古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

『トラスト ミー』って、そういう意味だったの!

2010-05-30 | 経済と世相
『トラスト ミー』って、そういう意味だったの!

 28日、福島大臣解任騒動の顛末を見てそう思いました。

昨年秋、鳩山首相は、オバマ大統領に会って、そう言ったと聞き、どういう意味かな?

意味が分からなかったのです。ところが・・・

 28日朝8時5分、首相はオバマ大統領に電話して日米共同声明の内容を確認した。その内容をめぐって、福島大臣から異議があり、この日米共同声明確認の閣議決定に署名しない。総理が、福島大臣を罷免し、後任の消費者省少子化担当大臣に平野官房長官を任命したことは、マスコミ報道の通りです。

 そこで思うのですが、閣内で意見の一致していない内容を、米国大統領に先に電話して、「この内容に賛同できない閣僚は辞めてくれ」、ということが私には全く理解できません。

 オバマ大統領に言った「トラスト・ミー」は、誰が何と言おうと、5月末には米国の要望どおりに決定するから「トラスト・ミー」の意味だった?

 首相が5月末と明言した時、何か5月末までに解決できる腹案があって言われるのかと思いました。それでなくては、5月と指定する意味は何もない!

 ところが、腹案はまったくなかったのです。それどころか、

『必ずしも海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった。(首相就任後)学ぶにつけ、沖縄の米軍全体が連携して抑止力が維持できているという思いに至った。浅かったといわれれば、その通りかもしれない』(5月4日鳩山総理発言)。

 国の安全保障について、首相就任まで学んでいなかったと言うのですから、仰天です。

 いったい何故沖縄に米軍駐留が必要なのか?宇宙衛星から地球上の総てを監視出来、IT技術で殆ど即時に地球上のどこにでも指示が出せる時代に、米軍がグアムでなく、何故沖縄に駐在しなくてはいけないのか?グアムから有事の際に米軍が駆けつけるまで日本の自衛隊が頑張ることは出来ないのか?抑止力をどう勉強したか、総理に説明してもらいたい。

 米国は(私の想像では)、別に米国内に基地を置いても差し支えはないのですが、日本に基地を置けば経費の70%を、日本政府が持ってくれるから、米国内に基地を置くよりも日本に置いた方が安上がりなのです。いわば既得権で、沖縄に基地を置きたい。

 実際、沖縄基地で訓練を受けた海兵隊がアフガニスタンにもイラクにでも、出ていっているのです。

 海に橋脚を立てる工法を提案したら「テロの攻撃を防御できない」という。語るに落ちたとはこのこと。テロに襲われる危険があるのは米軍で日本ではない!

 一番事業仕分けが必要なのは、米軍への思いやり予算でしょうか。

 そもそも、独立国に何故65年も外国軍が駐屯するのか?65年を過ぎて、後何年日本に駐留するのか、日本の政治家は米国に話も出来ないのです。

 そうしたことを米国と良く話をするのが、「日米対等の外交」(民主党マニフェスト)ではないのですか?

 あの、日野原重明先生が「米軍は10年以内に日本の基地から撤退すべきだ」と、主張しオバマ大統領に書簡を送ったそうです。今回の基地決定に際し、沖縄が止むを得ないとしても、政府は日野原先生のように期限を設定すべきだった。 日本の政治家は、沖縄が、香港やマカオのように99年も、外国軍に駐留されていることを恥と思わないのでしょうか?

 鳩山さんが話をすべきなのは、沖縄の人々でなく、米国政府なのです。相手を間違えている。

 どうして、こうも鳩山さんがダメなのか?総理が総てを知ることは出来ないので、補佐する人がいなくてはならない。その点で、平野官房長官は全然ダメで、首相を全然補佐できない。

 だから、罷免しなくてはいけないのは福島さんでなく、官房長官だ。ここでも相手を間違えている。

 それに比べ、福島さんは言うことが全然ブレない。立派なものです。もっとも社民党は社会党当時自民党と連立することで、社会党を消滅させてしまった。この体験があるから、思想がブレたら、政党自体がなくなってしまうと知っている。

