古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

2013私選10大ニュース

2013-12-30 | 経済と世相
2013私選10大ニュースを選んでみました。
(順不同です)
1. 特定秘密保護法案
日本は情報秘匿法より公開法が必要な国なのに。
2. 東京オリンピック決まる
 「フクシマ汚染水はUnder Control」って、大丈夫かな?
野田さんはひどかった(原発事故終息宣言)が、安倍さんは?
3. 日銀異次元の金融緩和
その結果、為替相場の激変、国債値下がりし、長期金利上昇。
4. アルジェリヤでテロ、10数名の日本人が犠牲。
アメリカに追随ばかりしていると、日本もテロに憎まれます。
5. 日銀総裁・副総裁に黒田氏などリフレ派。
デフレ脱却の社会実験を日本経済でやるの?
6. 猪瀬都知事辞任。
作家だろ、もっと上手にウソをつけ。(某紙の投稿から)
7. 参議院選で、自民内閣3年間のフリーハンドを得る。
 民主党は消滅の方向です。自民にフリーハンドを与えたことが、日本にもたらすものは?
8. 原発汚染水の流出
対処する技術がないのでは?小泉さんは原発ゼロ発言するし。
9. 消費税増税が固まる
 消費税増税は何のため?さっそく企業減税とか、景気対策という名の公共投資。
10. 高裁“違憲”、“違憲状態”判決相次ぐ。岡山選挙区に選挙無効判決。
果たして最高裁は「憲法の番人」なのか。それとも「憲法の番人のようなもの」なのか。

以下は番外です。
イグ・ノーべル賞に日本人連続入賞
   日本人って案外すごい優秀な民族かな、と思いました。
将棋ソフト、プロ棋士に勝つ 
コンピュータは、どこまで進歩続けるのでしょうか。素直に感嘆!


2013第4四半期の私選10大ニュース

2013-12-29 | 経済と世相
尾張名古屋のNOZUEです。
2013第4四半期の私選10大ニュースです。
あっという間に今年も暮れです。第4四半期の私選10ダイニュースを選んでみました。
順不同です。この3か月もいろんな出来事がありました。
1. 特定秘密保護法案
日本は情報秘匿法より公開法が必要な国なのに。
2. 若田さん、宇宙に。
日本人宇宙士がロシヤの宇宙船で出張するなんて、時代は変わりました。
(宇宙飛行士の若田光一さんら3人が乗り込んだロシアのソユーズ宇宙船が、
日本時間11月7日午後1時すぎにカザフスタンから打ち上げられた。国際宇宙ステーションとドッキング。)
3. 電気事業法を改定
期待してますよ(小売全面自由化は2014年に改正案を国会に提出して、2016年をめどに実施。
発送電分離は2015年に改正案を提出するが、実施までには解決すべき課題が多く、
2018年~2020年と幅を持たせて時期を規定した)。
4. 小泉さん、原発ゼロ発言。
原発を輸出したい首相、先輩の発言に困惑。
5. 猪瀬都知事辞任。
作家だろ、もっと上手にウソをつけ。(某紙の投稿より)
6. 高裁“違憲”、“違憲状態”判決相次ぐ。岡山選挙区に選挙無効判決。
“違憲状態”とは、“違憲のようなもの“
果たして最高裁は「憲法の番人」なのか。それとも「憲法の番人のようなもの」なのか。
7. 和食が世界遺産に。
世界遺産登録へ向けて、日本の最優先案件としてユネスコに提案する
8. マー君大リーグへ。
来年のBS放送が楽しみです。
9. 首相の靖国参拝に米国が失望声明。
安倍首相が、米国政府の問題児に。
10.  普天間問題、仲井真知事辺野古の埋め立てを承認
札束で頬を張られたわけではないでしょうね。


安倍・黒田氏は何もしていない?

