古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

『メールは何故届くのか

2014-07-28 | サイエンス
『メールは何故届くのか』(草野真一著)という本が講談社のブルーバックから出たと聞き、早速購入しました。
 メールは瞬時につくのが普通ですが、年に一、二回は10時間かかって翌日着信するということが起こるのです。いったい何故こんなことがあるのか、他人に説明できるぐらいのインターネットの知識を得たいと、読むことにしたのです。
 この本、単にメールに限らず、現在のインターネットの到達している状況を説明している本でした。 まずは、メールのしくみから。
メールを送信する場合、そのメールをそのまま送信するのでなく、いくつかに分割し(分割片をパケットと称する)それぞれに発信者、行先、分割番号などを記した荷札を付けてバラバラに発送する。受け取り側は、分割されたパケットがすべて着信したら、もう一度組み立てて元のメール状態にして受信者が閲覧できるように表示する。何故、こんなややこしいことをするのか?
 メールの中身がデジタルデータだからです。デジタルは、1か0かの羅列であるから、何かの拍子で1と0を間違えるエラーが発生する。エラーが発生したら、発信元に連絡して再送信してもらう。全体を分割せず一括しておくってきたら、たった1か所のミスがあっても、全文再送してもらうことになる。分割していれば、ミスの発生したパケットだけを再送信してもらえば済むのです。もちろんミスが発生したかどうかをチェックする機能(TCP)が準備されている。間違っていても良いから早く遅れ、という場合(動画のリアル送信などはUDPという機能を使う)。次にどのような経路で送信されるか。それぞれのコンピュータは、パソコンであれ、ルーターであれ、世界で唯一の識別番号(IPアドレス)が付けられている。IPアドレスは32ビットと80年代に決まったが、現在、128ビットのIPアドレスが準備されることになりました。128ビットで得られるアドレス数は、340澗(かん)、澗は10の37乗になるそうです。
パケットには、それぞれ発信元、受信側の番号が付されている。送信した瞬間、パケットごとに、どのルートが宛先に近いかを判断し(渋滞をさけて)走り出す。
 インターネットは、もともとアーパネットいう軍事技術の開発が初めだった。冷戦のさなか、コンピュータネットの中心のコンピュータをミサイル攻撃されたらたいへんだから中心のコンピュータを作らないシステムをと考えた。だから。経路も各自のコピュータが判断する。だが、その場の判断で経路を決めて確実に着信できるのか?着信できない場合がある。その場合迷子になったパケットが渋滞の原因にならないか?TTL(Time to live)という数字が定められ、TTL回以上ルータを通過させて着信できなければ削除することになっている(通常は10回以内に世界中のどこであっても着信できる。)
もう一つ『メールといえば、パソコンにインストールされたメーラーで行うのが主流でした。2014年現在、メーラーを使う方式は少々時代遅れになっています。メーラーでなく、プラウザを使ってメールを確認する「ウェブメール」(Gメールなどの)を利用するスタイルが主流になっています。』
メーラーを使ってメールのやり取りをする場合と、ウェブメールを使う場合と比べてみると、最も大きく違うのは、「メールのデータがどこに保存しているのか」。『メーラの場合、送受信したメールのデータはすべてあなたのPC内です。メールのデータをメールサーバからダウンロードしPCのデイスクに保存しているからです。従ってインターネットに接続しなくても、過去のメールを見ることが出来る。ウェブメールは、ダウンロードしません。ウェブパージのメールボックスを見に行くだけです。従ってインターネットに接続しないと、過去のメールを見ることが出来る。』

