古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

貧困率と日米経済協議

2006-07-29 | 経済と世相
 先日(20日)、日本の貧困率が先進国(OECD加盟国)中、米国に次いで2位になったという(OECD発表)報道がありました。
 「貧困率」とは、国民の平均収入の二分の一に満たない収入の人が何%かで表わし、勿論数字の高いほど経済的格差が大きいことを意味します。
 日本は13.5%(米国13.7%)で、ほとんど米国に追いついた!注目すべき
は、これが2000年のデータに基づいていること。2006年の数字はまだ出ていないわけですが、米国を追い抜いているかもしれない。かつて、先進国の中で、最も平等な国といわれた日本が、どうしてこんな格差社会になってしまったのか。

 私は、1989年から始まった日米経済構造協議に原因があるのでは?と思っています。勿論、理論的裏付けは、現時点ではありません。折をみて、この日米経済構造協議と格差社会の問題を研究してみたいと思っています。

 日米経済構造協議というと、日米が対等に協議するかのように思われますが、構造改革をやらされるのは日本だけで、米国の何かを改善するという話はありません。
 大体、”initiative”を協議と訳するのがおかしい。対等であるかのごとく国民を欺瞞するため、官僚が「協議」と訳したのではないでしょうか。

 ことの起こりは、貿易で日本が稼ぎすぎるのは、日本(の社会構造)が悪くて米国の対日輸出が伸びない、といういちゃもんからだった。いちゃもんの当否は別として、輸出入というお金の問題です。たかが金の問題で、日本の伝統社会を壊してしまうような、改革(実際は改悪)をやってしまった官僚は万死に値する。
 日本の官僚の質の低下を物語るもの、と思っています。

 OECDという外国人からみても、「景気低迷で正社員が減り、賃金が安いパートなど非正社員の増加が原因」と分析しているのに、「高齢化のため、表面的に格差拡大に見えるだけだ」などとノタマウ官僚は、国民のために仕事をしているのだろうか。

以下、ウィキペデイアの「貧困率」から引用。

最新のデータによれば、日本の貧困率は15・3%で、調査対象国中、メキシコ、米国、トルコ、アイルランドに次いで5番目に高かった。逆に、西欧諸国は大半が10%以下で、特に全調査国中最も低かったデンマークを筆頭に北欧諸国が低い。日本は、かつての調査では北欧諸国並みの水準で、「一億総中流」と言われたが、わずか10年余りの間に驚異的に貧富の差が拡大した事になる。







続・福井問題

2006-07-15 | 経済と世相
 「愛ルケ」の作者、渡辺淳一さんが週刊新潮7/13号で「福井問題」に触れていました。
【・・一番】頭のいい人が集まる東大を出て、超一流の会社に勤めたから、人間的にも素晴らしいというわけでもない。 その典型が、いま問題になっている福井日銀総裁。
 この人、東大法学部を首席で出て、司法試験、外交官試験、公務員試験のすべてに合格した。いわば四冠王で、勤めたのが超一流の日本銀行。
 まさにエリート中のエリートだが、村上ファンドへの投資で、その化けの皮が一気に剥がれてしまった。
 1000万円が6年間で2.5倍に膨れ上がったのに、「巨額の利益を上げたとは思わない」と発言。それを批判されると360万円程度の給料カットで、「深く反省している」と言ったり,一任勘定について質問されると、「よくわかりません」と答えたり、支離滅裂。
 ただただうろうろして、やたら素直に謝るかと思ったら、平然と総裁職に居座る。
 これを見てまず思うことは,世間一般の常識が欠けていること。加えて頭のいい男らしい才知も策略もない。なぜこんなつまらない人間ができたのか、答えは簡単。
 いい大学を出て日銀に勤めて、あの人はすごく頭がいいえらい人、といわれているうちに、世間も庶民感覚も分からなくなった。
 くわえて知恵を絞ることもなく、気がついたら、ただぼうっと年齢をとっただけのおじさんになってしまった、というわけ。】
 いささか、酷な言い方だが、実態はまさにこの通りと私も思う。
 もう一人、小説『日銀券』の作者、幸田真音氏も週刊文春6/29号に記してい
る。
【福井総裁が村上ファンドに投資していた問題は、本当にショックでした。ファンドとの契約内容を衆院財務金融委員会で問われて、「本当にど素人で、契約書の隅々まで読んだことはない」と福井総裁が発言したときは、耳を疑い、心底がっかりしました。釈明のための咄嗟の詭弁だとしても、金融政策の頂点に立つ方として言ってはならない言葉でした。世界から、日本の中央銀行総裁はこの程度か、と見られるのが残念でなりません。
 福井総裁がどう釈明されようとも、最大の疑惑を招いたのが、2月の解約です。1月23日にライブドアの堀江前社長が逮捕され、疑惑が村上氏にまで連鎖することを知り得る立場に福井氏はありましたし、3月には量的緩和の解除を行なっています。
例え解約の理由が本当に「村上氏の志の変化」だったとしても、「村上逮捕の情報を得て、慌てたからでは」「量的緩和の解除で株価が下落する前に売り抜けたのでは」との疑惑をもたれること自体、総裁としてあってはならないことなのです。】
 福井さんにしても先日亡くなられた橋龍さんにしても、エライ人が晩節を全うすることは難しい。偉くない我々はそんな心配をする必要がないので幸せかも?