2013-12-28 | 経済と世相
「安倍・黒田氏は何もしていない」という面白い論文が、雑誌「世界」の8月号に掲載されていました。筆者は、経済学者の伊東光晴京大名誉教授。長い文章ですので、要点をかいつまんで紹介します。
 安倍内閣による「大幅な金融緩和や財政出動は株価上昇と円安につながった」―――これは新聞の説くところである。だが・・・
 株価上昇も円安も安倍政権の経済政策がもたらしたものであろうか。私は株価の上昇も円安も別の要因に基づくものだと断言できる。
 通貨供給量の大幅な増加とは、銀行が所有している国債等を日銀が買い取り、その代金を各銀行が日銀に保有する当座預金勘定に払い込むことである。
 2013年4月末を、1年前の2012年4月末と比較すると、貨幣供給量は約123兆6500億円から155兆2863億円へと、26%、約32兆円の増加。一方、日銀当座預金勘定は、すべての銀行を合計して、この1年で、約36兆円から66兆円、82%約30兆円の増加。つまり、日銀の貨幣供給量の増加は、その大部分が日銀にある各銀行の当座預金になっている。これが引き出され、企業に融資され設備投資となるなど、実体経済の活況化をもたらすものになっていない。
 1990年代末から2000年代にかけては、日本はゼロ金利なのに海外の金利は高いから、円を海外に移して利子が稼げた(円キャリー)。大量のカネがヨーロッパに流れ、円安になり、同時にその資金が投機資金になった。今回はそうした動きは見られない。アメリカはゼロ金利政策を取り、ヨーロッパもゼロ金利に入ろうとしているからである。日銀の貨幣供給量の増加は海外に出ず、日銀当座預金勘定に積みあがっている。これは白河日銀時代と同じである。
ではなぜ株価が上がり円安が進行したか。
株価は2012年11月13日の日経平均8661円から2013年5月7日には14418円に、数か月で約60%も上昇した。金融の大幅緩和を決めた2013年4月4日の金融政策決定会合よりはるか前に株価上昇は起こっているのだ。
日本の株式市場の価格形成には、特異性がある。取引の中心が海外投資家で、その売買が株価を決めているのだ。海外投資家の主役は投資ファンド。投資ファンドは、分散基準とか、PBR(株価純資産倍率)を重視する。
分散投資の大枠として、例えば米国株何%、ヨーロッパ株何%、アジヤ株何%と決めている。世界の株価は、アメリカ、ヨーロッパで2012年前半にはリーマンショック以前に戻して、買い余地が少なくなっていた。2012年6月にはアジヤ株、その中心の日本株に向かうと予想されていた。日本では、株価の時価総額と企業の純資産額の比率も1以上を示していた。
海外投資家の買い越しは
12月  1兆5448億円
1月   1兆2379億円
2月     8542億円
3月   1兆8553億円
11月13日からの株価上昇は、政権交代、アベノミクスと何の関係もない。株価上昇への力は衆院解散以前に動き出していた。
円安はどうか。
海外投資家は日本株に向かっている。日本株の買いには日本円が必要だ。円は高くなるはずが、現場によると、「円買いがあると、それを相殺する円売りがいずことなく起こる」
為替介入があったのではないか。過去の為替介入をみてみよう。
当事者が認めた円の大規模介入は、過去に2回あった(認めていない場合でも、介入は頻繁に行われていた)。一つは世上、榊原介入といわれるもの(1995年2月17日から9月22日まで、4兆9589億円)、もう一つは溝口・テーラー介入(2003年5月8日から2004年3月16日まで32兆8694億円)と言われる。
榊原氏はミスター円、溝口氏はミスタードルと呼ばれた。
テーラーは当時の米政府の財務次官、後に自らのブログでこの内幕を語っている。
これによると、どのような場合に、米政府が円売りドル買いの介入を認めるかがわかる。2012年から2013年の円安を考える場合、これが重要な示唆を与える。
円安のため円を売り、ドルを入手する。そのドルのほとんどが米国債に代えられる。これが米国政府の望むところなのである。バーナンキは、日本にならい不況対策として通貨供給量の増加を実施してきた。FRBは月850億ドル、国債等を買い入れている。累積した国債を、退任(来年春)前に減少させたいと考えている。日本の円高是正のための円売りドル買いが米国債購入となるなら、大歓迎である(米国の金融緩和政策のお手伝いにもなる)。
かくて、介入と介入のための短期国債の発行、さらにその短期国債を回収(買い入れで日銀券が増発される。即ち金融緩和になる)という一連の政策の輪が安倍首相のあずかり知らないところで進行した。
伊東教授によると、この為替介入は、
介入時期をかくすため、ショートと呼ばれる為替先物の売り買いを複雑に組み合わせる手法を用いていると推定しているが、その詳細は省く。
最後に伊東教授は、為替介入による円安誘導は、問題の本質的解決(為替の安定)にならない。本質的解決の正攻法はトービン税(為替取引に低率の課税)だと説きます。
そして、野田首相が解散をしていなかったらどうなっていたか。民主党の政権下でも、株価上昇と円安は進行していたであろう、と結論する。
この結論が正しいなら、安倍首相はついている。まぁ、つきも実力のうちという言葉がありますがネ。

