古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

同級会の顛末

2004-10-31 | 旅行
 10月26日は知多美浜の”かんぽの宿”へ行く。中学の同級会である。前の週伊
良湖へ、つまり渥美半島の先端へ行った。今度は三河湾を挟んで知多半島の先端に近
い。
 私を含め幹事3名が、皆より一時間早く2時に着いた。受け付け設置など準備を済
ませ、「一番遠くからきた人に”遠来賞”をあげようと、土産物をホテルの売店で探
す。「¥3000ぐらいで適当な名産ってない?」売店のおばさんに聞くと、「¥3
000はないよ。今時そんな高いもの置いても売れない。¥1000ぐらいが一番出
るの!」
 「へえっ、世の中不景気なんだ。」¥1000を二つ重ねて、”遠来賞”を作っ
た。

 残念ながら、34名しか集まらなかった。3~4日前までは、43名出席予定だっ
たが、土壇場のキャンセル。どたきゃんが続出。本人が急病とか、奥さんが急病と
か、で葬式とか、高齢になった証拠である。それにしても、出席できた人は、健
康に恵まれ、特に金持ちではないにしても、近場の旅行ぐらいは出来る程度の経済的
ゆとりはあるのだ。「そういう意味で、私を含め、皆さん幸せです」と幹事を代表し
て挨拶した。
 実際、200人いた同級生の一割強は既に亡くなっている。生きていても、車椅子
暮らし他、一人で旅行できない人も居るのだ。
 しかし、200人とは大勢いたもの、現在、母校は一学年40人と、田舎で暮らす
同級生が語る。

 50年ぶりに顔を合わせた仲間もいて、昔話に口角泡を飛ばしている。沢山の案内
状を出したり、ホテルを手配したりと手間はたいへんだったが、皆が夢中で話し込ん
でいるのを見ると、みんなの喜ぶことが出来た、と嬉しい。
 深夜、女性が二人部屋をノックした。「N君とM君(男性)が私等の部屋で寝ると
言って帰らないから、幹事さん来てつれて帰って!」と言う。こういう酔っ払いの世
話まで面倒見なくちゃならないから、幹事はたいへんだ。「寝ても良いけど、3人部
屋で5人は窮屈なの」と言う。
 男が女を好きなのは、脳の奥深く旧皮質(爬虫類脳とも言われる)に刻み込まれて
いる。是を取り巻く新皮質の前頭葉に、本能を押えて社会生活に適応する規範が存在
するのだが、老齢化に伴いその部分の脳細胞が弱くなるやつがいる。酒を飲むと、爬
虫類脳が騒ぎ出して「女の部屋で寝る!」と騒ぐ。
 本能の命ずるままに生きるようになったのだから幸せとみるべきか。自分だって
もっと歳を取ればそう言い出すかもしれない!
 女の部屋で寝たって、怪しからぬ仕儀におよぶ体力は無いから人畜無害なんだが、
「狭い!」と言われては、仕方がない。相棒幹事のO君が連れに行った。

 翌朝、NもMも前夜何事も無かったようにしれっとした顔をしていた。
 ホテルの勘定書きを見ると、えらく廉い。幹事3人で清算してみたら、一人当り5
千円も返還金が出た。”かんぽの宿”で、簡易保険の契約者は割安になる。簡保加入
の証明書の持参を頼んでおいた。3分の1ぐらい持ってきてくれるかな?と思ってい
たら3分の2以上持参してくれた。それに、酒を飲むより、中学時代の思い出話に忙
しくて、あまり飲まなかった?不景気で、ホテルが大サービスした?原因はいろいろ
あるだろうが、1万8千円の会費で五千円、思わぬ還付金で、奥様方には大好評だっ
た。

 帰宅した夜、ホテルから電話があった。「306号室に忘れ物がありました。ス
ナップ写真です。袋に”伊藤さん”とありますが・・・」。写真なら顔を見れば分か
るだろうと、私宛郵送を頼んだ。
 306は女性の部屋、伊藤という名の女性は3人いたっけ!
 送られてきた写真を見て、びっくり。写真の袋に「伊藤**」と名があった。「*
*」の漢字がホテルの若い職員には難しくて、電話口では言わなかったのだ。それは
良いが、男性名である。
 「女の部屋で寝る!」男がもう一人居た!
 



