陽子師匠は、1979年2代目神田山陽門下に入門。山陽師匠の『ああ無常!』
(レ・ミゼラブル)を聞き入門を決意したそうです。
 修行は厳しく、気に入るまで帰してもらえない、丸8時間ぶっ通しなんてことも。それからの3ヶ月、師匠のかばん持ちといった日々を経て前座、やがて真打に。
 講談に女性?と私など奇異に感じますが、現在、神田山陽(3代目)一門16人中女性は10人だそうです。講談も女性上位の時代?
 といううわけで、9時まで名古屋コーチンと世間話を満喫し、新幹線で帰るKさんを駅まで見送り一同解散。それにしても、私より一歳だけ若いKさん、スタミナあると感心した次第です。04/01/19
 

Re:

2004-01-18 | 素晴らしき仲間たち
 メール拝読しました。
【『理工系の勉強が特に好きだったわけではなく、まして得意だったわけでもない。父が小3の時に死に、その頃はまだ母子家庭の子は就職が難しいとされていた。反面、折からの理工系ブームが起こり、理工系ならば就職も何とかなるだろ
うと考えた。・・・

50歳の半ばを過ぎて、残る人生で自分が本当にやりたいことは何かを真剣に考えた。それまでも置かれた状況下ではせいぜい自分らしく生きてきたという自負はあったが、いかんせん、技術屋としての仕事には飽きがきていた。(中略)】

 若い時の希望と、心ならずも、別の道を歩むことはよくあります。
小生も、大学は工学部を出ましたが、好きで「工学」を志したわけではありません。
 大学に進んだのは昭和30年、そろそろ「もはや戦後でない」時代ですが、まだまだ経済的には貧しい時代で、教師の「お前は数学が得意だから工学部がいい。食いっぱぐれがないぞ」の一言で、何の疑問もなく工学部を受験し、幸か不幸か合格してしまったんです。
 いかに食(職)にありつくかが眼目で、自分のすきな道(途かな?)を選ぶと言う意識はなかったと思います。
  ここはやっぱり途ですね。・・・『途(道でない)に倒れて 誰かの名を 呼び続けたことがありますか』(中島みゆき;わかれうた)という歌があったっけ!・・
・話がそれてすみません。
 
 でも、数学が得意と言うことと、工学に向くということとは、全然別のことだったのです。
 以前、メールしたことがありますが、そもそも、数学は理系に入れられる学問か疑問です(数学は論理学の一部で、論理学が理系でないなら数学も理系でない)。その上、理系と工系とはこれまた別です。
 実をいうと、入学してから「これは自分に合った途かな」と悩んだものでした。
 途中で転進する勇気がなく、定年まで来てしまったと言うのが、実情。だから、この方のように、晩年に到って、本来の自分の希望する道を歩き始めるというお話には、感動してしまいます。
 でも、60過ぎても遅くない。心行くまで自分の好きな勉強をしたいと言うこと
が、今、放送大学の受講の理由なんです。