 今回の騒動は、福島党首が女を上げ、総理が男を下げた一幕でした。

それにしても、ここ10年以上、日本の首相は碌な人物が就任しなかった。日本人はトップを選ぶことが、まことに下手な民族らしい。以前、メールしたことがありますが、日本では、優秀な人は首相でなく下足番になるらしい。

http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20060407



昭和日常博物館

2010-05-29 | 旅行
28日の住宅のシニアクラブのハイキングを記します。お暇の折、ご笑覧ください。

 9時半、総勢8名(男3女5)で北名古屋市へ出かけました。

 北名古屋市は2006年3月、西春日井郡の師勝町と西春町が合併して誕生した市で人口およそ8万人です。

 地下鉄鶴舞線から名鉄犬山線に乗り換え徳重駅へ。蛙の合唱の聞こえる田の間を、ゆっくり50分ほど歩いて最初、旧加藤家住宅を訪れました。

http://www.geocities.jp/shimizuke1955/2020kato.html

 明治初期から昭和にかけて建築された昔の庄屋さんの住宅で、母屋、長屋門、離れ、茶室、土蔵、中門、北高塀の6棟が、平成11年、国の登録有形文化財に登録されています。

 中に入って見学すると、自分の父や母の実家を思い起こす造りです(勿論大庄屋ですから広さはもっと広いが)。

 この建物、市の管理で「地域回想法」の拠点となっているようです。

『「回想法」とは、「過去の経験や出来事を、想い出し語る(再体験する)ことをとおして、
人生をふり返る機会とし、これまでの自分の人生を肯定的に捉え、これからの生活を
充実して暮らすことに活かす」支援方法です。
その回想法が、高齢者の介護予防・自立支援、さらに街づくりに効果があると注目され、
地域での取り組みが始まっています』とのことです。

要するに、高齢者が集って昔を回想しながら、会話を交わすことで、ボケ防止、認知症対策に役立てるということらしい。

http://www.city.kitanagoya.lg.jp/kaisouhou/kaisouhou_07.php

 http://www.city.kitanagoya.lg.jp/profile/soshiki/fukushi/kaisohou/kaiso4.php

 住宅の中で、テーブルを囲んですわり、弁当を広げる。「定年後は、男性は家に引き篭もる人が多いね」、「毎日家におられると、3食準備するのもたいへんだものね」等々。男性陣はにこにこ拝聴する。

 午後1時頃、加藤家を辞し、市役所庁舎の隣の北名古屋市東図書館に行く。市庁舎も「東庁舎」とあった。つまり、北名古屋市には、市役所には東庁舎と西庁舎(名鉄線の向うだから4kmぐらい離れている)。図書館には東図書館と西図書館がある。合併の時、師勝町と西春町がそれぞれ「オレの方に役所を作れ」と頑張ったので、両方に出来たと推察する。

 『昭和日常博物館』という名の歴史民族資料館が3階にある。昔の自転車や電化製品が展示されている。自転車を持ち上げてみて「昔の自転車はこんなに重かった?」

 煙草屋の横書きの看板が「タバコ」でなく「コバタ」になっている。

「何時頃から左→右に書くようになったの?」と、拘ってSさんがスタフに聞いていた。昔の本の企画展が行われていた。本の横書きのタイトルを見ると、戦前のものは殆ど右→左だが、1冊だけ左→右があった。

 資料館を出て、また小一時間(途中、神社で一休み)歩いて名鉄西春駅。次の上小田井駅で地下鉄に乗り換え、帰宅しました。

 北名古屋市の地域起しの一端を見学したハイキングでした。



大問題?