池田教授の卓見

2013-12-27 | 経済と世相
 週刊朝日の12月27日号に、生物学者の池田清彦さんが寄稿していました。まことに卓見だと思いますので、以下に紹介します。
 【食糧自給率39%、エネルギー自給率4%しかない日本は、とりあえず世界各国、とりわけアメリカと付き合わざるを得ない。アメリカは鎖国をしても生きていけるが、日本に奇跡が起きてエネルギー自給率が100%近くになればともかく、今のままでは鎖国をして自立するのは無理である。
 遠い将来は知らず、現時点でアメリカが鎖国をしないのは、アメリカの多国籍企業の利益のためだ。ざっくり言ってしまえば、グローバリゼーシヨンとは、この世の最終権力を国民国家から多国籍企業に移すことだ。グローバリゼーシヨンを推進している人たちも、そのことに意識的であるとは限らないとしても、グローバリゼーシヨンが進めば結果的にそうなるに違いない。多国籍企業の望みは、一番コストのかからない地域で製品を作り、一番儲かる場所で売ることだ。
 そのためには、経済に関しては国境などというややこしいものがあっては困る。多くの国をTPPに加入させ、関税を撤廃しようとの動きはこの線上にある。その結果、賃金の高い先進国では単純労働の空洞化が起こる。空洞化に抗おうとすれば、賃金低下に甘んじる必要がある。世界レベルでの単純労働者の賃金の平準化は不可避となる。
 グローバリゼーシヨンにとって、今一つ重要なファクターは、安価なエネルギーが供給されることだ。安い労働力で製品を作っても、それを運ぶのに多大なコストがかかれば、労働者の賃金が多少高くとも、地産地消した方が合理的である。安価なエネルギーと安価な労働力こそがグローバリゼーシヨンの源泉なのだ。アメリカでシェール革命がおこった後で、TPPが重要な政治課題に上がったのは故ないことではない。
 ところでグローバリゼーシヨンの恩恵に浴するのは、アメリカばかりではなく日本の多国籍企業についても然りであろう。逆に日本の一般国民の大半は損することになるだろう。何といっても単純労働者の賃金が徐々に下がることは必定だからだ。
 民主主義国家では、国民の大多数に不利益をもたらす政策は支持されない。何とかごまかすためには、本当のことを知らせてはまずい。具体的に言えば、外交上の密約と称して国民に不利益になる情報は隠ぺいすればよい。
 TPPを推進しようとする安倍政権が、国民の大半が反対する特定機密保護法をごり押しして通した理由はここにある。】
 多国籍企業がアメリカの政治を動かし、そのアメリカの政治に日本が盲従しているように、私には思われるのですが・・・

若者を見殺しにする日本経済(2)