北朝鮮

2004-10-19 | 経済と世相
 昔、労組の仕事をしてた頃の友人、5人で18~19日伊良湖へ旅行しました。
 「鷹一つ見つけてうれし伊良湖岬」

 旅館の夜は、先月北朝鮮へ旅行したという友人と、話がはずみました。
 「どういう手づるで行けたんです?」
 「友人に岐阜の大学の先生がいて、韓国・北朝鮮のこと研究してるんですが、向こ
うの大学の先生と連絡がついて、先方からの招待状をもらうことが出来て、一緒に行
かないかということで、3人で出かけました。」
 「どういうコースで平壌に入ったんですか?」
 「ウラジオストックまでロシヤの航空機で行き、北朝鮮の飛行機で平壌に入ったん
です。」
 「旅行会社で飛行機のキップ手配できるんですか?」「出来ますよ」
 「北朝鮮って日本と国交がないでしょう。どうやってヴィザもらうんです?」
 「飛行機の中でくれるんですよ。招待状を見せると、すぐ作ってくれました。」
 「ロシヤのヴィザも取るんですか?」
 「ウラジオストックはトランジットで、空港の外に出なかったから、ヴィザは不必
要でした。」
 「費用はどれくらい?」
 「飛行機代が¥12万、滞在費が1週間で¥10万でした。韓国や中国より割高で
した。」
 「ホテルは向こうに行ってから決めたの?」
 「最初、招待先が予約してくれたのですが、高いから、安いホテルに代わった。」
 「高い、安いってどれくらい?」
 「最初泊まったホテルが朝飯付きで¥1万。代わったところで、二人部屋使ったら
一人¥3千。」
 「通貨は?」
 「ユーロを持ってきました。」
 「国内の移動は、電車?」
 「招待先で車をレンタルしたんです。」
 「自由に旅行できるんですか?」
 「一応、どこに行きたいか申請するんですが、ダメだとは言われませんでした。」
 「高速道路あります?有料?」
 「高速道路はありますが、走っててガタガタして路面の平坦度が悪い。全部無料で
す。」
 「旨い食べ物、ありました?」
 「冷麺は旨いですよ」
 「冷麺ってラーメン?」
 「ラーメンにこんにゃく風の味が加わり、独特の味です。」
 「対日感情悪いでしょう。」
 「いや、それほどでもないですよ。それより、反米感情がすごい。朝鮮戦争で徹底
的に破壊されたからです。」
 「ミサイルなんか開発して、好戦的なんですか?」
 「いや、戦争になったら、一週間持たないってこと、彼ら知ってますよ。走ってる
トラック見たって、故障してボンネット開けて、なぶってるトラックを3回も見まし
た。輸送能力もないですよ。」「ミサイル撃ったら、たちまち反撃され、一週間持た
ない!」
 「共産党が威張ってるんですか?」
 「いや、国会に三っつの政党がありますが、共産党はない。ソ連が崩壊して以来、
それまでソ連から入っていた原油が全然こなくなり、ソ連の影響力はガタ落ちです。
北朝鮮が頼りにしているのは中国です。」
 「クマが人里に出てきませんか?」「イヤ、その話は聞きませんでした」

自己責任

2004-10-12 | 経済と世相
 先週土曜日の12時、台風の進路が東にそれたとTVで確認し、「出かけよう!」
と、念のため放送大学に電話したら「台風で12時から臨時休館しました」、今度は
東区プールに電話すると、「今のところ営業しています」というので、地下鉄でプー
ルへ行った。「今日みたいな日は空いてるだろな」と入場したら、同好の士が2~3
名泳いでいた。
 プールを上がってから隣の図書館に行くと、『<自己責任>とは何か』という本を
見つけ、借りてきました。
<自己責任>というと、例のイラク人質事件の件?(今年の流行語大賞かも?)と思
いそうですが、この本、98年5月の刊行(桜井哲夫著;講談社現代新書)。96年
頃の住専問題に触発されて書かれたものらしい。住専って、公的資金6850億円投
入が国会で大問題になったこと、ご記憶でしょうか?
 今は、銀行に投入される公的資金とやらが、数兆ないし数十兆円というのに、誰も
騒がないって、どうなってるのかな?
 面白いことに、この本で著者が主張している<自己責任論>、イラクの事件にも適
用できるんです。そこで、その著者の主張を要約したいのですが、字数が長くなるの
で、思いっきり端よって、私流に述べてみます。
 例えば、ペイオフの解禁問題があります。1000万円を越す預金の保証はやめ
る。それ以上の預金は保障されなくても、潰れるような銀行に預金した預金者の<自
己責任>だというのです。
 でも、一寸待ってください。何せ金融庁のお役人がきても、審査を誤魔化しちゃお
うという輩ですよ。素人が、銀行の安全性なんか、判断できるわけがない。<自己責
任>を言う前に、銀行が絶対に粉飾できないよう、法律を整備し、的確にデータを開
示させるのが、政治家の仕事なんじゃない?