再度、「集団的自衛権」

2014-07-27 | 経済と世相
26日も午前IREXPOに出掛け、長谷川幸洋さん(東京新聞・中日新聞論説副主幹。)の講演を聞いてきました。「安倍政権と今後の日本」と題しての講演ですが、「集団的自衛権」の話が中心でした。
拉致問題から話は始まります。
「北朝鮮はお金がなくて何ともならない状態です。日本から金を引き出したいのです。韓国が日本と国交正常化したときに3億円の金を貰ったのです。当時の日本の一般予算規模の5%の金額で、今日の日本の予算規模からいうと、5兆円です。来た朝鮮は拉致問題に決着をつけて、この5兆円を手にいれたいのです。だから、拉致問題は決着がつくと私は楽観的に思っていますが、安倍政権が中途半端な手のうちかたをしたら、命取りになります。もちろん、金第一書記もカネの入手に失敗したら政権はもたない。ある意味で、安倍内閣と金政権は運命共同体です。
次は中国。今、「集団的自衛権」が問題になっています。この目的は何か、中国との軍機的衝突に備え、米軍と自衛隊が共同歩調を取れるようにすることが目的なんです。
「集団的自衛園」を認めないと、米軍と自衛隊の軍事演習も自由にできない。しかし、「集団的自衛権」など実質的には、歴代の内閣が認めてきたことです。日米安保が存在すること自体、「集団的自衛権」を認めてきた証左です。米国との「集団的自衛権」を前提としないと、安保条約は存在しえないのです。
しかし、在日米軍は、「日本をまもるために存在するわけではありません。」
安保条約の第6条で「極東」の平和のためと明記している。「極東」とは、日本、台湾、朝鮮、フィリピン、ベトナムです。だから、朝鮮戦争でも、ベトナム戦争でも、沖縄の基地から爆撃機が出動している。この極東条項は1960年の安保改定で大問題だったが、政府は国民に明確な説明をしなかった。
それはけしからん。日本以外の地域の戦争に日本の基地を使うな、と日本が主張することはできる。その主張を受け入れて米軍が極東の軍事問題に介入しない。となったらどうなるか。「戦争が起こる」。そもそも、朝鮮戦争はアチソン国務長官が「米国の軍事的生命線は、アリュウシャンから日本列島、台湾にいたる地域だ」と声明したため、北朝鮮が韓国に侵入しても、米行為は動かないと判断を誤ったために起こりました。極東から米軍が撤退すれば、極東に軍事的進出を図る国が出てくると、長谷川さんは言う。
こうした観点から日本が「集団的自衛権」を認めて、日米が軍事面で共同行動をとれるようにすることは、米国政府にとって極めてのぞましいことだった。ところが安倍政権が「集団的自衛権」を認めるという態度を取るに至って、米国は及び腰になった。日本が中国と軍事衝突をお越し、その結果。米国が米中戦争に引き込まれるのはごめんだというわけ。
中国はアフガニスタンやイラクと違って軍事的強国です。米国はびびってしまった。
講演を聞いて、「集団的自衛権」が中国への対応上必要ということは理解できますが、それだけ微妙な問題への対応を現在の日本の政治家に任せることは極めて危険であると改めて思いました。