2010-05-27 | 経済と世相
 26日の朝日朝刊に『外為特会 財源の標的  積立金20兆円 評価損27兆円』という記事が載っていました。

 【為替介入のための資金を管理する「外国為替資金特別会計」の積立金が、2011年度予算編成の財源として浮上した。・・・20兆円余の積立金は「最後の埋蔵金」として使われてしまうのか。

 今年3月末で(このは)20兆円6千億円の積立金が残る。積立金がここまで増えたのは、急激な円高が進んだ03年~04年に、政府・日銀が総額35兆円規模の「円売りドル買い」を実施したからだ。基本的に米国債を買うことが、「ドル買い」で数%の金利が付いた米国債などの運用益は04年以降、毎年2兆~4兆円近くに達した。

 問題は、介入した当時の為替レートが1ドル=110円前後で、直近では20円前後の円高が進んだこと。1ドル=89円で計算した10年3月末の段階で、為替の評価損は約27兆5千億円に達し、積立金を6兆9千億円も上回った。】

記事は「埋蔵金」として使用の可否を論じているのですが、ここにはもっと重大な問題がある。

『日本のマスコミは、銀行の不良債権問題で公的資金を使う問題ではあれだけ騒ぎながら、為替介入には、時には月間1兆円規模で公的資金が使われているにも拘らず、誰も何も言わない。しかも、なんと27兆円も損失を出している。

「日本の輸出企業の難局を見逃せない」というのが為替介入の理由なら、それは日本の輸出業者に対する補助金を出していることにならないか?』

03年~04年にかけて日本政府がドル買い、つまり米国債買いをすることによって、日本はイラク戦争の軍費のかなりの部分を負担したのでないか?イラク戦争の費用を負担することの良し悪しではなく、日本政府が国民に何の相談もなく、それをしたことは大問題だと私は思います。


私の時評:民主党政権

2010-05-16 | 経済と世相
民主党の支持率が急低下して、評判を落としているようですが、同情すべき点もあります。今、政権が直面している難題のほとんどが、自民党政権で種をまかれたものだからです。だから、民主党の支持率が低下しても、自民党支持率が上がるわけはありません。
 政治とカネの問題など、自民党は声を大にしていますが、自民党に「政治とカネ」を論ずる資格があるのだろうか、と思いますね。
 だからと言って、新政権発足後、もう9ヶ月になりますから、民主党ももう少ししっかり仕事をやってもらいたいもの。自民党の政治で、ゴチャゴチャになった日本の政治経済を立て直すことを期待されて衆院の多数を得たはずなのに、その立て直す手腕が、全くない?と疑わせる昨今ですから、困ったもの!
 小沢幹事長は、いったいどんな政治をやろうとしているのかが、今ひとつ見えません。田中角栄の政治とどこが違うのでしょうか?いわば角栄的政治と、民主党のマニュフェストに盛られた政治と両方をやろうとして(だから財源不足?)、ともすれば、角栄政治に里帰り?のように見えます。
 「事業仕分け」も、「ムダを見つけて」というのは良いのですが、いったい「何故ムダが発生するのか?」を考えないといけない。要するに、「天下り」が悪いのではなく、天下りを必要とする「公務員制度」に問題があるのに、議会に出された「公務員制度改革法案」で、「天下り」を廃絶できるとは思えない。
 ついでに検察審議会の「小沢氏の起訴相当」判断ですが、国民感情として、「起訴すべき」は分かりますが、「有罪かどうか」は、「悪いことをしたかどうか」でなく、「法に違反しているかどうか?」で決まる。所詮「政治資金規正法」は、政治家を有罪にできるように決められていません。万一の場合、「秘書」を罰すれば終りの法律です。
 だから、この事件を取り上げた検察の(法律違反を発見できない)失策だったと思います。
 五月晴れの続くお天気ですが、私にとって、政治情勢はすっかり梅雨空です。

宇宙人?

2010-05-14 | 経済と世相
「必ずしも海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった。(首相就任後)学ぶにつけ、沖縄の米軍全体が連携して抑止力が維持できているという思いに至った。浅かったといわれれば、その通りかもしれない」

 5月4日、鳩山総理が語ったそうです。

海兵隊の抑止力なるものの実態を、首相になる前は全然知らずに発言していたことになる。

 さらに、13日になると、公約の普天間決着の5月決着は先送りするというこれまた仰天の発言。

 いったい鳩山さんという人の頭の中はどうなってるんだろう?



 昨年の衆院選挙の後、「鳩山論文」なる文章をものしました。

http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20090910

 「実に立派な論文だ」と、私は賞賛しました。今でも、そう思っています。しかし、この立派な論文と、昨今の鳩山さんの言動とが全く結びつかない!これが「宇宙人?」の所以かな?

