goo blog サービス終了のお知らせ 
転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



愛媛・西予市で震度5強の地震、津波の心配なし(読売新聞)
『14日午前2時6分頃、伊予灘を震源とする地震があり、愛媛県西予市で震度5強を観測した。気象庁によると、震源の深さは約78キロ、マグニチュードは6.2と推定される。この地震による津波の心配はないという。』
『主な各地の震度は次の通り。
 ▽震度5強 愛媛県西予市
 ▽震度5弱 愛媛県宇和島市、八幡浜市、松山市、伊方町、高知県宿毛市、広島県安芸高田市、呉市、大竹市、東広島市、山口県柳井市、防府市、下松市、大分県佐伯市、臼杵市、国東市』
(2014年3月14日05時37分 読売新聞)

地震情報(震源・震度に関する情報)平成26年3月14日2時19分 気象庁発表(気象庁)

結構大きな揺れだった。
私は既に就寝していたのだが、文字通り揺り起こされた。
今になって思い返してみると滑稽なことに、
目覚めた瞬間、私の中に沸き上がってきたものは恐怖や驚愕でなく、
「ワタシの貴重な貴重な休息時間に、何してくれんねん(--#)!!」
という怒りだった(爆)。
徐々に揺れながら目覚めたからだろうと思うが、
とにかく地震だというのは最初からわかっていて、
私は怒りながら(^_^;布団の上で上半身を起こした。
そのあと数秒で本当に覚醒して、頭の中が現実的になり、
台所も風呂も既に火の気はなく、暖房も使っていないから
とりあえずすぐすることはなさそうだな、
あとはドアを開けておくくらいか、……と考えた。

同時に、前に観た、阪神大震災のときの揺れの映像が思い浮かび、
なすすべもなく布団を頭から被って丸くなった人の姿が思い出されて、
あれに比べたら、私はこうして平常心で起き上がっていられるのだから、
今のところ深刻なほどの揺れではないな、と天井を見上げて思った。
ろくに耐震性のない(汗)マンションなので、
ゆらゆらと左右に揺れている感じで、天井がミシミシと鳴った。
それから、職場の同僚のアメリカ人BさんやJ氏のことを漠然と思った。
今頃、社宅でひとり、色を失っているのではなかろうか(汗)、と。

私は、揺れがこのまま強くなるかおさまるか、しばらく待った。
津波の心配はないのかな、伊方原発その他は大丈夫なのかな、
等々と、とりとめのないことが次々と頭の中に浮かんだ。
そうしているうちに、有り難いことにほどなく地震は終わった。
娘の部屋の電灯がついていたので行ってみたら、娘はまだ寝ていなくて、
「スマホの地震速報が初めて役に立ったよ~(^_^;」
と言った。間無しに主人も部屋から出てきて、
「大きな地震じゃったのぅ」
と感想を述べてから、トイレに入った。
外からは、市か何かの放送によるものと思われる、
『震度5の地震があった』『ラジオをつけて落ち着いて行動するように』
という主旨の音声が聞こえていた。

携帯でTwitterをチェックしてみたら、
フォローしている『地震速報‏@earthquake_jp』にデータが出ていたが、
私のTLでは、その時間帯に活動しているのは関東及び海外の方々が多く、
地震と全然関係のないいつもの話題が中心で、
ベーシストのIKUOさん@島根県出身が「地震、大丈夫ですか」と
書いてらしたのが目立ったくらいだった(^_^;。
山口の出光工場爆発か?というカキコミがしばらくすると出てきたが、
これは安全装置が作動したための、フレアスタックという現象だったらしい。
【現地画像】出光工場の地震によるフレアスタック写真まとめ(NEVERまとめ)

今朝になって、各地で多少なりとも被害の出ていることがわかった。
震央は瀬戸内海で、ここは安芸灘・伊予灘のプレート境界地震が
定期的に起こるところだというのも、Twitterに出ていた。
私も含め、広島の人間は地震に対してどうしても油断があると思うので、
これを機会に、地震対策については今一度考えておかないといけないな、
と思った。

ともあれ、もうこれ以上、揺れませんように……。
大事な睡眠時間が中途半端に損なわれたので、
案の定、今朝は気分爽快とは言えず、ダルいです(--#)。

Trackback ( 0 )




花組みりお(明日海りお)くんの大劇場トップお披露目は
『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』と発表された

公演期間:8月22日(金)~9月22日(月)、一般前売:7月19日(土)

最近はもう、何かというとエリザだね……、
と、一瞬がっかりしかけたワタクシだったが、
キャストを観て、俄然、これは行かねば!という気持ちになった。

トート:明日海りお、エリザベート:蘭乃はな、は当然として、
フランツ・ヨーゼフ:北翔海莉、ルキーニ:望海風斗、
ルドルフはダブルキャストで芹香斗亜と柚香 光。
ほっくんの皇帝陛下が観られる上に、
去年私が心惹かれたレイくんがルドルフだなんてっ!

