魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

長子社会 2

2023年11月04日 | 兄弟関係

【未来は一人っ子社会】

長子・一人っ子時代
人類の歴史は多数派である「弟妹」の歴史だった。
ところが、現代のように医学が発達し死ぬ子が減り、少子化が進むと、長子の比率が高くなり、社会に長子的価値観が広がる。親も長子、子も長子の関係は穏やかで理屈っぽく、互いの自由を認め、争いを避け競争意識がない。
誰かに習うことが嫌いな長子社会に、ネット時代が重なり、ますます、人に従い「習う」ことが薄らいできた。これが「ゆとり世代」や「Z世代」と言われる文化であり、弟妹さえも長子型の思考をする。
古典的弟妹型社会で育った50代以上の旧人類には理解できない感性と価値観が生まれ始めている。

何でも自分で考え想像してみる長子は、弟妹の気持ちをある程度推察できるが、弟妹には長子の気持ちは親と同様で、想像できない。表面的な言動だけを見て理解したつもりになる。
もちろん、弟妹も想像はするが、長子が自分の考えも疑いながら想像するのに対し、弟妹の想像はパターンに当てはめる「決めつけや思い込み」になる。親が痴呆だと決めつけるのは弟妹に多く、長子は「歳相応だから普通だろう」程度に受け止める。
余談だが、弟妹の書く小説の方が面白いのはイメージが具体的で現実感があり、読み手の想像の余地が多いからかも知れない。長子は、これが面白いだろうと作為的な過剰表現が多く、没入できないが、哲学的で考えさせるところはある。

現代日本の若者が海外に出て行こうとしないのは長子文化の影響もあるかもしれない。想像すれば解ることを体験してみたいとは思わないし、知らない人に心乱される苦労などしたくない。ただし、好奇心と思い込みで、恐怖を忘れるのも長子だ。
弟妹は状況次第で、服を着替えるように一瞬にして変われるが、現場対応が苦手な長子は納得するまでの時間が掛かる。もともと思考型の長子は出て行くまえに情報で想像する。
しかし、これが長子の欠点で、無心で体験してみなければ解らないこともあることが解らない。長子は事前に様々に想定し、心の準備が無ければ動けない。仮に突発事態に遭遇しても、「想定内」だったことにする。ホリエモンも長子だろう。

タテ型長子、横型弟妹
人類が経験したことのない長子世界が来れば、争いは無くなるかもしれない。戦争を好まない宗教や哲学は長子によって生まれ、教理で争う宗教は弟妹によって生まれたのではないかと考えられる。
各々の教祖が実際どうであったかは不明だが、全ては人間自身=己が解決する問題と考える仏教や儒教は長子の視点で、生まれる前から絶対的力=神が存在するキリスト教やイスラム教は弟妹の視点と言える。(一神教の神は古代ユダヤから存在していたので、キリストやマホメットの発想ではないが、被抑圧者の視点は弟妹と同じ)

タテ型長子社会の中華圏が19世紀の欧米に蹂躙されたのは、多分に、素早い対応が出来ない長子帝国が影響していたと思われる。現在の中国共産党も、何か起こると反応が遅く、逆に、弟妹型の韓国は何も解らない内からとにかく現象に反応し変わり身も早い。
一人っ子日本は外から見ると何を考えているのか解らない。強く押すと思いがけない行動に出る。破れかぶれはあるが、コツコツと積み上げるのが信条で、決断力は無い。

世界侵略をしたモンゴルは原則は長子相続だが、徹底した実力主義で、ヤクザ的、あるいは戦国武将的力関係で成り立っていたので、農耕型の安定社会は間単に崩された。
現在の中国は、幾度も征服されたこともあり、モンゴルの実力主義の影響を受けているが、漢民族の農耕的管理官僚社会で形骸化し、モンゴルのような臨機応変の行動は取れない。始めは上手く行っているように見えることも、結局、安定志向を求め進取性を失い他動的大崩壊を待つことになる。
この傾向は、一人っ子型の日本の方がもっと強いが、表面的な動きがないので大崩壊まで気づかれない。