高知県檮原町

2004-01-12 | 旅行
 高知県檮原(ゆすはら)町には、平成4年と9年夏、マラソンで2回訪れました。
その檮原町について、10日の朝日が社説で取り上げていました。(読まれた方も多いと思いますが)
【高知県檮原町は四万十川の源流域にある。町の91%は森林だ。人口は4400
人。その多くは森を縫う沢水を引いて生活している。そんな里で、中越武義町長は住民からしばしばこんな訴えを聞く。
「水が枯れた」
 原因は森を十分手入れしていないことにある。木のほとんどは戦後の造林政策で植えたスギやヒノキだ。人工林は適度に切る間伐をしないと、茂った葉が光を遮り、草が育たない。すると土壌が固まり、水がしみこみにくくなる。わき水も細る。
 ここに、「緑のダムづくり」に乗り出した町長の発想の源がある。水を養って、豊かな環境をつくろうというのだ。
 森林の所有者はなかなか間伐をしない。木が高値で売れないからだ。1ヘクタール間伐するのに普通15~30万円かかるが、うち7割近い補助が政府と県から出る。それでも赤字になりかねない。
 そこで町は大胆な手を打った。従来の補助制度に01年度から、なんと10万円を上乗せした。森林所有者は間伐材が売れなくても、利益になる計算だ。助成は風力発電の売電収入の一部を充てるという支えがあるから維持できているが、これだけの助成金を出すのは町の危機感が大きいからだ。
 間伐は02年度に前年度の5割増しにふくらんだ。03年度も順調に伸びた。
 異色なのは助成の条件として、森林管理協議会(FSC)という国際機関の認証林になるよう森林所有者に約束させることだ。森林を丸ごと切らない。野生生物を大切にする。売りやすい針葉樹だけでなく、水をたっぷりためる広葉樹も大事にする。・
・・(中略)・・
 檮原町の森林組合はこの2年ほどで臨時職員を含め10人以上を雇い入れた。間伐には土建業の4社も参入してきた。緑のダムづくりは、土建に偏した地上の産業のゆがみを正し、雇用も広げている。】
 続いて11日の朝日社説。
【高知県の四万十川を渓谷に沿って下っていく。流れが緩やかになる西土佐村まで来ると、川のほとりに、くすんだ3階建ての校舎が立っている。
 学校ではない。過疎化で廃止された小学校を子どもたちを育てる場として役に立てているのだ。
 担い手の山下正寿さんは高校の教師だった10年近く前、高知県がつくった教育改革を考える会の委員を務めた。その会合で「地域と学校をつなぐ拠点として廃校舎を使ってはどうか」と提案した。・・
 言い出しっぺの責任感で高校を辞め、かつての勤務地で実行に移した。
 若者や地元の人らと活動を始めたのは99年。運営母体としての社団法人をつく
り、宿泊施設には「四万十樂舎」と名付けた。・・・
 村の小学校と手を携えて取り組んだ「川のみはり番」という綜合学習がある。川の動物や植物に詳しい大学生に来てもらい、子どもと一緒に網で魚や虫をとる。子どもは絵や作文をかき、水質を調べて環境を守る大切さを学ぶ。・・・(後略)・・】
 自分の馴染みの地の、良い記事はうれしくて、つい、長々と引用しました。
04/01/12

インフレは来るか?

2004-01-11 | 読書
 「メガバンクと巨大生保が破綻する日」(深尾光洋著、講談社+α文庫)という本。著者が、最近売り出しのエコノミストということで、どんな思想の人か知りたくて、読みました。以下、その感想。
 内容は初心者向けの金融システム解説書といった趣きで、前半は銀行のしくみが良く分かっている人には飛ばして、第2章4節(大手銀行が破綻するとき)から読み始めると良いと思います。ただし、金融問題に不案内の方には、最初から読むと親切な解説本になっています。
 長銀に投入した金が、国民一人当たりにして4万円という話を聞くと、こういう問題に国民はもっと関心を持つべきだと思うし、菅さんと、小泉首相・竹中金融相の質疑の記録は、資料としての価値があると思われました。
 第三章(生保のことを知る)で生保の【破綻前の予定利率引き下げというのは、保険契約者保護というよりも、基金や劣後ローンを出している大手銀行を救済するものと言っても過言ではありません。】との記述で、金融庁が何故「改正保険業法」を昨年7月成立させたかが分かる。
 つまり、従来の「更生特例法」だと、生保が破綻したとき、大手銀行の出資金が
カットされるが、「改正保険業法」だと、予定金利引下げで、一方的に保険契約者に負担を押し付けることが可能という。
 第三章までは、分かりやすく納得できる内容。しかし、第四章(デフレが破綻を招く)で、日本経済のデフレ脱出方策と、個人の対応策について、著者の意見を述べているが、一つの可能性を示唆するものの、以下の点で、疑問が残ります。
 この章で、今のままの政策を続けていくと、ある時点で財政が破綻しインフレになる。そのきっかけは、円の暴落。輸出で稼いだ外貨を国内で貯金するのでなく、外貨を買うようになって、円が暴落するというのだが・・・
 昨年、日銀はドルを買い支えるために、20兆円もの金を使ったと言う。上述のシナリオとは逆に、日本企業も国民も外貨(ドル)を買わないので、政府・日銀が買っているわけ。
 10日の朝日・Beで為替デイーラーの藤巻健史氏がこう述べている。
【「(日本)経済が弱いにも拘わらず、円が強くなっているという矛盾」は、日本の構造問題に起因している。ため込んだドルを民間が海外に還流するカルチャーがないのだ。もし、バブル崩壊時に資金を米国の株と土地に投資していれば、今ごろ大金持ち続出であろう。日本人も日本国も「内向き」という構造が、その機会を見逃した】
 私は、経済のグローバル化とは、製造業で弱くなったアメリカが、ITと金融業で金を稼ごうと言うねらいで、米国が提唱したシステムだと思っていますが、システムがグローバル化しても、外貨・外国株を日本人が実際に買うかどうかはカルチャーの問題。もし、日本人・日本企業が円で貯金せずドルで貯金するようになったとしたら、その時、日本経済はどうなっているのでしょう。

