古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

第1四半期の私撰10大ニュース

2011-03-31 | 経済と世相
 今年の第1四半期の私撰10大ニュースを選定してみました。
災害関係ニュースが過半!内閣改造なんてすっとんでしまいました。
1. 福島原発事故
世界中で原子力利用計画の再検討が要請される。歴史的事件です。地球汚染を心配した各国から支援チームが続々。
(地震・つなみは天災、原発事故は人災。従って別個にカウントします。)
2. 3.11東日本大震災
9.11ショックに匹敵する3.11ショックになりました。
3. 震災で円暴騰にG7為替介入
介入は妥当ですが、投機資金をここまで大きくしてしまっているのか!驚きでした。
4. NZ大地震、日本人留学生多数死亡
前途ある若者の死に涙!
5. 霧島連山新燃岳で噴火
3.11台震災でかすんだ感じがありますが、思えばこれが今年の自然災害の始まりでした。
6. 各地で鳥インフルエンザ
寒気団の影響で、ウィルス保有の鳥が日本に南下した?
7. 大相撲が八百長騒ぎで大阪場所中止
大相撲の場所中止はまさに前代未聞。
8. 名古屋市長選と市会のリコール選挙
減税日本が市会第一党に!名古屋市民としては、このニュースは落とせません。
9. 伊達直人現象
各地で孤児院などにランドセルほか寄付相次ぐ。これをどう解釈したらよいか?
10. 「こうのとり(宇宙ステーシヨン補給機)」打ち上げ
宇宙科学に日本健在!という意味で取り上げました・

8~10は私選、まさに私の好みで選びました。
大震災という出来事で、下記のような出来事は、選外になりました。
小沢問題、外相辞任、内閣改造、ケイタイカンニング、日本人4人グラミー賞、新日鉄・住金の合併等々


40歳からの知的生産術(2)

2011-03-27 | 読書
筆者の主張の中で、納得しかねることもあった。

【下世話な言い方をするなら、「偉くなりたかったら、本を読みなさい」。・・・「本の好きな人だけが、偉くなれる」。・・】そうあってほしいと私は思うのだが、現実はエライ総理大臣の中にも「愛読書は漫画」と豪語する人もいた(漫画本がレベルが低いというのではない。本の内容を理解するということは、本にある言葉をイメージに置き換えて脳に記憶させることだ私は思うのだが、漫画は言葉よりもイメージで表現しているから、言葉をイメージに変換する能力の涵養には役立たないと考えるのです)。



 それはさておき、筆者はこの本の中でエリートの養成にこだわっている。それは、筆者がエリ-トの家系でエリートとして育てられたためらしい。筆者は祖父の設立した大阪商業大学の学長で、筆者の姉君は、愛知選出の参院議員の谷岡郁子氏(中京女子大学長)です。

【筆者の祖母(学園創設者の妻)は強烈な個性の人で、筆者の人生に大きな影響を与えてくれた人でもあった。

 多くの卒業生は、この花江ばあちゃんのことを食堂のオバチャンだと信じていたし、今でもそう思っているかもしれない。うどんなどを10円値上げする案が出た時、当時の理事長の妻として反対を貫き通し、その代わりとして自ら、毎朝野菜市場から重いハクサイなどを運び込み、食堂でうどんを作っていたからだ。

 筆者の姉が海外留学から帰国してしばらく後、祖母に呼ばれて家を訪ねた時のこと。どこかで拾ってきた教科書(中1~中3の公立中学のもの)を見せてこう言ったそうだ。「ワテに英語教えてくれんかのう、その時祖母は89歳だった。

 祖父が死んで、我々親戚が仏壇にお供えした時も、「ああ、そんなもん、骨と写真だす。ワテ帰りまっさ」と、さっさと帰ってしまうほど、ドライ・・

 ある時、呼ばれて祖母宅を訪れると、理事として学園の財布のヒモを握っていた祖母がこう言った。「太郎(筆者の父、2代目)が、19億円で新しいプロジェクトを考えてるのだが、・・・一郎(筆者)は、このプロジェクトに賛成するか?するなら金を出させよう」と。ついでに迷っている筆者にこうも言った、「今、おまえが失敗するなら、ワイがカバーしてやれるでな。失敗してもいいから自分で決断してみよ」と。祖母は普段から「失敗なんぞ、山ほどすりゃいい。そうすりゃ、少しはまともな顔になるでな」と言っていた】



