古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

為替介入の問題点

2004-04-22 | 経済と世相
 以下は週刊朝日4月15日号に載った堺屋太一さんの文章です。
【4月7日、財務省は3月末の外貨準備高が8266億ドルになった、と発表した。
1年前より3300億ドルの爆発的な増加である。
 急増の主たる理由は、政府・日銀の行った為替介入だ。2003年度の円売りドル
買いは30兆円にも達する。3年前の小渕・森内閣当時とは、ケタ違いといえるほど
巨額だ。
 それに伴う損失は大きく、既に8兆円を超えている。1年間の消費税の税収は約9
兆5000億円、その9割近い金額が、外国為替特別会計の評価損になっている。
 為替介入の意思決定は主として政府、つまり財務省の財務官ら少数が行っている。
彼らはどういう理論的根拠か説明もせず、円の対ドル相場を円安ドル高に保つべき
だ、と考えた。そしてそれを、政府の、というよりも自分達の権威と権力でできると
信じた。これまで何度も為替介入をしても結局は効果がなかった前例があるにもかか
わらずだ。・・・
 それでも関係閣僚の目配りが利いていた時代には、介入額は抑制され効果的な時期
と手法を考える努力はした。ところが小泉内閣は思考停止状態だから、官僚達はやり
たい放題、確たる根拠もなく無制限に為替相場を楽しみ出した。
 金額に歯止めがなくなると、頭脳は止まる。ただただ力ずくで円を売り、ドルを
買った。一時、円が110円まで下がると、押し下げ効果を狙ってさらに円売りをし
たが、そのかいもなく相場は逆転し、すぐ105円前後になった。それが急に3月下
旬には介入をやめた。8兆円もの損失を残して。
 銀行であれ商社であれ、これほどの損を出せば担当者はクビどころでは済まない。
だが、官僚は誰一人クビにも戒告にもならない。・・・
 官僚の損しだい放題体質はこれに限らない。年金基金や雇用保険は、大赤字の保養
施設や劇場を造って消費税収入と同じほどの累積損を出している。ここでも責任を
取った官僚はいない。】
 この文章が示す問題点、即ち、政府が為替介入することの問題点を考えて見ます
(順不同)と、
1.損失のツケは、最終的に国民に回される?
2.一時的であれ、円安誘導することは、輸出企業に補助金を出すことに等しいので
は?
3.ドル買いで得たドルで、政府は米国財務省証券を買っている。この米国債は利子
が得られるメリットはあるが、自由に売れない?(売りに回ると、米国政府からク
レーム?)
4.政府は円安で、景気の下支えができると考えているようだが、本当に景気に好影
響するのか?
5.ドル買い資金の円が世界中に流れていくが、将来、これらの言わば自由円を、日
本政府がコントロール出来なくなるのでは?
 これ以外にも問題はあるかもしれませんが、政府・日銀が何の説明もなく、為替介
入したり、止めたりしていることこそが、一番大きな問題ではないでしょうか。

追伸:22日、中日新聞ファインダーで「政府・日銀は今回の介入で得たドル資金で
米国債を購入し、米国のイラク戦争の戦費を調達した。これが介入の真の目的だ」と
の記事がありました。
 最初から、その目的でやったかどうかは断言出来かねますが、結果を言えばその通
りだと思います。


最新の画像もっと見る