2013-12-24 | 読書
 次に、この本は、重要な指摘をしている。格差問題です。
【格差が大問題になっている。・・
2004年の派遣法の改正で様々な業種で非正規社員を雇いやすくなり、その結果、格差が進んだという議論である。】
【これまでの日本の安心は、会社が中心になっていた。しかし、日本の会社はそのような重みに耐えかね、正社員を極力採用しないようになってきた。しかし、90年代以降、雇用が不安定になってきた。正規社員の仕事は減少し、増えたのは非正規の仕事ばかりだった。
 (統計を見ると)バブル崩壊後も97年2月まで伸びてきた雇用は、それ以降ほとんど横ばいでわずかに増えるだけになっている。雇用のうちで、正規雇用は減少し、非正規の雇用が伸びている。正規雇用数(役員は除く)がピークになったのは1997年2月だが、それから2013年4~6月期までで、正社員は494万人減少し、非正規社員は731万人増加した。(だが)非正規の増加のうち、派遣での増加は112万人、比率では15.3%にすぎず、非正規が派遣の問題であると考えるのは誤っているようだ。
 非正規の全雇用に占める比率は97年2月の23.2%から13年4~6月期には36.2%となった(84年では15.3%に過ぎなかった)。
 すなわち、小泉政権の2004年に派遣法が改正され、企業が派遣を雇いやすくなったのは事実だが、企業は派遣でなくても、非正規社員を雇うことができる。非正規比率は小泉政権以前からトレンド的に伸びている。・・・要するに、企業にとって正規社員を雇いたくない事情がずっと続いてきたのが非正規増大の要因だろう。】
 筆者は小泉内閣の路線を評価したいらしい。
【90年代後半以降、若年層の所得格差が拡大したのは、正社員になれた若者とフリーターのままの若者の所得格差が大きかったからだ。正社員同士の格差より、正社員とフリーターの格差が多きいから、正社員になれない若者の比率が高まれば、所得格差は拡大する。
若者が正社員とフリーターに分化したもっとも大きな理由は、80年代は景気がよくて、90年代は景気が悪かったからだ。】
 【日本の所得格差が拡大している理由として、グローバリゼーシヨンが挙げられることが多い。グローバル化した世界では、先進国の労働者は、世界のもっとも貧しい国の労働者とも競争しなければならない。その結果、日本のような先進国の労働者には賃金を低下させる圧力が働く。】
しかし、統計(1990→2006年)を見る限り賃金格差が拡大しているとは言えない。
【日本について、グローバリゼーシヨンが日本の格差を拡大したという研究は見当たらない。グローバリゼーシヨンが格差の原因とするには、まだ検討の余地がある。】
 
【日本にはジニ係数に比べて相対的貧困率が高いという問題がある。相対的貧困率とは、所得が低い人から高い人を並べてちょうど真ん中にある人(中位所得)の半分以下の所得しかない人の比率である。一方、ジニ係数とは、所得がまったく平等に分配されていた時に比べて、どれだけ不平等に分配されているかという指標で、まったく平等ならゼロ、一人にすべてが分配されていれば1になる。このような指標の性格からして、下が低くても上が高くても指標は大きくなる。一方、相対的貧困率は、貧しい人が多いか少ないかの指標である。(OECDによると、相対的貧困率で、日本は先進国14か国中二番目に不平等と言う)日本の問題は貧しい人の多いことだ。】
【さらに。地域格差という問題がある。これも小泉構造改革で地方の公共事業を減らしたから所得格差が拡大したという議論がある。民主党の「コンクリートから人」のスローガンによってなされた公共事業の減額も、地域格差を拡大したという人がいる。また、円高で地方の工場が海外に移転したことも大きい。円高をもたらした金融政策は、地域間の所得格差を拡大した。】
【そもそも地域間の格差を問題にすべきであろうか。個人間の格差を縮小するには、もっとも所得の少ない人に焦点を当てればよいが、地域間の格差を縮小するには、所得の低い地域の所得の高い人の所得も引き上げなければならない。】
ここから著者は、貧困対策として「最低限の所得補償を与えた上で、働いて得た所得に通常の税率で課税する、負の所得税(またはベーシック・インカム)について論を進めている。
つまり、グローバルな自由経済の時代、デフレの克服には、金融政策しかない。それでも残る貧困問題には、財政政策でなく、税制など社会システムの変革が必要だと言っている

若者を見殺しにする日本経済(1)