 最後に楽しい人生とは、

【(文化人類学の泰斗)故梅棹忠夫さんにたずねたことがある「先生は様々な人生を送っておられますが、かりに人生の好きな時期に戻れるとしたら、いつの時代に戻りたいですか」。

先生が発せられた答えは「いや・・・今がいいです。どの時代のどの経験も私にとって捨てがたいものだからです。私は今より幸せな時はありません」

 正直感動した。先生はその時すでに高齢であり、目も不自由な生活を送っている。しかしそのようなマイナス面をものともしないプラスが毎日の生活で得られていたのだ。】



40歳からの知的生産術(1)

2011-03-26 | 読書
『40歳からの知的生産術』(谷岡一郎著、ちくま新書11年1月刊)を読みました。

何故この本を読んだのかというと、図書館の書棚で見つけて、パラパラと序文のページを見ると、時間をどう管理するかを書いている。「知的生産」について書かれた本は多いが、それらは所謂「発想法」の観点から、つまり、どのようにして新しい発想を得るかについて書いたものが殆どである。「時間を管理・節約する」という視点で「知的生産」を論じたものは少ない。面白そうだと借りてきました。

 話題の多い本でした。例えばケイタイ。筆者はケイタイを持たないという。「先生のような忙しい人が携帯電話を持たないと、回りが迷惑するのでは?」と言われる。「ケイタイがあるともっと忙しくなる」と答えるそうだ。のべつまくなしに連絡が入ってくる状況は避けたいのだそうです(そのかわり2~3時間おきにオフィスに電話を入れる)。

小生もケイタイは持たない。この本の筆者のような立派な理由はないのだが、現役だった頃はまだケイタイを持つ人は多くなかった。その延長でケイタイを持たず、もたなくてもあまり不便を感じなかったからだ。でも最近もってもいいなと思う出来事があった。例の京大のカンニング事件で、Tvニュースが最近のケイタイの機能を報道したが、画像を文字に変換して送信する機能を有する機種があるとのこと。図書館などでこれはいいと思う文章を見出すことがある。その場合、今はその部分を10円コピーして持ち帰ってPCに打ち込むことにしている。ケイタイで撮影し、画像を文字に変換してメール送信すれば手間が省けると思ったのです。

次に「仕事を同時並行でやる」ことについて、

 【将棋の羽生・谷川のタイトル戦の二日間を見学させてもらった第1日の対戦が終り、・・・娯楽室で筆者は友人とヘボ碁を打っていたのだが、羽生9段はその横にやってきて見学し始めたのである。筆者が一手打つと、それまでじーっと盤面を見ていた羽生9段、やおら腕を組むと頭をぐぐーっと傾け。筆者の手に納得いかないようで、熱心に読みふける。

 2日制の対局の一日目の夜。対局者は普通頭を休めリラックスして2日目の準備をするものだ。してみると、羽生9段のこの行動は何と解釈すればよいのだろうか。

 かなり後で本人に確かめてみたところ、羽生9段にとって「別のゲーム」は、将棋で疲れた脳を休めるのに役立つらしい。】

 筆者は、複数の仕事を同時並行でやることを勧める。この点は私も賛成です。

例えば(論文を書くような場合)、A,B,Cの3つのテーマをかかえ、まずAに集中してやっていると、ある時点でどう進めたらいいか分からなくなる。その時には、AはそのままにしてBにとりかかる。そのうちBも進め方が分からなくなる。今度はCを始める。すると、CをやっているうちにAはこうやればいいんだと思いつくのです。その時Aに戻る。BやCをやっている時、Aを考えていた脳は休んでいる。新しい発展を思いつくには脳を休めることが必要です。あたかも羽生名人が碁を考えるとき将棋脳は休んでいるように。

 さて、書名「40歳からの・・」の意味である。私の解釈では「人生の残り時間を意識する世代の・・」ということらしい。

 残り時間を有効に使うためには、「余分な情報をカットする必要がある」。そこで、筆者の勧める整理法は時系列に資料をファイルする。これは野口悠紀雄氏の「整理法」に詳しい。実際、筆者も、野口氏の著書からヒントを得たと述べている。

 利用した資料を時系列でファイルして、その資料に再アクセスした場合、再アクセスした月日で再ファイルしておけば、古い月日でファイルしてある資料は近年利用しなかった資料であり、処分して良い資料だと分かるというのです(例えその資料がどんなに立派な資料でも自分にとって利用しない資料はムダな資料だ)。(続く

