あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(前編)・愛媛その5

2006-11-02 21:32:23 | 初めての四国遍路
 今日は、東京・京橋で開催中の『「どんぐりの会」風景画展』と
いう絵の作品展を見に行きました。カントリーウオークの仲間、
Tさんも出品していると聞いたからです。

 13人の作品展でしたが、いずれも日本の自然を、やわらかな
タッチで描いていて、心が洗われるような作品でした。

 そのあと、近くの八重洲ブックセンターで、四国遍路に必要な
2万5千分の1と5万分の1地形図を数枚購入しました。

 いまレポート中の、2年前の四国遍路の際、購入を漏らした
ところと、最近発行された部分です。来週末あたりから、2度目
の遍路に出かける予定なので、買ってきたのです。

 四国遍路(前半)のレポートは、今日が最終回です。

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 第27日 2004年3月17日(水) 晴後曇
 =内子駅で前半の区切り=
 
 5時45分起床、ふるさと旅館の暖房は利きが良く、暑いので
夜半に切って毛布も外してちょうどよかった。

 6時30分朝食、6時58分、今朝もTさんと一緒に出る。女性
一人と多摩市の区切り打ちの男性は早立ち、逆打ち遍路氏は
まだ食堂に来なかった。

 きのうまでと比べると今朝は暖かい。きょうも交通量の多い
国道56号を西に向かう。500m余りで線路の北側の旧道に
入り、新谷町の古い町並みを抜ける。

 帝京第五高の先、北斜面の栗林にいっぱい咲く菜の花が、
黄色いじゅうたんのよう。矢落橋を渡って国道に戻ると、車が
途切れなく続く。

 五十崎(いかざき)駅のそばでへんろ標識に従い左手に入る。
すぐに草の道となり、柔らかな感触が足に優しい。こういう道
がへんろ道として続いているとよいのだが…。

 間もなく内子(うちこ)町。車道に出てすこし上がり、運動公園
の間を抜ける。

 8時半前、内子駅入口に着き、Tさんと多摩市の男性に別れた。

 Tさんとは8日間も同宿し、4日前からはほとんど一緒に歩き、
大変お世話になった。この先元気に歩かれ、無事結願をお祈り
する。

 私は、ここが今回の区切りである。内子駅に行き、時刻表を
借りて調べ、帰りのジパング切符を購入、ロッカーに荷を預けて
2時間ほど内子町を観光することにした。
 
 =内子の町並みを巡る=
 
 駅は町はずれにあり、町並みは駅の北北東に伸びている。

 まず内子座に行く。大正5年(1916)に建てられた木造2階建て。
老朽化で取り壊しになるところを、町民の熱意で昭和60年10月、
復元工事を終え再出発、現在は年間7万人が訪れ、80日近く
劇場として活用されているという。

 枡席、回り舞台、花道などが、木のぬくもりある造りで出来ており、
よく大正時代の演芸場としてのふんいきを醸し出している。

 東に進んで商店街に入る。図書館前に安達玄杏碑があった。
幕末~明治の医者で、育英の先覚者だったという。



 商店街を北に向かい、八幡神社前にある商いと暮らし博物館に
入館する。明治からの薬商、佐野薬局を町が博物館として公開
しているもの。

 大正の頃の商家の暮らしを、間取りに合わせ当時の道具と人形
を配して再現している。良くできた正面の人形に、入ったときに
思わず声を掛けてしまった。


 伊予銀行のそばの交差点を左に入った緩い坂のあたりから、
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された八日市・護国
地区である。

 電線を地中に埋め、昔ながらの白壁の古い家並みが両側に
続いている。

 内子町は、江戸後期から明治時代にかけて、和紙と木蝋(ろう)
で栄えた町。ただ1軒残る和ロウソク製造の大森太郎さんの店
では、ハゼノキから絞った蝋を、芯の回りに何回となく手でかけて
作る独特の製法を実演していた。


 町並みは、伝統工芸の和傘やシュロ細工の店、喫茶、土産物
店などが続き、国重文の建物、大村家、本芳我邸もある。観光
バスや自家用車で来た観光客が多い。

 もう一つの国重文、上芳我邸は木蝋資料館として公開されて
いるので入館した。

 木蝋造りの道具や工程などが、広い邸内にある主屋、釜場、
土蔵、蝋造り小屋、製蝋用具展示棟などを回ることにより、理解
できるようになっている。

 建物は明治27年(1893)に建てられたもので、名家だったこと
が知れるりっぱな造りである。

 館内に、後半何度か見かけた、同年輩の男性の歩き遍路が
見学していた。声をかけたら、水戸市の方。手の爪が化膿して
しまったので、今日は休養して内子町の見学をしているという。

 保存地区の末端まで行って、土産物店をのぞき、ほぼ同じ道
をJR内子駅に戻る。

 11時55分発、内子線上り松山行き普通電車に乗り、長旅
からの帰途についた。

〈コースタイム〉ふるさと旅館6:58ー五十崎駅前8:00ー内子駅
8:28

(距離 7km、歩行地 大洲市、五十崎町、内子町、歩数 
 11,700)                       《前編完》
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