2013-12-23 | 読書
原田泰さんの新刊が出た。『若者を見殺しにする日本経済』(2013年11月、ちくま新書)です。早速図書館で借りて読みました。
 原田さんは、アベノミクスの金融政策を全面的に支持しているようだ。一番興味深い記述は以下です。
【日銀(白川総裁以前の)は、貸出が増えない限り経済は刺激されないという信念を持っているがそれは誤りである。銀行貸し出しは97年以降、傾向的に低下しているが、生産は貸出しの動きに関係なく動いている。
 金融政策が経済に持つ経路は様々である。金融政策が株などの資産価格を上昇させれば、家計は消費を、企業は投資を拡大する。金融緩和によって為替レートが下落する。円が下落すれば、輸出が増える。当然、輸出企業の雇用も給与総額も増え、消費が増大する。
貸し出しが増えなくても経済は刺激を受けるのである。】
 貸し出しの増加のみで、金融緩和の効果を論ずるのは誤り、という主張には賛成ですが・・・
【中央銀行が直接コントロールできるマネー、マネタリー・ベースを、日本と主要国についてみると、明確に読み取れるのは、他国が2倍から3倍に増やしているのに、日本は10%しか増やしていなかったという事実だ(2000→2012)。これでは日本の円が高くなり、他国の通貨が安くなるのは当然だ。】
 言い換えれば、白川総裁以前の日銀は、日本独自の考えで金融政策を決めてきたが、黒田日銀は、大幅な金融緩和という点で、他の主要国の金融政策に同調しただけ?
 でもそうとすれば、これは主要国の為替レート下落競争にならないのか?
【各国が競って金融緩和をして、自国通貨を切り下げれば、為替切り下げ競争が起きて大変だという議論もある。しかし、そんなことにはならない。
 まず、全世界で金融緩和競争をすれば、景気が良くなりすぎて、過度のインフレになる国が出てくる。そのような国は自国の利益のために金融を引き締める。インフレは国民の嫌うものだから】
【もう一つの理由がある。輸出が増えるときには必ず輸入も増えるということである。円が下がると貿易摩擦が再燃するという議論もあるが、これも起きない。日本の輸入も増えるのだから、必ず世界のどこかの国の日本への輸出も増えている。】
 だから、金融緩和は景気に効果があるというのだが、問題はないのだろうか。各国が金融緩和したとき、大量に発行した通貨はどこへ行くのだろうか。
私は、投機市場に集中し、たとえば、為替レートが投機で動くようになり、実体経済に悪影響をもたらすと思う
著者は日銀をこう批判している。「日銀は通貨の番人でなく銀行の番人」になっていると。必要なのは、「中央銀行の独立より金融政策のルール化である」と日銀の独立にも反対しているのだが・・・(つづく)

街中の寺社めぐり

2013-12-17 | 旅行


12月13日、今年最後の住宅シニアクラブのウオーキングでした。
とても寒い日になりましたが、総勢11名がそろいました。9時半、出発。今日は13日の金曜日でしたが、仏教や神道には関係ないと、街中の寺社めぐりです。
地下鉄の東別院駅の4番出口を出ると東別院の交差点。目の前に名古屋テレビの社屋が見えます。その北隣が、下茶屋公園です(上写真)。東別院の回遊式庭園で、池の周りに、枝ぶりの見事な樹木が多い。庭園を通り抜けると、東別院。この辺りは、かつて織田信秀(信長の父)の居城、古渡城であったが、尾張藩主二代光友公がその敷地1万坪を寄進して真宗大谷派名古屋別院となった。
別院を出て西北に行くと、栄国寺という寺があった。ここで1664年キリシタン200余名が処刑され、光友公はその菩提を弔って、この寺、浄土宗の寺だが、創建した。

切支丹塚、それに、ここには朝鮮通信使が訪れたらしく記念碑がある。
直ぐ西側に妙善寺という寺がある。七面女神像が有名です。尾張藩第二代、徳川光友公の腫物平癒のため、尾張茶屋家二代目、茶屋長以が自ら七面女神像を刻し祈祷、平癒の後、光友公はこの話を聞いて長以の至誠を感じ、神像を城中に迎え拝しました。その後元禄六年(1693年)に松原の控屋敷を挙げて寺地として七面宮を建立、元禄九年(1696年)にお堂は落成して女神像は遷宮されたという。
妙善寺の西北、通りから少し入り込んで日置神社があります。

桶狭間合戦の直前、信長はここで“敦盛―― 人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。一度生を得て滅せぬ者のあるべきか、” 死のうは一定(いちじょう)・・・と舞ったと伝えられます。
通りに戻り北へ歩くと、大須の門前町。立派な仏壇屋が並びます。
大須の交差点に行くと、左手に七寺(ななつでら)が見えます。

延暦6年(787)、紀是広によって七堂伽藍が建立された故事にちなむ名。
天平七年、僧行基により開創。清洲越しで大須へ移り、尾張徳川藩の祈願所として栄える。太平洋戦争の空襲で焼失、現在に至るとか。
更に西へ、堀川の東通りにぶつかり南へ転ずる。
松重閘門がある。