第1回淀川国際ハーフマラソン

2011-03-21 | マラソン
  20日朝、6時前起床。すぐpCを立ち上げ「天気予報 大阪」でぐぐりました。「本日のお天気、午前は曇り時々晴れ、午後は弱い雨」です。前日の天気予報で「太平洋岸は午後雨」、淀川ハーフマラソンに出場の予定でしたので、お天気が心配でした。スタートは11時45分だから、なんとか2時ごろまで天気が持ってほしい。

 7:56のこだまに乗車。9時過ぎ新大阪、乗り換えて大阪駅。ここの乗換えが分かりにくい。「地下鉄の乗り場はどっち?」と駅員に聞く。「地下鉄3本あります」、「谷町線」、「あっち」。そのあっちへ行って、出口で「谷町線の乗り場は?」と聞いて「東梅田」の駅を見つけた。乗り場でまた駅員に聞く。「守口駅まで270円です。大日行きに乗ってください」。

 地下鉄15分で守口駅に着いた。駅を出ると、リュックを担いだランナーたちがぞろぞろ歩いていくので付いていく。10時、会場の淀川河川公園に着いた。丁度10kmの部のスタート時刻で、約1600名のランナーのスタートを見送ってから、受付テントに行く。ゼッケンと参加賞の有森裕子デザインのTシャツ等入った袋を受け取る。ランナー全員の氏名などが記載されたサンケイ新聞の別刷りが入っていた。これがプログラムの代り。

 この大会は主催がサンケイスポーツ、協力がNPO法人「ハート・オブ・ゴールド」。ハート・オブ・ゴールドは、有森裕子(バルセロナ・銀)が代表、副代表がローレン・モラー(同・銅メダル)のNPOで、地雷被害者の義手・義足の支援とカンボジアの教育支援を行う。名は「心の金メダル」の意味。1996年の「アンコールワット国際ハーフマラソン」の関係者により組織されている。

 会場には「東日本大震災被災者救援レース」の旗が掲げられ「地雷被害者」の支援が「被災者救援」に主目的が変わったようだ。

 貰った新聞には、有森さんのメッセージ。「11日の地震発生時は東京都内にいて、大きな揺れを感じました。名古屋に行く準備をしていましたが、最終的にすべてキャンセルになりました・・被災地の子供たちが一日も早く学校生活に戻れるように募金活動」云々。今日は彼女は来られないようだ。

 荷物置き場のテントに行き、着替えてスタート時刻を待つ。

 11:45ハーフの3400名余のランナーがスタートした。後ろにいたので、スタート線を踏んだのは、2分32秒。お天気は今のところ、まずまずだ。最初、上流に向かい7km走り折り返してスタート地点に戻り、さらに下流に向かい3.5kmで、第2折り返し、スタート地点に戻りフィニッシュ。

 今日の大会は制限時間3時間と制限時間の規制が緩やか。車の道でないから制限時間が長く取れる。が、あまりゆっくりだと雨に降られる。1km毎の距離表示を見ていくが、どうもスピードが乗らない。折り返しの10km地点で時計を見ると、1時間10分、時速9kmのペースだ。14kmでスタート地点に戻る。シューズに取り付けられたランナーズ・チップが計測マットを踏むと、「ピー」と鳴る。次々ランナーが踏むので鳴りっぱなし。第2折り返しで2時間3分。ポツポツ雨。急がねばと思うが、スピードが出ない。70代半ばになると、長時間走る持久力は落ちないが、足の回転数が上がらないのだ。ゴールの時計は2時間26分を指していた。正味で2時間23分半になる。

「記録証は?」とスタッフに聞くと「後日郵送です」。荷物置き場のテントに入り、着替えをしていたら、沛然と雨が降り出した。心がけが良かったのか、雨は私がゴールするまで待ってくれた。

 靴下を脱ぐと「痛ッ」。右足の第2指に2週間ほど前から魚の目が出来ていたのが、走行中に親指と擦れて膨れ上がっている。走っていた時は夢中で痛みに全然気がつかなかった。それから駅まで歩くのが難儀だった。足を引きずる引きずり守口駅、東梅田。JRに乗り換え新大阪で3:40のひかりに乗れました。5時過ぎ無事に帰宅できました。 

株価の話

2011-03-10 | 経済と世相
3月1日の中日夕刊「相場観」なるコラムに面白い記事が載りました。

 【平均株価の二つの騰落幅を比べ、気になっていたことを検証した。

① 前日比の騰落幅(=当日始値―前日終値)