竹中平蔵さんは語る

2014-07-26 | 経済と世相
名証IREXPOに25日行ってきました。13:30~武田邦彦中部大教授、16:00から竹中平蔵さんの講演があったからです。二人ともテレビで拝顔したことはありますが、直接お目にかかるのははじめてですので、どんなお話をされるかお聞きしたいと思ったのです。
13:30、会場の吹上ホールに着きました。公園会場は超満員。一番後ろに開いた椅子を見つけやっと座ることができました。原発事故以来、1ミリシーベルト男としてしっかり名を売った武田さん、石油はいくらでもある、どんどん使え、二酸化炭素を出す温暖化ガスの排出対策など必要ないと持論をまくしたてていましたが、会場の騒音で聞きにくかった。
 14:15終り、次の竹中さんの講演まで2時間弱あったので、各社のブースをのぞいてみようと、D社のブースへ行った。2時半からの会社説明が始まるとところで、若いスタッフが椅子を並べていた。例年だと、私の顔を見れば声をかけてくれるのだが、かおを知らない人で何も言わない。退職して18年だから、知らない顔ぶれになっても当然かな?
 そこへ社内報の記者をやっているS君が来た。「まだやってますよ」と言う。
D社の業績予想を30分ほど聞く。3時過ぎまた講演会場に行く。真ん中の席に座って開会を待つことにした。
 竹中さんの講演、さすがに演説はうまい、と感心した。
「これからの日本経済と投資戦略」ズバリ先読み」と題する講演。「先読みされるのは皆さん。私はその先読みのための材料になるだろうと思われることをお話ししようと思います」と話始める。
「最初にアベノミクスの評価についてです。第一の矢については、昨年1年間の日本の株価が57&上昇したことを報告すれば十分でしょう。この間アメリカは、27%の上昇です。ドイツは20数%です。日本済は15年もデフレが続きました。この原因について、いろいろな意見がありました。「人口が減ったから」という見解もありました。「デフレの正体」と言った本がベストセラーになりました。しかし、これは間違い。なぜなら、人口が減った国はたくさんあるが、デフレに陥ったのは日本だけ。藻谷さんはこう反論していますが(「人口減少が貨幣現象としてのデフレを起こす」と主張しているわけではなく、また、「生産年齢人口の減少」だけが原因で「デフレ」が生じたといっているのではない。更に、「生産年齢人口の減少は日本以外の国でも起きているが、デフレが続いているのは日本だけだから、藻谷の論は誤りだ」という批判にこう反論しています。
「生産年齢人口の絶対数が減少しているドイツ、ロシヤ、東欧、韓国、ジンバブエなどではデフレが生じていない。」との「批判」がある。
 ミクロ経済学上の値崩れ(これが日本のデフレという)は、日本のように生産が高度に自動化・機械化され、生産年齢人口が減少しても生産力が減少しない国でなければおきません。ロシヤ、東欧、ジンバブエなどはここで外れます。
 それから、貿易収支が黒字で自国通貨が外国通貨に対して切り上り続けているために輸入品高によるインフレがおきない国でなければ、やはり生じようがない。韓国はここで外れます。さらに、企業が値下げ競争を辞さず、人件費を削りながら不採算商品の大量生産をなかなかやめないという不合理な行動をとる国であることも条件になる。ドイツはここで外れます。
 諸外国と比較したいのなら、生産年齢人口が減っている国同士を比較するのでなく、「生産年齢人口の増減以外の、ほかの基本的な経済状況が同じ国」を探して比べるのが、科学の基本中の基本。)理論的には藻谷さんの反論が正しいと思いますが、話を聞いていると、竹中さんの話が納得できる。この辺りが演説がうまいという所以です。
『デフレの原因は簡単です。日銀のお札を出す量が足りなかったのです。
他の国は年々通貨量を増やしていったのに、日銀は絞っていたのです。』
ここのところが大事だと私は思います。「通貨量を増やす」という政策が正しくなかったとしても、他国がその正しくない政策を取ると、通貨量をふやさないという正しい政策をとっている国が通貨高になり経済が不調になるということが起こります。それがグローバル経済というものです。株価上昇についても、アベノミクスが必ず成功するという誤解(かもしれない)が、株価を上げることもあるのです。
 第二の矢は財政出動です。それなりの効果はでています。「先日、小泉進次郎さんと話しました。「東京オリンピックまでは、なんとかいけるだろう。その後見たくない現実がみえてくる」彼の話はお父さんの話と同様に面白い。人間には本当にDNAというものがあると思わせます。以下財政赤字について述べる。「何しろ経団連の会長ですら年金をもらっている。高齢者であるというだけで年金をもらえる。高齢者でも高い収入のある人には遠慮してもらわないと財政が持たないのは当然です。「国民に厭な話もしないといけない。」。
 第三の矢は、規制緩和と法人税の減税によるによる民間企業の活性化です。
いわゆる岩盤規制の撤廃が必要です。
小泉内閣で行った規制撤廃すらもとに戻そうといううごきもあります。この規制撤廃が、第三の矢の正否を決める。だから、9月の内閣改造で、規制撤廃に積極的な人材が登用されるかどうかに注目する必要があります。
今までの日本経済で、一番景気が長続きしたのはいつかご存じですか。
小泉内閣の5年半ですよ。と、ちょっぴり自慢する。
(これには注釈が必要、前提が二つあります。第一に、景気が良いの意味をGDPの増加と定義する(0.1%でもGDPが増加すれば好景気とする。)
 第二に、GDPがわずかでも増加すれば、国民が経済的に潤うと仮定する。小泉内閣の5.5年の成長期に国民の賃金はほとんど増えなかった。)
総じて採点すると、第一の矢がA,第二の矢がB、第三の矢は、現状E、だからABE。これがアベノミクスの評価です。
分かり易い話で観衆の拍手を浴びて終わりました。