名古屋市有形文化財。中川運河と堀川を結ぶ水路の水位調節を目的に設計されたが、現在は使われていない。
松重橋東から東へ、松原小学校から南。みちなりに南へ。闇之森八幡社という面白い名の神社があった。
かつて神域には大木が鬱蒼と茂り、それは月の光も射さぬと句に詠まれるほどで、いつしか闇の森と呼ばれるようになった。
 紳馬の像がある。創建は長寛年間。源為朝が石清水八幡宮を勧請したと伝えられるが、千種区の城山八幡もそうだが、八幡社と称せられる所にはなぜか馬の像がある。
 来年は午年だから、記念写真を撮ろうと、うまの前でシャッターを押す。

 お昼時だ。近くの公園で昼食をとる予定だったが、寒い!金山まで歩いて駅構内のベンチで食べようと、20分ほど歩いてゴールの金山駅。5㎞ほど歩いたことになる。
お日様が射してきたので、お弁当を広げる。食べ終わって、駅校内のドーナッツ&珈琲の店に入り、おしゃべりして今年最後のウオーキングを終えました。
 寒かったが、名古屋市内には、こんな神社仏閣が密集しているところがあると、認識させられました。


高橋洋一さんの本

2013-12-16 | 読書
高橋洋一さんの本、「日本は世界一位の政府資産大国」(講談社α新書、2013年10月)を読みました。
「日本国は1000兆円の借金がある」という話は良く聞きます。いくら借金が多くても、資産がたくさんあれば何ら問題はありません。では、日本の資産はどれくらいあるのか、解説する本はないかと思っていましたので、図書館の棚この書名を見てすぐ借りてきました。著者は、かつて大蔵省で、最初に日本政府のバランスシートを作成したのだそうです。
ずばり結論を言うと、「資産628.9兆円。金融資産だけを見ても、2011年の対GDP比の数字を出すと、83.2%になる」。
G7各国の金融資産の対GDP比を比較してみよう。
アメリカ20.0、イギリス32.6、フランス37.0、ドイツ35.5、イタリヤ24.5、カナダ51.%。ドルベースの金額で言うと、アメリカは3兆151億3600万ドル、日本は4兆9063億2064万ドル・・・アメリカを抜く、まさに金メダル級の金融資産を持つ。
日本には豊富な資産があると指摘すると、役人たちは「それらの資産は土地や道路で売れないものだ」と反論してくる(これは有形固定資産180.9兆円に限定した話)。
国道や堤防そのものを売ることはできないが建物は、不動産証券化といったやり方で換金できる。
さらに役人たちは「これらの資産には将来支払う年金の資産が入っている」と言い返してくるが、これは、資金の運用寄託金の話だ。
年金を払うための準備金としておよそ2000兆円が必要だが、現役の人が払う保険料に依存している。年金のための積立金は140兆円。単独でみれば大きいが、年金支払額の1割に満たない。
年金の積立金以外の有価証券はどうか。
113.8兆円の外貨準備があるが、変動相場制なのに、巨額の外貨準備を持って為替市場に介入する必要はない。
さらに、政府資産の中身を見ると、202.2兆円が貸付金と出資金。このうちの多くが、官僚の天下り先の特殊法人に流れている。
企業であれば、経営が苦しくなれば、まず資産を売却する。最初に売値を上げる企業はない。「政府も国の経営が苦しければ資産を売却すべきで、最初に増税をするのは筋が通らない」と言うのが結論です。
私も思うのですが、財務省が増税したがるのは、財務省の役人にとって、予算を決める、つまりおカネの使い方を決めるのが彼らの権限なのです。ですから、毎年1兆円も社会保障費が自然像で増えると、その分お役人の配分する資金が減り、言い換えると、お役人の権限が小さくなります。それが我慢できないからだと思います。