ときに、今年の前半はバウホールがなぜかロシア演劇づいているのだが、
これって、何かシリーズになっている企画モノでしたっけ?
5月22日(木)~6月1日(日)の星組がチェーホフの『かもめ』(主演:礼 真琴)、
6月21日(土)~7月1日(火)の花組がツルゲーネフの『初恋』(主演:柚香 光)、
というのは、私としては通ってしまいたいくらい魅力的なラインナップだ。
どういう脚本になっているかには、百抹の不安があるけどもよ(逃)。

Trackback ( 0 )




既に十日以上前の話になってしまったが、
2月28日に、西区民文化センターで行われた、
『魚住りえ&魚住恵 リーディングコンサート~朗読と演奏が奏でる詩情の世界~』
を聴いて来た。
魚住姉妹共演による朗読ピアノコンサートに関しては、
私は初回(2007年)から聴きに行っているファンで、
続編が企画されることを最初から希望していたら、
翌年に地元広島での再演(2008年)があり、
更に今回は、弦楽器ゲストも加えての発展版を聴くことができて、
当初の予想以上の可能性が開けてきたことを知り、とても嬉しく思った。

<第1部>~名曲コンサート~
ショパン:幻想即興曲
ショパン:小犬のワルツ
フォーレ:夢のあとに
サン=サーンス:白鳥
カザルス:鳥の歌
ファリャ:スペイン舞曲
J.S.バッハ:ガヴォット
ハイドン:ピアノトリオより「ジプシー風ロンド」

<第2部> ~朗読と演奏が奏でる詩情の世界~
宮沢賢治作「セロ弾きのゴーシュ」


第1部は、りえさんの司会、恵さんのピアノ&解説、
ゲストの熊沢雅樹(チェロ)さん、甲斐摩耶(ヴァイオリン)さんの
演奏が順に加わっての、豪華な名曲コンサートだった。
私はどうしてもピアノ寄りに聴いてしまうので、
ピアノが、ソロから始まり、伴奏になり、三重奏の一員になり、
……と役割を変えて行く様が、音色の多彩な変化と相まって、
とても興味深く感じられたのだが、
客席では、身を乗り出してチェロやヴァイオリンを聴いている、
小学生くらいのお子さんの姿もあちこちに見えたので、
それぞれ、各自の興味や楽器経験などに応じて、
聴きたいところが聴ける演奏会になっていたということだと思う。
各楽器のソロ曲から入って、最後にハイドンで三者の共演になる、
という流れは、とても楽しい構成だった。

第2部は、りえさん朗読による宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』に、
ピアノ、チェロ、ヴァイオリンが絶妙に絡む朗読劇だった。
朗読劇、という言い方が適切かどうかはわからないが、
楽器がジングルや効果音的な役割を果たす部分もあれば、
物語の一場面として演奏そのものが前面に出る部分もあり、
そのつながりが全く自然で、完成度の高い舞台になっていたと感じた。
原作では、冒頭の第六交響曲が誰の作品であるか触れられていないし、
ねこの言う『トロメライ』はともかくとしても(笑)、
題名がありながら実は架空の曲というのが複数登場するので、
この作品を上演する際に、それらをどういう曲目にするかは、
演出担当者や演奏家の、選曲のセンスが問われる部分だったと思う。
今回演奏された曲目は、以下の通り。

ベートーヴェン交響曲第6番『田園』第一楽章より
プロコフィエフ:『つかの間の幻影』より第1曲
ショスタコーヴィチ:チェロコンチェルト1番より
シューマン:『子供の情景』より「トロイメライ」
プロコフィエフ:『つかの間の幻影』より第10曲
ブラームス:子守唄
プロコフィエフ:『子どものための音楽』より「マーチ」
シューマン:『子供の情景』より「見知らぬ国々と人々」
ポッパー:ハンガリアン・ラプソディー

りえさんの朗読で私が感銘を受けたのは、
登場人物を演じていながらも、一貫して「朗読」の範疇を
逸脱しないものだったという点だ。
「朗読」の場合、読み手は読み手であって、声優や俳優ではなく、
声色を作ったり演技したりすることは朗読本来の役目ではない、
と私は常々思っているのだが、りえさんの朗読もまた、
実に生き生きとしていながら、飽くまで、
「感情をこめて読み上げる」芸術表現を目指したものだったことが
強く印象に残った。

