古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

年金改革

2004-04-26 | 経済と世相
 数週間前見ていた番組(朝日テレビ系)で、小泉首相が田原総一郎氏と年金法案の
対談。「年金制度は一元化が望ましい」と語った。この発言が問題になった。
 野党が「総理が一元化が望ましいと言っているのに、年金法案に一元化の一も出て
こない!」「どうしてこれが抜本的改正なんだ」と審議拒否騒ぎになったことは、皆
さんご存知のとおりです。
 小泉さんは苦し紛れに「一元化は将来の姿、やろうとしても20年、30年先のこ
とだ。だから、今回の法案を可決した後、十分議論すれば良い」と言う。
 「どうして、20年もかかるというの?」もし20年かかると言うなら、なぜ20
年かかるのか?説明が必要だと思うんですが、・・・と言うわけで、この問題を愚考
しました。

 最初に、一元化は何故望ましいのか?国民年金、厚生年金、共済年金、議員年金な
どの現行制度を統合して同じ制度にしようというのが一元化ですが、どうして統合化
して同じ制度にする必要があるか?
 年金が積み立て方式なら、年金制度が複数あって内容に差があっても良いのです。
 なぜなら、自分たちの積み立てたお金を自分たちに配分するわけですから、多く積
み立てれば多くもらえる。何の不思議もない。
 ところが、賦課方式(積立でなく、現役世代の払う金つまり税金を、その時代の老
齢者に払う方式)だと、自分の積み立てた分でないお金を貰う。その時、職業によっ
て貰う金額が違うというのは大変に不公平である。
 で、日本の制度はどちらか?というと、当初は積立方式ということで始まったが、
いつの間にか税金からの給付、つまり賦課方式の分が増えてしまった。つまり、建前
は積み立てだが、実質は賦課方式。
 税金で給付するのに、職業により、厚生年金(民間サラリーマン)、共済年金(公
務員)などに分かれて支給額が異なってくる。これは大問題なのに、「改正するのに
20年、30年かかる」と言われて黙っているのはおかしい。もっと国民は声を挙げ
るべきです。
 ところが、一元化しようとすると、解決しなくてはいけない問題がある。例えば、
厚生年金では、払込金を本人と雇い主が折半しているので、国民年金も同額払い込も
うとすると、被雇用者の倍の金額を払うことになり、負担出来ないということになる
(問題A)。もう一つ、現行では国民年金は月額¥13300。これを厚生年金と同
様、所得に応じた金額にしようとすると、サラリーマンの場合、所得が分かっている
が、自営業の場合、所得が把握できない。年金は税務署でなく、社会保険庁が集めて
います(問題B)。
 問題Aを解決するシステムを考えると、やはり、賦課方式による年金と積立方式に
よる年金と、きちんと区別した2階建てにして、賦課方式の部分は全国民同じ、積立
方式は積み立て額は所得に応じて異なり、支給額は積み立て額に基づく支給(税金は
投入しない)にすべきだと考えます。
 問題Bを解決するためには、社会保険庁が集金するのでなく、税務署が集めること
にすれば良い。
 これが出来ないのは、そうすると、社会保険庁の職員1万数千人が失業するからで
す。でも、年金は国民の生活を守るためのもので、役人の生活を守るためのものでは
ない。元長官が汚職をするような役所は潰してしまった方が良い。
 もともと、国民にとっては年金保険料は税金みたいなものです。この際、年金税と
改名して税金にしたほうが良いのでは。そうすれば、国務大臣が21年も納めないな
どということはなくなる。
 こうした改革が出来ないのは、税金は財務省、年金は厚生労働省と管轄が分かれ、
官僚は自分の管轄内でしかものを考えないからです。
 そこに、政治家の出番があるのに、小泉さんは「20年かかる」と構造改革の意欲
は全くない。(続く)