続・集団的自衛権

2014-07-25 | 経済と世相
続・集団的自衛権と安全保障です。前便の最後に「何が安倍首相を集団的自衛権に駆り立てているのか。それは、言うまでもなく「戦後レジームからの脱却」に不可欠の課題だから。」と記しました。しかし、戦後レジュームからの脱却と言う意味で、もっと問題にすべきことがあるのでは?とこの本では述べています。
 集団的自衛権の問題は憲法とのかかわりだけでなく日米安保条約との関係においても重要な問題である。安保条約第5条は、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と規定する。
 つまり安保条約は、日本の「施政権下にある領域」に対する武力攻撃を対象とし、日米の「共同対処」を定めたもので、日本の「領域外」における集団的自衛権の行使を前提としていない。従って、安保条約にそって、日本が集団的自衛権を行使するためには、第5条の規定を変えないといけない。
 さらに重要な問題は、第6条である。「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、米国の陸・空・海軍が日本の「施設及び区域」を使用できると定め、この使用条件を規定しているのが日米地位協定である。
 1951年1月末、大統領特使として日本との講和条約および安保条約をまとめるために来日したダレスは、吉田茂や外務省との交渉を前にして「望むだけの軍隊を、望む場所に、望むだけの期間駐留させる権利」を獲得することを、最重要目標として設定した。つまり、占領期と同じく、米軍による日本の全土基地化と自由使用の権利を、日本独立以後も維持し続けることがダレスにとって絶対条件で、それを具体化したのが、「極東条項」である。
 つまり旧安保条約は。この「極東条項」に加え、日本には米軍に基地提供の義務があるが、米国には日本防衛の義務はないという、文字通りの不平等条約であり、「片務条約」だった。だからこそ吉田首相は、サンフランシスコ講和会議に全権代表として参加することを拒否し、何か月にもわたり代表を「固辞」を貫いた。最終的に固辞を撤回したのは、サンフランシスコへの出立を翌月に控えた7月19日に、昭和天皇に拝謁した直後のことである。
 1955年8月に訪米してダレス国務長官と会談した重光外相は、当時米国の支配下にあった沖縄・小笠原に加えグアムが攻撃を受けた場合に、日本が米国を支援するため集団的自衛権を行使する用意がある、との提案を行った。重光提案の背景には、日本が集団的自衛権を行使することの代わりには「米軍撤退」を求めるという狙いがあった。しかし、ダレスは、現憲法下で日本が集団的自衛権を行使することは不可能だろうと、重光提案を一蹴した。
 つまり、ダレスは、安保条約の改定に応ずる大前提は、日本が憲法を改正して集団的自衛権を行使できるようになることであると、釘を刺したのである。しかし、米軍の基地拡張に対する反対運動が激化し、不平等条約としての安保条約の改定や破棄を求める世論が広範に高まっていった。こうした情勢を機敏に把握したマッカーサー大使は、ダレスに対し、米港にとって日本の真の価値は米軍による全土基地化・自由使用にある。このまま片務条約を続けていけば日本は、「中立主義や非同盟主義」に向かっていくと警告した。
1960年の安保改定は、このマッカーサー提案に沿って進められ、旧安保条約の「片務性」は是正された。
 以上の経緯から、仮に今後、日本が集団的自衛権の行使に踏み出すのであれば「極東条項」を規定した安保条約第6条の改定や撤廃が提起されなばならない。なかでも、焦点は、全土基地化・自由使用という「占領条項」を具現化した日米地位競艇にある。
 これこそが「戦後レジームからの脱却」である。