恵さん・りえさんは姉妹、熊沢さん・甲斐さんはご夫婦、
ということで、家族的なつながりが舞台の温かさとなって現れた面も
おそらくあったのではないかと思う。
『セロ弾きのゴーシュ』の素朴な世界とそれはよく調和して、
最後には私は、主人公ゴーシュの感激や満足、感謝に思わず同調し、
なんとなく涙ぐみそうにさえなった。
とても幸せな空気で満たされた公演だったと思う。

また次の公演が企画されることを願っている。
魚住姉妹も熊沢・甲斐ご夫妻も、それぞれお忙しいこととは思うのだが、
機会を見て、今後も是非よろしくお願い致します(^^)。



追記:今回の公演は来月、東京でも行われるようだ。
魚住りえ&魚住惠 リーディングコンサート
2014.04.19(土) 第171回よくばり音楽館
港区立高輪区民ホール 午後2時開演(午後1時30分開場) 
≪問い合わせ先≫
事務局 電話・FAX:03-3778-5424 Eメール:tmatanokura@yahoo.co.jp

Trackback ( 0 )




きょうは娘の大学の秋学期成績発表の日だった。
朝10時から4年生の成績が、続いて11時からは3年生の、
……と一時間ごとに区切ってウェブ発表になるという方式で、
娘たち1年生の成績は午後1時から閲覧可能になる予定だった。
朝寝坊の娘もさすがに昼には起きて(殴)、
居間のソファに憂鬱な表情で陣取り、
「ああ~~(T_T)」とひとしきり悶絶したのちに、
iPadから大学サイトにアクセスして、自分のページを開いた。
夏休み中の春学期成績発表のときは、娘はパスワードを下宿に忘れ
成績表が郵便で実家に届くまで待たなくてはならなかったので、
今回は懲りて、IDとパスワードを記録したものを手元に持っていた。

成績表が表示されるのを心臓バクバクで待っていた娘は、
結果、どれも落としてはいなかったことがわかって、
フル単位キター♪再履ナシーーー(T_T)、と歓喜に包まれた。
このヒトの場合、成績が良いかどうかなどは既に関係がないのだ。
大事なのは、単位になったかどうか(^_^;。
特に、法学部必修の法律関係科目が無事に取れていたのは
大変めでたいことだった。
法学と民法がヤバく、刑法はギリギリか、
と娘は覚悟していたので、いずれも大丈夫であることがわかり、
心から安堵することができた(母娘とも)。

それで落ち着いて成績表を見直すと、
なんと、一般教養の歴史が「C」になっていた(O_O)。
ほかの科目があれこれ「C」なのは仕方が無いとしても、
おっっっ、お前っっっ、そもそも史学科希望だった筈ではないのか。
どーしてこんなところで危ういことをやっているのだっ!?

「いや~~……。教授と、歴史認識の点で相容れなくて……(^_^;」
どんな認識なんだどんなっっ(--#)

Trackback ( 0 )




先週後半は忙し過ぎてシんでいた。
まず、また娘の大学の友達が、しかも今度はふたり、
それぞれ神奈川と愛知からやって来て広島で合流し、我が家に泊まっていった。
とは言え、私は例によって何のもてなしもせず、
それどころかお嬢さんたちのほうが随分と気を遣ってくれたし、
予定の決定や観光案内などの接待は、娘が全部やっていたのだが、
それでも、炊事その他の家事仕事が微増した程度の変化はあった。

そこへ持って来て、前の週末に京都で遊んで休日を消費したのがタタり、
この木曜金曜あたりは私の仕事が目一杯になった。
特に金曜午後の職場のミーティングのときなど、
私はうろんな目をして座っていただけで、一言も発言せず、
負というか疲のオーラを部屋中に放っていたのではないかと思う。
あれで時給を貰ったらいかんよな(汗)。
居る以上、何か建設的な意見のひとつも出さないと。
すびばせんでした<(_ _)>。

しかし、今どうにか、その一週間が終わった。
昨日の仕事のあと、私は久々に束の間、解放された。
毎週、土曜の夜と日曜は、私にとって最も甘美なひとときなのだ。
更に折良く(と言ったら罰当たりなのだが!!)、
主人が松江に一泊二日の出張があって、昨日から出かけた。
お蔭で、今朝は5時半に起きるという日課から私は自由になった。
そりゃもう、寝た寝た寝た(爆)。
昨日12時頃就寝して、起床したのはさきほど正午頃。
ああ、時間に関係無く寝ていても許される境遇って、最高だ(涙)。