② 当日の騰落幅(=当日終値―当日始値)

で、結果にちょっと驚いた。

①は東京市場が引けてから翌日市場が開いた時までの騰落幅で、・・・「海外要因」での株価の変動ということになる。2は当日の場中のどちらかといえば「国内」の要因による変動ということになる。

 昨年8月末の安値から先々週末の平均株価は2018円上昇したが、それぞれの累積の騰落幅は①が1966円。②が52円だった。

 結果としてはわれわれが寝ている間に欧米の経済指標や金融市場の動き、より具体的にはニューヨークの株価や円レートの動きなど「海外要因」を主に上昇した相場であった】



つまり、日本の株価は、海外の風まかせということ。なぜそうなるか?というと、二つの原因が考えられる。一つは、東京市場へ参入している投資家は海外投資家が多い。もう一つは、政府が輸出優先策を採ってきたため、実態経済で、海外経済の動きに日本経済が連動する。

 ここでは、前者について調べてみました。東証の開示情報サービス(左欄のブックマークからアクセスできます)http://www.tse.or.jp/listing/disclosure/index.html

から[マーケット情報]→[統計資料]→[投資部門別売買状況]→[株券]と見ていく。たとえば月報で見てみる。売り・買いとも6割強が海外投資家に占められていることがわかる。
 それにしても、日本の市場で取引している人の6割が外国人というのは、国際化が進んでいるということか、国民が貧乏になって、株式を買う人がいなくなったということか?

日本経済の重商主義

2011-03-08 | 経済と世相
 【リーマン・ショック以降、金融機関が米国の証券化商品を大して保有していなかったにもかかわらず、日本経済は、なぜ不振を極め、デフレに苛まれているのか。構造改革が日本経済の体質改善を完遂したのだとすれば、国内の資金や物財の循環で景気は維持されるはず。そうならなかったのは、日本国内に健全な循環を築けていなかったからではないか。】
【5年間であれ日本の景気が回復したと言われたのは、外国、とくに米中への輸出が伸びたからに過ぎない。構造改革は、企業に国際競争力をつけさせる策だったのだ。
サブプライム危機以降の米国経済の低迷で輸出が滞ると、日本経済は内需不足状況に立ち戻ってしまった。】
【戦後の日本では、景気回復期には企業収益の増額とともに賃金も上がり、従業員は企業とともに景気回復を実感できた。ところが03年から08年までの緩やかな景気回復期にこの傾向は消えた。企業収益は回復したのに、賃金は下がったのである。】
【構造改革は国内経済に関し改革を行い、循環を健全化すると謳った。だがその実は輸出企業を優先する市場介入策(たとえば低金利の継続策など)だった。・・・世界の水準とかけ離れた低金利政策は、円安に誘導し輸出を促進するための国策であった。
 筆者はそれを、「重商主義」と呼んでおきたい。重商主義を(それと逆の概念の)市場主義であるかに謳い、その続行が可能であるとしたのが小泉政権の採用した構造改革路線であった。】
【小泉構造改革が行った輸出振興策は、低金利政策によって円安誘導すること。そしてリストラの容認をはじめとする生産要素の市場化により国際的な低価格競争を援護することだった。これらはいずれも、総需要(内需)の不足を輸出によって補うための市場介入であり、「重商主義」なのである。】
【変動為替制の下では長期的には為替レートが国際収支を調整しそうなものだが、円はこの間、ドルに対して安い水準で安定していた。これは日米間の(意識されたか暗黙かにかかわらず何らかの)合意にもとづくもの。輸出入差額で得たドルが、日米間の3%以上の金利差ゆえに米国で資産として運用された。ドルの価値を維持しようという日米の政治的な意思が、日本の重商主義と、米国に流れ込んだ投機マネーの暴走を可能にした。】
 【競争力が高ければ輸出し続けるという考えは、為替レートが安定していることを前提とする。1ドル80円台をつけてもなお、米政府がドル売りの姿勢を強めており、価格競争によって輸出を伸ばしても、変動相場制のもとでは円高により相殺されるだけで、国レベルでは景気対策にならない。内需不足に起因する景気不振から国際競争力によって脱しようとする重商主義は、幻想にすぎない。】
【「国富論」においてスミスは、資本が国内の農業、製造業、商業の順に投下されるべきであり、それが満たされた後に植民地に投下されるべきだとする「自然な資本投下の順序」説を唱えた。つまり、重商主義は、輸出振興で「自然な資本投下の順序」を逆転させて、国内で用いられるべき資本を海外(植民地)で活用しようとする。その結果、植民地へ輸出する製造業は保護されるものの、国内農業は沈滞する。重商主義を止めれば資本は自ずから国内に回ると、彼は主張したのだ。】
 以上は、『日本経済論』(松原隆一郎著、NHK出版新書、11年1月刊)に拠りました。
追伸:(私の独断)80円台にまで円高が進行した背景には、米国への投資額が減少したことがある。日本が従来国際収支の黒字を米国に投資してきたのは、ほぼ3%あった日米間の金利差に因る。しかし、米国が世界覇権を継続するためには、金利差が縮小しても、日本の資金を吸い上げる必要があり、そこで登場したのがTPP。投資の自由化で円資金の米国移動を図りたいのだ。