ここまでの著者の主張には大賛成です。しかし、「ソウカナ」と首をかしげる主張もありました。
小泉内閣で、経済財政担当大臣などを務めた竹中平蔵の下で手腕を発揮した著者らしく、郵政民営化に関連してこう言う。
『民営化しても、「郵貯が外資にのっとられる」ことはあり得ない。
銀行には株主規制があるからだ。「株式を20%超保有する場合、銀行主要株主規制で、あらかじめ金融庁長官の認可が必要、また50%超保有する場合の支配株主規制。金融庁長官は、支配株主傘下の銀行経営の健全性維持のために、監督上必要な措置ができる」
にも拘わらず郵政民営化は後退し、それによりTPP交渉の足を引っ張られることになる。
ゆうちょ銀行やかんぽ生命の株を国が持っていると、それらの会社に政府の後ろ盾があることになる。日本がTPPに参加する場合、「その制度はフェアでない」と指摘される可能性が高い。』
ここまでは、まぁ良い。しかし、その後TPPについて
『参加すれば国民の利益になることは自明の理。貿易サービスの自由化は、国民経済を豊かにするからだ。
このロジックは、経済学の中でも、200年程度の長い歴史で実証されている。世界的な叡智ともいえる。
もちろん、短期的にはマイナス面もある。しかし、長期的に見るとプラス面が多いことが経済理論的にわかっており、もしこれを否定できれば、ノーベル経済学賞級の業績だ。』
とまで言い切っている。
この点については、異論ありです。
第一に、TPPを自由貿易の制度と単純に考えてよいか?
第二に、自由市場と言っても、ルールのない、自由市場はあり得ない。どのように自国に有利なルールにするかを政府間で鎬を削っているのであって、どんなルールでもTPPに加入しさえすれば利益があるとは言えない。
第三に、経済理路的に正しいと言っても、今日までに確立された経済学は、国民経済を前提にした理論であって、生産要素も通貨も、国境を越える所謂グローバル経済を前提にした理論は確立されていない(この面で経済学者にノーベル賞級の業績を期待する)。
最後にアベノミクスについての著者の見解。
『消費者動向指数が上昇している。こうした景況感について、高級品を中心に消費が動いているだけで、円安などによる物価上昇で、株に投資している人以外には恩恵が少ないという批判がある。しかし・・
株高によって年金運用がずいぶんと楽になったという事実がある。2012年10月から12月における、厚生年金と国民年金を運用する年金基金の運用益は約5.1兆円。この運用益は最終的には、年金受給者の利益になる。「インフレで喜ぶのは資産家だけ」という発言は的外れである。』
それは、その通りですが、あらゆる政策には、プラスとマイナスがあり、プラスがマイナスより大きいかどうかが問題なのです。