白髪と老化

2004-01-10 | Weblog・人生・その他
 10年以上前から、散髪に行った時、目の前にバサッ、バサッと落ちる白い髪を見ると、「アア俺、年取ったんだ!」と思うようになりました。ところが・・・
 8日の朝日名古屋版に、名大大学院老年科教授の井口昭久さんが、こんな文を寄稿しています。
【 白髪は老化の兆候のようにも思われているが、果たしてそうだろうか。
 老化を示す指標は、次の基準に合うものとされている。「身体の内部に原因があるもので、時間とともに蓄積、進行し、かつ心身に有害なもの」。この定義によると、白髪自体は少しも心身に有害ではなく、基準を満たしていない。
 年をとると体毛が白くなるのは、様々な哺乳類で観察されている。ある種類のネズミでの白髪化は、外部から侵入したウィルスの寄生によって生じた異常であったという。
 これらの結果から、白髪化は老化によるものではなく、単に時間の経過に関連した変化に過ぎないと考えられている。】
 『時間の経過』と『老化』とは、違うんですね。あらためて、成る程と思いまし
た。
 時間が経つと、髪の毛の中のメラニン顆粒が減少していくから、白髪は時間の経過を示す。しかし、そのことは身体や頭脳の機能には何も影響しない。だから、老化とは無関係。逆に言うと、身体、頭脳の機能低下がなければ、何歳になっても老化していない。ということですか!
以下は私の推論です。
 細胞は、古くなると分解し、新しく細胞分裂で生れた細胞と入れ替わる。入れ替わらなくなると分解だけ進んで器官の細胞数が減っていく。これが「いわゆる老化」だと思う。
 そうなる原因は、生活習慣性のものと遺伝性のものと二つある。
 生活習慣性とは、要するに使わない器官は痩せていく。使わない器官には細胞再生に必要な栄養分が回っていかないのだ。
 これは、年齢に関係なく、若くても使わない器官の筋肉は痩せていく。定年で現役を去った人が、身体を動かさなくなると、筋肉が衰えていく。本来これは「老化」とは別だが、「老化」と勘違いしている人が多い。 
 遺伝性とは、生まれつき細胞分裂の回数が決まっていて、その回数分細胞分裂してしまうと、もう分裂しなくなるケース。その結果、身体に有害な影響をもたらすものが、真性の「老化」。
 一方、髪の毛の中の黒色色素のように、それが減少しても身体機能と無関係の場
合、単に時間の経過を示すのみで、「老化」とは無関係らしい。
 真性の「老化」は避けようがないが、頭も身体も使うことで、「いわゆる老化」のかなりの部分は防げるのではないでしょうか。