平成の壊国TPP

2011-03-07 | 経済と世相
 夕方TVの国会中継を見ていたら、福島瑞穂さんがTPP問題を追及していました。
朝の日経ビジネスオンラインにもありましたので、以下、その要点を紹介します。
【まず、TPPは農業の問題でもなければ、家電や自動車などの輸出産業の問題でもない。TPPには24の部会があるそうです。農業と工業は24分の2に過ぎないが、関税についていうと、日本の平均関税率は農業を除き、アメリカよりも低い。日本は現時点で、アメリカ以上に「開国」しているというのが現実なのだ。すなわち、日本が関税を撤廃しても、アメリカは農産物の輸出以外に、ほとんどメリットがないように思えるわけである。
 それにも関わらず、アメリカには日本にTPPに参加してもらいたい理由がある。それは単純明快。アメリカは自国の雇用のために、日本に「非関税障壁」撤廃して欲しいのだ。すなわち「規制緩和」である。中でも、「サービス(金融)」。この分野を追加したのは米国です。
金融サービスについては、現在のTPP協定(ブルネイ、シンガポール、チリ、ニュージーランドが締結済みのもの)には含まれていない。サービスの自由化範囲について記載された、(現)TPP協定の第12章において、金融は航空輸送サービスと共に「適用されない」と記されている。にも拘わらず、米国が追加したのは、日本の保険業界(並びに共済)に乗り込みたいため。
投資分野に目を移すと、そもそも外国人に国内における投資を自由に開放することは、国益を害する可能性があるとして、WTOにおいても自由化対象外となっている分野である。例えば、港湾や空港、水道、交通分野など、国家の国防や安全保障に関わる分野における投資は、「サービスの自由化」などとは違った側面を持っているわけだ。さらに言えば、農地への投資を外国企業に開放し、加えて食料の加工、流通分野まで外国企業に握られてしまうと、これまた国民の安全保障に関わる問題になる。投資の全面自由化は国益と衝突するケースが少なくなく、各国は(アメリカ以外は)常に慎重姿勢を保っている。
 例えば、OECDでは一応「資本移動の自由化に関するコード」において、直接投資の自由化義務が課されている。だが、各国は投資の自由化について留保することが可能になっており、実際に多くの国が留保している。
さらに、FTAなどの2カ国間条約の中には、相手国から自国への投資に際し、最恵国待遇を約束しているものもあることはある。だが、さすがに内国民待遇まで認めている条約は多くない。多国間貿易協定における投資に関する原則も、投資全般のルールこそ定めるものの、最恵国待遇や内国民待遇を強制するものは、ほとんどないというのが現実だ(NAFTAを除く)。
TPPの既存の協定には「投資の自由化」は含まれていない。ところが、なぜか24の作業部会の中に「投資」が含まれている。米国が追加したのだ。要するに、アメリカが貿易協定などにおいて、投資の自由化を求めるのは「いつものこと」なのである。
TPPとはそもそも、「例外品目なしで、100%自由化を実現する過激なFTA」である。
しかも、日本とアメリカが参加した場合、両国のGDPを合計すると全体の9割を超えるわけである。事実上の「過激な日米FTA」である。わが国に突きつけられたアメリカからの「構造改革」の要望こそが、TPPなのだろう。
TPPは「平成の開国」でなく「平成の壊国」だと、この文の著者は記す。
(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110303/218708/?P=1&ST=money)
私の(独断と偏見の)結論は、「投資の自由化」こそがTPPに託する米国の目的、つまり日本が輸出で稼いだドルを米国が運用すること。この米国の目的に協力することが菅内閣の目的だと推論(邪推?)しています。この点については次便で。