 そこで、鳩山論文をもう一度読み返してみました。

 これは、要するに、総論なのです。総論が総論としての価値を持つためには、その総論を背景として、現実の各論に総論が反映されなければならない。

 政治というものは、各論の積み重ねです。総論を実現するには、一つ一つの各論に、総論に近づくように意志決定を積み重ねていかなくてはならないのに、それが鳩山さんになく、各閣僚が勝手気侭にぶちあげるだけ。「羊頭狗肉」という言葉があるが、鳩山論文は「羊頭」だった。

 鳩山論文を総論として、普天間問題を議論するのなら、代替基地をどうするかではなく、「海兵隊が抑止力として機能しているのか?」そして「それは日本の負担しているコストにみあっているのか?」を問題にすべきです。

 もともと昨年の総選挙で民主党を支持したのは「ダメモト」で支持したのですから、「やはりダメか!」と思うだけですが、それにしても政治家のダメっぷりは唖然とするばかり。

 これでは“やわらちゃん”が、「私でも出来そう」と思うのも無理ありません。

異常なし

2010-05-09 | マラソン
不思議なことに、ここ3日ぐらい前から、夏風邪を引いた。鼻水と咳が時折。7日、ホームドクターに電話して「MRIの診断結果が届いた」と聞き、「診断結果を聞いて、ついでに風邪薬を処方してもらおう」と、向かいの病院を訪れました。

 「元データは、コクリツのコンピュータに入っているのですが、DVDに落としてこちらに届きました」。カーソルを動かして、画面の脳の形をいろいろな角度から写してみせてくれた。
 「MRI(脳画像診断)でも、MRA(脳血管診断)でも、まったく異常は発見されませんでした。
 自分の脳の内部を映し出して見られるなんて、全くすごいことが出来る世の中になったのですね。ここが小脳、ここが大脳、ここが頭蓋骨、ここが脳梁とカーソルで指し示して説明してくれました。
「打撲による出血は見られませんし、脳梗塞の兆候を示す個所も見あたりません。」
 自分の脳を見た感想は「ずいぶんきれいなものだ」。「きれい」というのは、黒く映る部分は黒く、白く映る部分は白く、総てシャープに映り、ぼやけたような個所はまったくないことです。脳血管を角度を変えてみる画像は、すごーい!の一言です。
 コクリツからの診断書も見せてくれました。専門用語で、「何々が認められず」と言う言葉が並んでいましたが、「要するに異常が認められない」という意味ですという。
 それよりも医師名の欄を見て、「えっ」と思いました。
 先日のメールで、「放射線科の前で坐って待っていると、看護師が迎えに来た」と書きましたが、その女性の名前が書き込まれていました。
 看護師と思っていたのですが、医師だったのですね。コンピュータの中のデータだけでなく、せめて患者の顔色をみて診断しなくては、と迎えにきた?
病院の中で白衣の女性をみると、皆、看護師と思ってしまうのです。これも年寄りの証拠かも?当然、医師だって見える筈。職場のあらゆるところに女性が進出している現代なんですから。
 さて、異常なしは良いのですが、そうなると、転倒して意識がなくなった原因は分からない!若先生に確認すると、「分からないですね」と認めた。
 当初、私が思ったように、転倒の衝撃で意識がなくなったとすると「それほどの打撃があったなら頭に外傷があるはずだがまったく外傷がない」と若先生は言う。先生の言うように、「意識がなくなって転倒したのなら、脳の血流に何か異常が発見される筈だが、その兆しは全くない」。「様子をみましょう」と若先生は言う。
 風邪薬を5日分処方して貰い帰りました。

 私が気になることは、疲労回復能力がきわめて落ちていること(体力は加齢とともに衰えるが、その衰え方には、毎日徐々に落ちていく場合と、ある日急に低下する場合がある。どうも、疲労回復能力は後者のようだ)。
 夏風邪も、ジョギング再開3日で始まった。年齢からして、1日1kmの水泳と4kmのジョギングは、もうムリになっているのかも?
 「練習量を落とそう」と思い定めました。