「集団的自衛権と安全保障

2014-07-24 | 経済と世相
なかにし礼さんの講演会で“平和憲法と天皇”という著書の販売サイン会があったが、前の日に、同じようなテーマの本を購入していたので、なかにしさんの本は買わなかった。、同じようなテーマの本とは、7月に出た岩波新書の「集団的自衛権と安全保障」、著者は豊下楢彦さんと古関彰一さん。豊下さんは、国債政治論を専攻する1945年生まれの関西学院大教授。「安保条約の成立(吉田外交と天皇外交)」なる著書(岩波新書」がある。
http://d.hatena.ne.jp/snozue/20140724
以下は、この「集団的自衛権と安全保障」から、集団的自衛権がいかにアナクロニズムの論であるかを具体的に解説したくだりです。
 首相は言う「朝鮮半島有事の際、避難する邦人を救助・輸送する米艦船が攻撃を受けた場合、日本人の載っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることが出来ない。これが現在の憲法解釈です」
 しかし、こうした事例は現実には起きえない。在韓米軍が毎年訓練を行っている「非戦闘員避難救出作戦」で避難させるべき対象は在韓米国市民14万人と「友好国」の市民8万人で、「友好国」とは英国、カナダ、オーストラリヤ、ニュウジランドというアングロ・サクソン系諸国で、避難作戦は航空機によって実施されることになっている。
 さらに、なぜ首相は原発の「再稼働」を急ぐのか。日本の原発はミサイル攻撃には全く無防備でしかも稼働中であれば未曾有の被害を招く。それでも、再稼働に突き進むのは北朝鮮のミサイルの脅威を喧伝するのは国民の不安をあおりたてるためで、本音のところは首相も、北朝鮮はミサイル攻撃をしてくるほど「理性を欠いた国ではない」と考えている?北朝鮮が日本や米国を攻撃すれば、それを奇貨として米国の総反撃によって体制が崩壊することを覚悟した“理性を欠いた自殺行為”に他ならない。
 南沙諸島で、ベトナム・フィリピンと中国の間で紛争が起きた場合、日本政府は集団的自衛権を行使できるとの宣言を受けて、ベトナム・フィリピンが、日本の軍事的支援を要請してきたら、日本はどう対応するか。首相は「集団的自衛権は抑止力を高める」というが、この要請を拒否した瞬間、抑止力はなくなる。
 さらなる問題は、安倍首相が執念を燃やす「機雷掃海」具体的には、ホルムス海峡にイランが機雷を敷設した場合に、海上自衛隊が掃海艦を派遣して除去させるという。この機雷掃海と集団的自衛権との関係。
 想定としては、イランによる機雷敷設を米艦船への武力攻撃とみなした米国が、日本に集団的自衛権を行使するよう「明示の要請」を行う。この要請を受けて海上寺衛隊が機雷除去を行う。政府・自民党は、機雷掃海は地上戦のような戦闘行為でないから「限定的かつ受動的な武力行使」だという。しかし、日本による機雷掃海を敵対的な「武力行使」と判断したイランが、掃海戦の護衛艦に攻撃を加えてきた場合、日本はイランとの間で本格的な戦争になる。
安倍首相は「海外派兵はいたしません」と言明してきた。ところがホルムス海峡は、オマーンあるいはイランの領海によって占められ公海は存在しない。「海外派兵しない」という公約に従えば、自衛隊の掃海戦はホルムス海峡の手前で引き返さなければならない。オマーンの同意を得て領海に入ることが想定されているとすると、当事国の同意や要請により自衛隊が他国の領域に入るのなら、「海外派兵しない」という公約は反故になる。
 何が安倍首相を集団的自衛権に駆り立てているのか。それは、言うまでもなく「戦後レジームからの脱却」に不可欠の課題だから。 最大の眼目は青年が誇りを持って「血を流す」ことができるような国家体制を作り上げていくところにある。


なかにし礼さんが語る

2014-07-21 | 経済と世相
なかにし礼さんの「この国のゆくえ 一志は千里にあり」にありと題する無料の講演会があるという記事を新聞に見つけ、20日午後、行ってみることにしました。主催は「愛知県私学教職員組合連合会」他で、場所は瀧子の名古屋市立大学経済学部とありました。
 瀧子の名市大は、昔(昭和30年)名古屋大学教養部だった場所にあります。戦前は旧制八高のあった場所です。かれこれ60年も前ですが、小生の通った学校のあった場所、「あの辺りはどうなったかな、と思ったことも講演会に行こうと思いたった理由です。
 地下鉄桜山駅7番出口を出て歩き始め「そうだ、この道は入学試験の時に歩いた道だ」。
市大の校舎に着くと、講演会の看板が建っている。案内に沿って経済学部の大教室に行くと、まだ開始10分前だが暑い日差しの中入場者並んでいる。講師のネームヴぁリューのためか。入場者が多いようだ。まもなく入場が始まったが、席はない。立見だが、やむを得ない。
昔、ドイツ語を学んだ教室はこの辺りだったかな。
司会者が挨拶し、「講演後に最近出版された“平和憲法と天皇”をご購入された方に、著者のなかにしさんにサインして頂くサイン会をおこないます」と言う。
http://www.nakanishi-rei.com/
講師が登壇し、講演がはじまったが、途中で「なんの話しだったかな?」と演者が語ってしまったように、あちこち話がとんだが、言わんとするところは良く分かった。
要するに安倍政権の「集団的自衛権閣議の憲法解釈変更決定には徹底的に反対せよ」ということだ。
 以下、なかにし節の一端を紹介します。
 司馬遼太郎さんは、“この国のかたち”という著書で、昭和初期の20年を禍々しい時代と評した。その禍々しい日本に戻そうという動きが最近見られる。
 湾岸戦争で「カネは出したが血は流さなかったことを恥ずかしいと思う人がいるようだが、過去69年間、一人の兵士も殺さず、一人の兵士も殺されなかった軍隊は、日本の自衛隊以外にはない。これは胸を張って自慢できる事実だ。
 「戦争は無益で愚劣な行為」とエラスムスも言っている。大岡昇平のレイテ戦記を読んでみてください。武田泰淳の“ひかりごけ”の人肉を食う記述をご覧ください。これが戦争なんです。「どうしても食べるものがなければ人肉を食べるのも仕方ない」という人がいる。しかし。「どうしても食べるものがなくても人肉は食べない、というのが文化でしょう」
 先日皇太子殿下が沖縄を訪れ、戦中、輸送船で撃沈され命を落とした千数百名の児童を慰霊された。慰霊碑には亡くなった児童の氏名が刻されているが、すべての児童ではない、名前がわからない児童の名はない。知覧でもそうです。特攻隊で死んだ若者の氏名が刻まれている。しかし、氏名のわからない死者の名前はそこにない。
 本当に国民のための政府なら、爆弾を抱えて死ぬことを強要した若者の氏名がわからないということはあり得ない。そんなものなんです。私は戦後、満州から船で帰国しました、船の乗船名簿はありません。だから、もし、あの船が沈められていたら、慰霊碑は建てられたとしても、私の名は残されない。
 慎太郎さんは、核武装せよという。しかし広島の原爆記念館を見学し、展示してある写真とものを見てモノを言ってもらいたい。私は石原氏の弟さんには、たいへんお世話になった。だから、お兄さんの悪口はい言い難いのだけれど。先日、知事選で細川さん、小泉さんについて回った。細川さんはダメですね。育ちがいいので、きついことは言わない。それに比べ小泉さんはガンガンいうから面白い!(育ちが悪いかな?)政治に発言するときは、きつく言わないといけない。
 20人の村会議員のうち15人が逮捕されたと話題になっている。でも、彼らが国会議員の予備軍なのです。閣議決定なんていっても、閣議に出る閣僚は国会議員のなれのはて。彼らは国民がカネを払って雇っている従業員に過ぎない。経営者は国民です。
 私たちの義務は、「戦争で、人を殺さない、戦争で人に殺されない社会を時代の国民に残すこと」です。「むずかしいことではない。選挙の時にノーを繰り返せばよいだけだ」等々1時間半にわたってぶちまくりました。
講演の内容は、先ほど紹介のインターネットサイトのなかにしさんの詩「平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう」がすべてですので、私の下手な要約よりそちらをご覧ください。
4時40分終わって、帰りは瀧子バス停から金山、地下鉄乗り換えで30分で帰宅しました。行は50分かかりましたから、バスと地下鉄を組み合わせると、効率的に移動できますが、バスが1時間に1本では使いにくいですね。

