『がん放置療法のすすめ』(近藤誠著、文春新書)を読みました。
この本の存在を知ったのは、週刊朝日7月20日号で、生物学者の池田清彦さんが紹介していたからです。池田さんは【がんを放置するとどうなるか。①大して変化がない、②増大して治療せざるを得なくなる、③縮小し場合によっては消失する。②だけが悪性のがんで、①や③はがんもどきで治療する必要はないと近藤は言う。やっかいなのは①、②、③の違いは病理検査では分からないことだ。・・厚労省は検診は医療費削減のためと言い張っているが、勿論これは真っ赤なウソで、検査も治療もしなければ医療費は減少するに決まっている。「早期発見・早期治療は」とは厚労省の利権と医者の金儲けのためのキャンペーンなのだ。(がん放置療法を主張する)近藤誠が出世しないのも理由ないことではない。】と述べている。
早速、市立図書館で借りてきました。
著者の主張を裏付ける症例(患者150人の証言)を集めた本でした。
近藤さんは、度々雑誌文藝春秋に寄稿していますので、彼の主張の大体は知っていましたが、今回読んで始めて知ったことが一つ。
がんの手術後、転移が出て死亡したという話はよく聞きます。私は、手術の後、がんが転移したと思っていたのですが、実は、手術前にもう転移していたというのです。がん細胞が発生しても、それががんと分る大きさになるまでには相当期間がかかる。手術後、半年や1年で転移が分るというのは、手術前に転移していたのだそうです。
一番印象に残る記述は、【がんは老化現象です。年齢を重ねるなかで遺伝子変異が積み重なった結果ががんなので、年齢が高くなるほど発ガン頻度が上がるわけです。そして老化現象だから、放置した場合の経過が温和なのです。
ただ本物のがんの場合は、老化現象の究極として、いずれ死を呼び寄せます。しかしその場合も、なりゆきを癌に委ねれば、自然の摂理に従って人生を完結させてくれます。
とはいえ、生きていた一人の人間が亡くなるというのは、肉体面の大事業です。それで死が近づくと、体に多少の軋みが生じ、苦痛等の症状が生ずることがあります。
大事なのは、がんでは症状が出ても、緩和の方法が確立していることです。それゆえ(痛みに対し鎮痛剤ではなく抗がん剤を用いるごとき)治癒法選択の誤りを起こさなければ、QOL(生活の質)を回復させられます。】
これを読んで思ったこと。70歳を過ぎてもし、がんが見つかったら、手術や抗がん剤の使用は絶対に避けよう。特に抗がん剤はある意味で毒薬です。
化学療法薬は、がん細胞を攻撃するだけでなく、正常細胞も同じように攻撃してしまう。そのため、がん細胞を殺そうとすると、正常細胞にも深刻なダメージを与えることになる。重い副作用が現れるのは、がん細胞も正常細胞も区別することなく攻撃するからなのだ。毒薬たるゆえんです。(近年がん細胞のみ攻撃するという分子標的薬も開発されてはきたが、この本の筆者は固形がんには効かないと言う。)
成り行きに任せて、痛みを感ずるようだったら、モルヒネを処方してもらうだけでいい。人間はいずれ100%死ぬ存在なのです。
この本の存在を知ったのは、週刊朝日7月20日号で、生物学者の池田清彦さんが紹介していたからです。池田さんは【がんを放置するとどうなるか。①大して変化がない、②増大して治療せざるを得なくなる、③縮小し場合によっては消失する。②だけが悪性のがんで、①や③はがんもどきで治療する必要はないと近藤は言う。やっかいなのは①、②、③の違いは病理検査では分からないことだ。・・厚労省は検診は医療費削減のためと言い張っているが、勿論これは真っ赤なウソで、検査も治療もしなければ医療費は減少するに決まっている。「早期発見・早期治療は」とは厚労省の利権と医者の金儲けのためのキャンペーンなのだ。(がん放置療法を主張する)近藤誠が出世しないのも理由ないことではない。】と述べている。
早速、市立図書館で借りてきました。
著者の主張を裏付ける症例(患者150人の証言)を集めた本でした。
近藤さんは、度々雑誌文藝春秋に寄稿していますので、彼の主張の大体は知っていましたが、今回読んで始めて知ったことが一つ。
がんの手術後、転移が出て死亡したという話はよく聞きます。私は、手術の後、がんが転移したと思っていたのですが、実は、手術前にもう転移していたというのです。がん細胞が発生しても、それががんと分る大きさになるまでには相当期間がかかる。手術後、半年や1年で転移が分るというのは、手術前に転移していたのだそうです。
一番印象に残る記述は、【がんは老化現象です。年齢を重ねるなかで遺伝子変異が積み重なった結果ががんなので、年齢が高くなるほど発ガン頻度が上がるわけです。そして老化現象だから、放置した場合の経過が温和なのです。
ただ本物のがんの場合は、老化現象の究極として、いずれ死を呼び寄せます。しかしその場合も、なりゆきを癌に委ねれば、自然の摂理に従って人生を完結させてくれます。
とはいえ、生きていた一人の人間が亡くなるというのは、肉体面の大事業です。それで死が近づくと、体に多少の軋みが生じ、苦痛等の症状が生ずることがあります。
大事なのは、がんでは症状が出ても、緩和の方法が確立していることです。それゆえ(痛みに対し鎮痛剤ではなく抗がん剤を用いるごとき)治癒法選択の誤りを起こさなければ、QOL(生活の質)を回復させられます。】
これを読んで思ったこと。70歳を過ぎてもし、がんが見つかったら、手術や抗がん剤の使用は絶対に避けよう。特に抗がん剤はある意味で毒薬です。
化学療法薬は、がん細胞を攻撃するだけでなく、正常細胞も同じように攻撃してしまう。そのため、がん細胞を殺そうとすると、正常細胞にも深刻なダメージを与えることになる。重い副作用が現れるのは、がん細胞も正常細胞も区別することなく攻撃するからなのだ。毒薬たるゆえんです。(近年がん細胞のみ攻撃するという分子標的薬も開発されてはきたが、この本の筆者は固形がんには効かないと言う。)
成り行きに任せて、痛みを感ずるようだったら、モルヒネを処方してもらうだけでいい。人間はいずれ100%死ぬ存在なのです。