福井問題

2006-07-11 | 経済と世相
 このところ、日銀総裁のファンド投資についての議論が新聞紙面を賑わせていま
す。
 【福井氏は今年2月に村上ファンドへの投資解約を申し入れている。その直後の3月に日銀が株価下落につながる量的緩和策の終結を打ち出した。福井氏がその前に利益を確保しようと意図したかどうかは分からないが、疑わしい行動には違いない。】(藤井裕久氏、6/30朝日)
 【政策審議委員には就任時に財産を信託するように求めてきたが総裁には同じことを要求しなかった日銀の「身内の論理」にも問題は大きい。】(川本裕子氏、6/30朝日)
 【国の中央銀行総裁という仕事の重みは、金融界で仕事をした経験がないと、今一つピンとこないかもしれない。これは、深い金融知識と意思決定力と見識が必要で、誰でもできる仕事ではない。・・・中央銀行のトップは、例えるなら優れた脳外科医
のようなウデが必要なのだ。福井氏が不備を改めた上で職務を続けることの方が、国民のメリットは大きいと思う。】(藤巻健史氏7/8朝日Be)
 以上のような記事を読んで、小生の意見を下記しますと・・・
 藤井氏と同様な疑いを抱いている。量的緩和終結で株価の値下がりを予測して,
ファンドの解約を2月に行なった。日銀総裁だから、これは究極のインサイダー取引である。
 もう一つ,氏が村上ファンドと契約した99年には、一任勘定は、認可を受けた法人のみに認められていた。当時、村上ファンドはこの認可を受けていなかった(01年に認可)。従って、99年に村上ファンドに一任勘定した福井氏の行為は違法行為?
 つまり、福井氏の村上ファンドとの契約は、契約時も解約時も違法の疑いがある。
 村上氏がインサイダー取引で逮捕されるのなら、福井氏も逮捕されるべきで、法の適用には、人により恣意性があってはならない。どんなに優秀な人であろうと、法を犯した人は留置場に入ってもらうべきだ。総裁を辞めるとか続けるとかいうレベルの話ではない。
 ついでながら、村上氏のインサイダー取引容疑には、私は疑問を持っています。
「あれは本当にインサイダー取引なのか?」と。
 証券取引法を読んでいませんので、詳しいことは分かりませんが、公表されていない情報を入手して、公表前に株を購入または売却するのが「インサイダー取引」だと思いますが、今回のケースは、村上氏が、情報を入手したのでなく、策を弄して情報を作りあげた?
 にも拘わらず、何故村上氏は「インサイダー取引」を自ら認めたか?今回のような言わば、偽計による株価操作は、インサイダー取引よりも罪が重いのでは?だから、より罪の軽い「インサイダー取引」を早々に認めた?
 これに対して、福井氏の場合は、完璧に「インサイダー取引」と思います。

追伸:「福井総裁 一任勘定」あるいは「村上ファンド 一任勘定」などでGoogle検索すると、面白いニュースが沢山出ます。お暇な方はどうぞ!


変化する株主総会

2006-07-04 | 経済と世相
 6月29日は株主総会の集中日、D社の株主総会に出かけました。これで10年
連続出席(表彰してくれないかな)。栄の名証ホール。D社に勤務していた頃の懐かしい顔ぶれが、次々と顔を見せる。
 定刻10時、始まった。型どおりの進行で、質問の時間。一番先に手を挙げる。
 今期の決算では、経常利益が10.3%増加したのに、税前純益は14.4%の減益となった。特別損失として、約4億の減損損失と約10億の土地改良費用の損失があったからだ。
「減損損失の具体的内容を説明してください」
「通常の経常利益の4割にもなる費用が発生するという情報を、株主に対して何時
開示したのか?」
 回答は常務から、「購入した土地の利用がうまく行かなくて、現在の価格で土地評価した評価損を計上した。(これについては他の株主から「土地の有効利用に工夫が足りないのでは?」との指摘が出た。)
 更に常務から「昨年11月、今期業績見通しの修正で、公表しました」という回答。 多分インターネットで公表しているのだろうが、その情報は見落としていた。私も気がつかなかったぐらいだから、気付いた株主は少ないと思う、でも私としては、どうして11月になるまで開示できなかったのか、の説明が欲しかったのだが・・・ (土地改良とは、旧本社工場跡地の利用を図るために、工場操業時蓄積されたトリクレンやカドミや鉛など公害物質を除去する土壌改良事業です。)
 後,あまり質問が出ないのが例年だが、今年は違った。活発に発言したのは、D社のOBです。
 「利益処分の役員賞与が多すぎると思う。一体どういう基準で算定したのか?」
 「内規に基づき、業績にスライドさせました」
 「業績とは具体的に何をさすのか?」
 「経常利益です」
 「それはオカシイ。今年のように特別損失が出ても、関係なく役員賞与を出すことになってしまう」
 活発な質問があって、結局終了したのは11時15分。今まで11時を過ぎたことはなかった!
 総会の後、株主懇談会まで、約20分の休憩。ロビーで、元D社役員のHさん、
「時代が変わったということだなぁ」。
 懇談会では、珈琲とケーキのサービス。ここでも、元社員の株主から活発な意見質問が出された。元社員でない一般株主からは、5月の決算発表後の株価急落について「社長さんの説明でよく理解出来ました。日経では、「減益」とだけ報道されたので、急落したのだと思います。会社の広報担当は上手にIRをして欲しい。日経に損害賠償請求した
い!」
 違うんだなぁ、10億もの特別損失。前から分かっているのに(何年も前から経営計画に入っているべきで)直前にならないと発表できないような経営体質への、市場からのクレームだと、私は思う。
 いずれにしても、株主総会は変わりつつあります!