百日紅 年々歳々花あい似たり

2014-07-17 | Weblog・人生・その他

頸の怪我の後、ジョギングを自重し、5月中旬以降走っていません。
もう7月、お城の百日紅は咲いているだろうなと、昨日、カメラを持ってお城まで行ってみました。
あざやかなピンク色の花を咲かせていました。
百日紅というぐらいで、此花一月ぐらいは咲き続けますから、来月いっぱい見ごろが続くと思います。
 ついでに、名古屋場所の県体育館の様子をみてこようと、体育館に。「遠藤関さんへ」など、幟が立ち並んでいました。


電王戦の顛末

2014-07-15 | 経済と世相

電王戦とは、コンピュータソフト対プロ棋士の対戦です。米長永世棋聖がコンピュータソフト・ボンクラーズと対戦し、話題を呼んだのは、2012年1月のことでした。これが第1回の電王戦。それ以後の電王戦はどうだったか、『ルポ電王戦』(松本博文著、NHK新書、2014年6月)を読んでみました。
 第2回電王戦は、棋士5人vsソフト5チームという団体戦でした。
米長は第2回電王戦の結果を見ることなく2012年12月18日、前立腺がんで死去、後年69だった。
 電王戦に出場するソフトは、2012年、コンピュータソフト選手権大会で1位から5位までに入賞したソフトである。括弧内は開発者です。
1位 GPS将棋(チ-ムGPS)
2位 Puella a(ボンクラーズ改め、伊東英起)
3位 ツツカナ(一丸貴則)
4位 PONANZA(山本一成:1984生まれ、犬山市出身)
5位 習甦(竹内章)
これに対し、棋士側は舩江恒平5段(1987生まれ)阿部光璃4段(1994生まれ
)、佐藤慎一4段(1982生まれ)、塚田泰明9段(1964生まれ)、三浦弘行8段(1974生まれ)と決まった。
第1局 阿部vs習甦 阿部の完勝
第2局 佐藤vs PONANZA 現役棋士初めてコンピュータに敗れる。
第3局 舩江vsツツカナ 184手の大熱戦でツツカナが逆転勝利。電王戦屈指の名局。
ぢ4曲 塚田vsPuella a 240手で入玉戦引き分け。
第5局 三浦vs GPS 三浦投了。三浦がはっきりとした悪手を刺したようには見えなかった。人間の目にみえる悪手がなくて勝てない。これはどういうことか。
2014年の電王戦のソフト側の出場権は、2013第1回電王トーナメントの1位~5位の入賞者に与えられた。
2014年電王戦
 阿部首相の振り駒で奇数局がプロ側の先手と決まった。
第1局 菅井達也5段(1992生まれ)vs習甦 有明コロシアムにて。
 99手で菅井投了。菅井は一例。電王手くんも腕を折り曲げ一例。今回からコンピュータ側の指し手は、でんそうの開発したロボット、電王手くんである。
第2局 佐藤紳哉6段(1977生まれ)vsやねうら王 両国国技館にて。
中終盤の激しい攻防を制したやねうら王に95手で佐藤は敗退した。
第3局 豊島7段(1990生まれ)vs YSS あべのハルカスにて。
豊島完勝
第4局 森下卓9段(1966生まれ)vsツツカナ 小田原城銅門にて。
得意戦法の一つである矢倉で立ち向かうも、135手で敗退した。
第5局 屋敷伸之9段(1972生まれ、18歳で棋聖位獲得得)vs ponanza 将棋会館にて
http://chesirecat0512.blog117.fc2.com/blog-entry-578.html
コンピュータ将棋の歴史に残る名局でした。