「新自由主義」の信奉は考え直すべきだ

2013-12-13 | 読書
『保守とはなんだろう』(中野剛志著、13年10月刊、NHK新書)を読んでみました。
著者の問題提起はこうです。
 『国民は、日常を護りたいという保守感覚を共有している。しかし、資本主義とは、ジョセフ・A・シュンペーターが言ったように、現状を常に、革新「創造的破壊」の過程である。
資本主義社会とは、革新が常態化した社会なのである。資本主義体制を維持しようとする「保守」は「革新を保守する」という自己矛盾に陥ってしまう。
 冷戦終結からから20年もの間にわたり、日本は「構造改革」を掲げ、政治・行政・経済・教育など、国家のありとあらゆる領域を革新すべく邁進した。その構造改革を唱え、実行したのは革新勢力ではなく、自由民主党をはじめとした「保守」を自称する政治勢力だった。
 ・・・・いったい、保守とは何なのだろうか。』
 「真の保守は死んだ」と筆者はユニークな論を展開します。
 『何故、保守は死んだのか。それは「新自由主義」あるいは「市場原理主義」というイデオロギーと結びついたからである。
 新自由主義とは、簡単に言えば、「自由市場こそが、資源を最も効率的に配分し、経済厚生を増大する最良の手段である」というイデオロギー。新自由主義者は、「小さな政府」「均衡財政」「規制緩和」「自由化」「民営化」さらには「グローバル化」といった政策を主張する。』
 歴史を振り返ると『戦後の世界では、1970年代までは、政府が市場に積極的に介入して、不況、貧困、不平等といった問題を解決すべきだと考えられていた。しかし、1970年代にスタグフレーシヨンが起きると、ケインズ主義や福祉国家といった考え方に対する信頼が揺らぎ、新自由主義の影響が急速に強まった。1970年代末から80年代にかけて、イギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権、日本の中曽根政権など、新自由主義にのっとった経済政策を実行する政権が相次いで成立した。 彼らは、伝統的な婚姻制度や家族制度の重視、勤勉精神や愛国心の称揚など、保守的な価値観を全面に押し出していた。
 1990年代以降、冷戦が終結したにもかかわらず、保守派は新自由主義との結託を解消しなかった。それどころか、日本の保守勢力は、いっそう色濃く新自由主義に染まっていった。
この新自由主義との結託こそが、保守の死をもたらしたとジョン・グレイ(英・政治哲学者)は主張している。
新自由主義が信奉する自由放任の市場は、保守が元来重視してきたものを例外なく破壊していくのだ。
「要するに、無制限の市場制度が、伝統的な生活様式に与える破壊的な効果によって、結局、新自由主義がもたらしたものは、低成長と異常な格差の拡大、そして資本主義の不安定化であった。」
筆者は、冷戦終結後は、保守は新自由主義と決別し、新しい経済思想を創造すべきだった、と主張する。
新自由主義と結託しない保守の経済思想は如何にあるべきか。筆者はここで天才経済学者(と筆者は言う)コールリッジ(1772~1834)を紹介し、彼の思想こそ、保守派の経済思想であるべきだと主張します。
コールリッジは経済学者でなく18世紀末から19世紀にかけての詩人として知られているようです。
彼の思想については、この本の第4章「科学」で述べているが、「科学とは、科学者が最終的な発見についてのヴィジョン、あるいは理想をあらかじめ抱き、そのヴィジョンに導かれて真理を探求していく営為である」と考えるようです。
第5章「国家」において、筆者は『新自由主義を支持する「保守」は、保守でない』と断ずる。そして「新自由主義」は独裁と相性がいい、のだそうです。
「自由市場は野蛮と抑圧につながり、最終的には、必然的に軍事独裁を招来するであろうとコールリッジは警告している。
『ナオミ・クライン(カナダのジャーナリスト)は『ショック・ドクトリン』という著作で、新自由主義が恐怖政治と結びついていることを明らかにした。恐怖政治と結託した新自由主義を、クラインは「ショック・ドクトリン」と呼ぶ。彼は、ショック・ドクトリンの豊富な事例を挙げてみせる。イギリスのサッチャー首相は、1982年のフォークランド紛争によって権力を強め、炭鉱労働者を弾圧し、新自由主義的政策を断行した。1993年、ロシヤのエリツィンは議会を制圧して独裁的な権力を確保すると、自由化や民営化といった自由主義的改革を推進した。中国共産党は1989年の天安門事件以降、強権を強めるとともに、市場経済に向けた改革を推し進めた。また、IMFは97年から98年のアジヤ通貨危機時に、強大な権限を持って、東アジヤ諸国に緊縮財政、規制緩和、民営化などの改革を強制したのである
自由を尊重し、個人主義を信奉する新自由主義者が、なぜ、よりにもよって。同祭権力や恐怖政治と結託するのか、その理由は簡単である。新自由主義者は、抽象的な理論から導き出されたに過ぎない自由市場を実現しようとする。だが現実の経済においては、数々の規制、制度あるいは既得権益が存在しており、完全に自由な個人が競争する市場などと言うものは存在しない。完全なる自由競争市場を実現するためには、その障害となっている規制・制度・既得権益を破壊しなければならない。その破壊のためには、強大な権力が必要となる。こうして新自由主義者は、独裁権力と結託するのである。』
面白い議論の展開です。「新自由主義」の信奉は考え直すべきかもしれません。

特定秘密保護法案Ⅱ

2013-12-06 | 経済と世相
この件に関し、私が一番不審に思うことを下記します。
民主主義というものは、国民の判断を尊重する仕組みであるべきです。
国民が的確な判断をするためには、判断の基礎になる情報を最大限公開することが必要です。
だから、やむを得ない理由で秘密とせざるを得ない情報は、秘密にしてもよいのですが、
たとえば30年後はすべて公開することにしないといけない。
30年もたって尚、秘密にしないといけない情報はあり得ない。
将来、公開されるとわかっていれば、妙な情報を秘密指定することも少ない。
もし、秘密期間内にその秘密情報を廃棄した者は厳罰に処するべきです。
こうした公的情報の、保管と公開に関する法律とはセットで、提起されるべきものと考えます。
安倍内閣の法案は、秘密保持だけであって、その公開についての法案が全くない。
秘密にするほど重要な情報は、必ず一定年後、公開しなければなりません。
この点を野党が取り上げないのも不思議です。