 つまり、<自己責任>とは、国民を保護すべき政府が、自分達の無能によってそれ
が出来ない時に、”国民は<自己責任>で自分を守れ”と言う。

 イラクの人質もそうですよ。人質たちは、武装グループに今までの活動を評価され
て自力で助かり、「日本政府から一切接触はなかった」と断言する聖職者協会に引き
渡されたのであって、日本政府は救出に関わっていないのだから「救出費用」は請求
できない。帰りの飛行機のキップは持っていたのに、無理やりチャーター機に乗せら
れた。チャーター機の費用は、政府が救出した振りをするための宣伝広告費だった。
 どんな思想の人であれ、国民の生命を保護するのは、政府の責務なのに、それがう
まく行かなかったからといって<自己責任>論で、責任を人質に転嫁するのは筋違い

 もっと面白い論述がありますが、次の機会に(続く)

続・自己責任

2004-10-11 | 経済と世相
 住専問題は不良債権問題のはしりでした。「不良債権問題」って、要するに借りた
金が返せないという話でしょう。だから、借りた人と貸した人の間の問題、民間の問
題です。民間の問題に、何故、お上が乗り出し、公的資金をじゃぶじゃぶ使うんで
しょう。
「民で出来ることは官でなく民がやる」というのが、小泉さんの基本方針だった筈で
す。
 もし、借りた人、貸した人の話がつかない時は、裁判で決着する。つまり、その時
登場するお上は行政でなく、司法でしょう。
 それに、公的資金は、その出所は税金だから、最終的には一般国民が負担すること
になる。国民が、不良債権を作ってくれと頼んだわけではないのに、何故、国民が負
担しなくてはいけないの(来年から大増税が始まるのは必至!)?これこそ、貸した
銀行と借りた企業の<自己責任>で始末するのが当然です。
 イラクの「人質救出に税金を使うな」という話がありましたが、無能な金融機関救
済の公的資金投入や、ドルを買いささえるための30兆を越す米国債の購入などに、
どうして税金を使うことに国民は抗議しないのか。
 どうやら、この国では、<自己責任>を追求されるのは、しもじもだけであって、
エリートは追及されない!メガバンクの経営者や、今話題になっている「一億円献金
問題」。一番トップの「記憶にない」方々は、起訴されなくて、下働きの事務屋や落
選した(しもじもになった)元議員が起訴される。
 大体、一億円もらって直ぐ記憶になくなる人がいるってことが、しもじもには理解
できない!
 こうしたことになる原因について、桜井さんは、次の仮説を提出されています。

<自己責任>とは、私事は自分の責任で処理しなさい、公的なことなら、税金(国
民の金)を使うこともやむを得ない、という意味と考えられます。ですから、何が私
的であり、何が公的であるかの判断が<自己責任>を論ずる前に必要になる。
 その判断基準が、どうもおかしいのでは、と桜井さんは言うのです。
 どうやら地位の上の人が行うことが公で、地位の低い人の行為は私と考えているの
ではないか?
 そういう考え方が一般的な社会では、法律は上意下達の秩序を維持する手段になっ
てしまう。法を守ることを強要されるのは、もっぱら下の者で、為政者にはルーズ。
小泉さんは、憲法もイラク特措法も無視して自衛隊をイラクに派遣することに罪悪感
を感じていない。・・・政治資金規正法の遵守など、元首相は、自分には関係ないと
思っているらしい。

 日本社会での「公と私」の概念の曖昧さが、<自己責任>議論の背後にある。この
桜井さんの指摘、首肯すべきものがあると、感じ入りました。