頸の怪我と水泳の持久力

2014-07-14 | 水泳
台風8号が通過した11日夜、名古屋市総合体育館の「スポーツ医事相談」に出掛けました。例年1回冬に受診している。前回は今年の一月でしたが、今回夏に受診することにしたのは、以下の理由です。
2月22日午後、階段で転倒(愛知県図書館の3.F.4Fの踊り場から3Fまで足を踏み外し転落)した。直ちに救急車で八事日赤病院に運ばれ鼻と額を13針縫う大けがをした。救急車の中で、両手の掌にしびれがきたので、その旨、救急隊員に訴えると「頸を痛めたのですね」と言う。病院でCT、レントゲン写真で頸を診断した。
 掌のしびれは夜にはおさまったが、頸が痛くて右を向けなくなった。
その後、外傷は治ったが、頸の痛みは続いている。20日ごとに整形外科医に診察してもらっている。
ジョギングも4月から一日4㎞程度で再開したが、5月後半からやめている。
水泳は一月、休んだが、3月下旬から水泳は再開した。ところが、泳ぎがおかしい。泳げることは泳げるが、極端に持久力が落ちている。以前は100mバタフライを泳ぐのは、そんなにむずかしくなかったが、今は25mで息が上がり、50mになると沈んでくる。他の泳ぎでも同様である。
 
「頸の神経を痛めて、水中の姿勢をバランスさせることができなくなったのでは?」と整形外科医に聞くと「バランス感覚は三半器官だから、耳鼻科で診てもらう必要があるが、常識的には、心肺機能が落ちてきたことを疑う。運動心電図で確認すべきでは」とアドバイスされた。運動心電図なら、医事相談を10年以上続けているから、毎年冬に受診していた医事相談を受診して、過去のデータと比較したいと、申込みました。
 私の推定では、特に左足のキック力が極端に落ちていて、浮力が十分得られず、腰が落ちているため、水の抵抗が大きくなった結果、泳力が落ちている?
どういうトレーニングをすれば、泳力がもとに戻るか、アドバイスを得たかったのです。

一一日一九時から受診。例年通り、尿検査、身長・体重・肺活量測定と進む。体脂肪率10.8だ。両足の筋力をみる脚伸展パワーの測定。これは、前回より30Wぐらい落ちている。その後、メインの自転車エルゴメータ(自転車をこぎながら心電図をとり一定の時間間隔で血圧、脈拍を測るものです。脚にかかる負荷(ワット数で表示)は徐々に増加させていきます。)です。徐々に負荷を上げながら、10分弱自転車をこぎ、心拍数が100を超え、血圧が200を超えた時点でストップ。運動中の心電図に、異常なし(虚血性変化、不整脈なし)。最後にダウン5分で終了。測今回の最大酸素摂取量(ml/㎏・分)は69.6!これにはびっくり!」
予測最大酸素摂取量は前回、57.9(前々回前回58.8、その前52.9)です。70近いのは、最高記録です。少なくとも、持久力については完璧です。なぜ、最大酸素摂取量が落ちないのか?運動強度が落ちてなく、むしろ上がっているからだと思いました。
泳ぎが下手になり、一日1000mを泳ぐのがきつくなっている。にも拘らず、懸命に1000mを泳いでいるので、毎日の運動強度が上がっているのです。だから、体脂肪率も悪くない。
「負荷中の脈拍・血圧の反応良好。負荷終了後の脈拍・血圧の回復も正常です。昨年よりも改善傾向になっていますね。運動能力は十分ありますよ。」との診断です(名市大藤田医師)。次に芝原スポーツ・アドバイザーとの面談。
「データから判断する限り、特に体力が落ちているとは思えない。泳力がおちているというのは、怪我をした後トレーニングを休まれたからと思います。プロの選手でも1月練習を休むともとに踊るのに3ヶ月以上かかります。焦らずに、少しずつ泳力のもどるのを楽しみに練習すれば、必ず元に戻ると思います。もし、戻らなければ、整形外科を専門にするスポーツ医を紹介します」とのことでした。
8時に、体育館を辞去、9時前帰宅しました。

