津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■お気の毒さま

2021-11-20 07:17:47 | 徒然

 うちの奥方は必ず寝る前に夜空を見上げるほどの「天体」好きである。
140年ぶりとかいう昨晩の月蝕には大いに期待して待っていた。
私が住むAPは、完全南向きである。時間が来てもお月様が見えない。
前の日に二回目ワクチン接種して頭痛がする(一回目も)といって一日休んでいたが、APの北と南にある駐車場までおりて眺めに行った。
「見えない・・」と少々機嫌が悪い。頭痛のせいもあるのだろう。「しばらくすれば登ってくるさ」と私も気になり始めた。
何度もベランダに出てみるが見えない。どうやらAPの真上に位置しているのではないか?
TVでは熊本城内の「細川刑部邸」のもみじやイチョウの紅葉の中から、月蝕の様子が放送されている。
奥方のイライラぶりが見て取れる。「もう・・生きているうちには見れないのョ。」と大いに不満げである。
蝕が終了しても月の姿は見えない。体調が悪いのもあいまって、誠にお気の毒様としか言いようがない。

(ご愁傷様と書きかけたが、先の選挙番組でタレントの某の不愉快な発言を見ていたから、学習していて慌てて打ち直した)

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■川田順著・細川幽齋「歌仙幽齋」 人物(一)

2021-11-20 06:51:24 | 先祖附

              「歌仙幽齋」 人物(一)

 細川幽齋は、歌人としてよりも人物として一層尊敬に値する存在であつた。世間に
は、専門の藝能にのみすぐれて、人間として一向敬服し難い者が多ぎる。幸いにして
我が幽齋は、撰を異にした。戰國の境遇に鍛冶されて、巌の上に突立てた柱の如き人
物と成つたのである。

 歌名に覆はれて、武人の幽齋はややもすれば小さく見られるが、それは傳紀を究め
ることがおろそかな爲である。太田和泉守資房(一牛と號す)の信長記や小瀬道喜(甫
庵)の太閤記は、それぞれ織田豊臣の右筆によつて書かれ、大方信用すべき文獻であ
るが、それらの中から幽齋に關する記事を拾ひよみしても、彼が並々ならぬ勇將なり
しことは窺ひ得る。天正元年七月、足利義昭が信長を討たんと擧兵した時、その主將
岩成主税頭といふ剛の者の楯籠つた淀城を、藤孝は奮戰して攻略した。同三年八月、
信長が朝倉氏の餘黨を討伐せんと越前に出馬した際、藤孝は随行した。同四年初夏、
信長大阪本願寺の石山寺を攻めた時、藤孝は先陣を承り、森口表に放火して力戰し
た。同五年春、紀州雑賀征伐にも參戰して異常の働きをなした由は、信長記に委曲し
い。同年暮秋の頃には、信忠の軍に從つて大和の松永久秀を伐ち、遂に彼を敗死せし
めた。同八年丹後に封ぜられ、辛苦して其地の一色氏を平らぐ。信長亡後は、秀吉に
属し、天正十三年三月根來征伐に從ひ、蒲生氏郷らと共に積善寺城を攻略した。同十
五年の九州征伐、同十八年の小田原征伐には、いづれも從軍し、殊に韮山城攻圍には
苦戰したらしい。文禄元年七月には島津歳久問責使として薩州へ赴いた。朝鮮役には
名護屋に在つて秀吉の帷幄に參し、渡海はしなかつた。慶長五年秋の田邊籠城は、武
將幽齋の面目を十分發揮し、有終の美をなしたものと云へる。

 彼は忠厚の人で、義理を重んじた。細川家が代々室町幕臣なりしことを省み、暗愚
なる義昭をも庇護して、信長にすがり、彼を足利氏最後の將軍にまでもり立てたので
あつた。義昭が忘恩して擧兵の時、藤孝、信長に属して淀城を屠つたのは、決して足
利氏の舊恩に反いたわけではない。義昭愚劣にして、到底亂世を治める人物にあらざ
る事を、慨嘆した餘りであつた。後年義昭零落して大阪に病臥すと聞くや、幽齋は京
都から微行して彼を慰藉した。忘恩どころではない。彼は若くして、治國平天下の悲
願を懐いてゐたのだ。いかにもして、應仁以來の混亂を拾収し、蒼生を安んじ度きも
のと、初一念を抱いてゐたのだ。身は足利氏の出なるも、皇室の式微を嘆き、信長の
忠誠にすがつたならば尊皇の素志を貫徹し得べしと信じたのである。

 細川兩家記を讀むと、足利義昭は永禄十一年十一月入洛して「細川殿の屋形」に滞
在し、同月廿二日將軍拝命の御禮に參内したが、廿四日には織田信長に宛てて感謝の
「御内書」を贈つた。その全文「今度國々之凶徒等、不日不時悉令對治
之、速入洛候條、武勇天下第一也、當家再興不之、彌國家之安治偏頼入之外
他、猶藤孝、惟政可申也」  藤孝は一乘允覺慶(義昭)を救出した命の親でもあ
り、旁々、惟政可申也と重んぜられたのは當然である。と同時に、鹽尻に記せる、
藤孝は、將軍義晴の子で、義輝や義昭の弟だと云ふ一説が、必ずしも浮説ならずと思
はれる。

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