小さな政府と大きな政府

2010-05-04 | 経済と世相
「小さな政府と大きな政府」について面白い論文を読みました。

神野直彦東大名誉教授が、中央公論5月号に寄せた論文「小さな政府では格差と貧困を解消できない」です。

 まず、大きい政府の定義をしています。

社会的支出の対GDP比の大きい政府を大きい政府と定義しています。

社会的支出とは、年金、保険医療給付、現金給付(子供手当てなど)等を言います。

もう一つ、社会的扶助支出という言葉を定義しています。たとえば、生活保護のように、貧困者に限定して支給する現金給付(対GDP比)です。

以下は、その社会的支出と社会的扶助支出のデータです。

国    社会的扶助支出    ジニ係数    相対的貧困率    社会的支出

アメリカ      3.7         0.361    16.7       15.2

イギリス      4.1         0.312    10.9       23.1

スウェーデン    1.5         0.211     3.7       35.3

デンマーク     1.4         0.213     3.8       30.7

ドイツ       2.0         0.280     9.1       26.4

フランス      2.0         0.278     7.5       28.0

日本        0.3         0.295     13.7      11.8

(ジニ係数と貧困率は90年代半ば)

 スウェーデンの社会政策学者コルビは、「再分配のパラドックス」という説を唱えています。「貧困者に限定した現金給付を手厚くすればするほど、社会の格差は激しくなる」というのです。この表で言うと、社会的扶助支出の大きいアメリカ、イギリスはジニ係数でみても相対的貧困率でみても格差が大きい(格差が大きいから社会的扶助支出が大きい?)。

いずれにしても、社会的扶助支出には、格差を減らす効果はない、社会的支出の大きい国は格差が少ない、といえそうです。

ジニ係数についてのデータ(1995)を見てみます。

国      財政介入前      財政介入後      変化率

アメリカ     0.455         0.344      ▲24.5

ドイツ      0.436         0.282      ▲35.5

日本       0.340         0.265      ▲22.0

フランス     0.392         0.231      ▲41.0

スウェーデン   0.487         0.230      ▲52.9

(財政介入前は税金や社会保障給付以前の所得、介入後は税引き・社会保障給付後)

 ジニ係数が大きいほど所得分配は不平等ということになります。つまり、日本は市場の決める所得ではもっとも平等だが、政府の介入による格差解消はもっとも少ない!

政府は何をしているのか?次のデータを見ます。

国 政府の大きさ(社会的支出/GDP)% 経済成長率  相対的貧困率  財政収支

アメリカ     14.8           3.0       17.1    ▲2.8

ドイツ      27.4           1.2       9.80    ▲2.7

スウェーデン   29.8           2.6       5.30     1.4

日本       16.9           1.4       15.3    ▲6.7

(政府の大きさ2001、貧困率2000、財政収支と成長率2001~2006)

表から見て明確なことは、日本はもっとも財政収支の赤が大きいが、社会的支出が大きいわけでもない。相対的貧困率もアメリカに近い高さで、経済成長率は最悪。

お金の使い方についての政府のパフォーマンスが最悪だというのです。

では、どういうお金の使い方をすべきか?その結論だけ。

【重化学工業では同質の筋肉労働を必要とするため、主として男性が労働市場に進出する。政府は市場の外側で、主として男性が労働市場で獲得すると想定されている賃金を喪失した時に現金を給付すれば、国民の生活を保障することが出来た。

重化学工業を基軸とする工業社会では、家族内で無償労働に従事する、主として女性の存在が想定できたからである。つまり、失業すれば失業保険、疾病に陥れば医療保険、高齢退職すれば年金というように、主として男性が稼得してくる賃金を喪失した時に、所得を保障すれば、・・生活を保障できたのである。

ところが、知識産業やサービス産業というソフトな分野に産業構造の基軸が転換すれば、女性も大量に労働市場に進出するようになる。そうなると、育児や養老などを無償労働で担った女性が姿を消し、家族の生活保障機能は縮小する。】

そういう社会にあっては、政府の社会的支出は大きくなる。「小さな政府では格差と貧困を解消できない」という論旨です。