「記憶力を強くする」(脳の勉強2)

2014-07-08 | 読書
「記憶力を強くする」(池谷雄二著、講談社ブルーバック)を読んでみました。
最終章で、記憶力を良くする薬について述べています。この種の薬ができれば、認知症に有効ですが、これは。知能のドーピングを意味するから、使用には慎重になるべきだという意見が出ると思います。しかし、スポーツでドーピングが問題になるのは、ドーピング薬に毒性があるからです。安全性が保障されれば、知能のドーピングは問題ないと筆者は言います。
 しかし、みんなが平等に知能のドーピング剤を使えば、差がつかないから意味がないという人がいるかもしれません。しかし、筆者は言う。知能の増強で期待される効果は、テストの成績の上昇や出世だけでない。記憶力が良くなれば、勉学に使う時間が少なくて済みますから、余った時間を趣味や家庭サービスに使えます。
 薬以外にも脳を増強する方法があります。減少した脳細胞を移植することです。その候補として注目されているのが、海馬の顆粒細胞です。この細胞だけが、脳細胞の中で、増殖機能を持つからです。しかしこれらの薬、手術が有効なのは、記憶の「獲得」と「固定」です。
 記憶には、「学習すること」、「記憶を蓄えること」、「思い出すこと」という三つの段階があります。これらの段階は、それぞれ記憶の「獲得」、「固定」、「再生」と呼ばれます。この本では「再生」についてはほとんど触れていません。その理由は、現代の脳科学がまだ「再生」という現象をほとんど解明していないからです。海馬はLTPを使って情報の取捨選択「獲得」を行い、完成した記憶を側頭葉に保存するというように「獲得」や「固定」については、LTPという現象を調査してかなり詳しく解き明かされてきました。
73年、スウェーデンの神経学者ブリスとレモは、ウサギの海馬でシナプス可塑性を発見しました。彼らの発見はこうです。
海馬の歯状回(を構成する回路の神経細胞)のシナプスを高い周波数で刺激すると、シナプス伝達の効率が上昇し、この現象は刺激の後、長時間持続した。このことを「長期増強(LTP)と言います。ウサギだけでなく、ヒトを含むすべての動物の海馬で確かめらえました。そして、LTPの生じた神経細胞では、信号は早くかつ強くつたわるのです。、
しかし「再生」になると、脳科学は口を閉ざしています。その理由は、「再生」という行為には、「記憶」以外の脳の機能が関与しているからです。
 「思い出す」という行為は、脳にとって想像を絶するほど煩雑な仕事なのです。保存されている無数の記憶を「検索」して、その中から目的の記憶を探り出すのです。つまり、「思い出せ」という指令を数pp九の神経回路に次々送ることで、必要とされている神経回路を発見する必要がある。脳には神経回路が無数にあるから、全く関係のない神経回路を検索していたら、いつ目的の回路に行きあたるかわからない。でたらめに回路を検索していたら、検索の成功確率はとても低くなります。これを克服するため、脳は互いに連絡のある神経回路にそって記憶を検索します。「忘れる」とは記憶が「固定」されているのに、「再生」できないことです。
 以上の「再生」の説明で、脳科学は「再生」を解明していると言えるか?Noです。再生とは「思い出せ」という指令で、必要な情報の書き込まれた神経回路を発見することですが、「思い出せ」という指令とは何か。これは意識(意思)です。「意識」について、換言すると「こころ」について脳科学の解明が全く進んでいないのです。
私見ですが、「こころ」は「記憶」の累積で生まれるものと考えます。そうだとすれば、「海馬」「LTP」、「記憶」と解明してきた脳科学が「こころ」を解明する時もいずれ訪れると考えます。
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記憶力をつよくする」