******************

ということで、ふと気づけば、もう来年度のNHK語学講座の予定が
ひと通り出揃い、テキスト購読予約も受付が開始されていた。
放送時間が私の日課にとって都合が良いのもあって、
来年度も、ラジオのフランス語とスペイン語を続けたいと思っている。
フランス語は2008年からなんとか継続できているので途切れさせたくないし、
今年度はスペイン語もなんとか聴けることが判明したので、
このふたつについて、来年度はテキストの年間購読予約をするつもりだ。

それと、私は今の職場にいて、自分の英語の大きな弱点は、
「なんでもない相づち」が実はうまく打てない、
ということだとわかったので、来年度は『英会話タイムトライアル』を
できるだけ聴くようにしたいと思っている。
日本語でいう「へえ~」「そうですね」「ほんとですか」「なるほど」
みたいな会話の「つなぎ」の言葉が、私の英語では種類が乏しく、
会話のリズムが自然とはいえない面がとても多いのだ。
こういうのは「次はどう言おうか」と気合いを入れるものではなくて、
本当にさりげなく際限なく出て来るようにならないと駄目なので、
今後は「小さな瞬発力」を、ちょっと意識的に磨きたいと思う。

******************

先週は、ノーム・チョムスキーが来日していた
ノーム・チョムスキー教授講演会(上智大学))。
80年代に英語学・言語学をやっていた者(の多く)にとっては、
チョムスキーはそれこそ神にも等しい存在だったのではないだろうか。
50年代終わり頃に始まった、彼の変形文法理論は、
70年代80年代と、ますます多彩な広がりを見せるようになっていて、
私が書いた程度の学部の卒業論文に過ぎないものでさえ、
完全にチョムスキーの影響下にあった。

インターネットがなかった当時、彼の著作を手に入れる方法が少なく、
指導教官やそのツテを頼ってコピーをコピーさせて貰ったときなど、
私にとってそれらは何にも勝る宝物のように思えたものだった。
今、amazonで検索したら当時の彼の著作はペイパーバックになっていて、
クリックひとつで簡単に買えることがわかった。
この機会に買おうかと思った。もう読む気力はないかもしれないけど。
……しかし、こういう限られた読者層のための本は、ひどく高いわね(逃!)。

チョムスキーの年齢から言って、おそらく今回が、
日本で彼の講演が聴ける最後の機会であっただろうから、
私の青春に多大な影響を及ぼした人の姿を(^_^;
たとえ隅のほうからでも垣間見たかったな、
と思いはしたのだが、機会が得られず残念だった。
このたび来日し、複数の講演の場を持ってくれたことに、
遠くから感謝を捧げたいと思う。

Trackback ( 0 )




多忙すぎてどうにもなりません~~

Trackback ( 0 )


乙!  


まさに今、家を出る直前のわたくしが
掃除だ着替えだ化粧だとバタバタバタバタしていたら、
バッグの中で携帯が、ぶーぶーぶぶーと鳴った。
メールだった。

っっとに、この忙しいときにっっ!なんなんだ!!
と思いながら開いたら、主人からで、2通来ていた。

どっちも題が「Re:あけましておめでとうございます」で
(いったいいつの何のメールを転用し続けているのか)、

一通目本文は、「早霧と咲妃トップ発表」
二通目本文は、「ビル・ロビンソン死去(涙)」

Trackback ( 0 )




諸般の事情でこの週末は大阪・京都へ行った。
土曜日は仕事があったので、家を出るときに荷造りし、
旅行かばんを持って職場に行った。
そして仕事が終わるや否や、会社の前からタクシーを拾って広島駅に直行、
来た新幹線に自由席で乗って、大阪に夕方着いた。
忙しかった(^_^;。

……ということで昨日うまく南座初日の昼の部を観ることができた。
南座は久しぶりに行ったのだが、今回のは演目・出演者ともに
最近の東京では望めないような面白さ(私にとって)だったので、
このタイミングで関西に出かけることができたのは本当に良かった。

最初は、昭和の作家・宇野信夫の『吹雪峠』。
最近になって繰り返し上演されているようだが、私は初めて観た。
直吉(亀三郎)・おえん(梅枝)・助蔵(松也)、
と、三角関係の三人のみが出演者という一幕もので、とても短いのだが、
私は三階から観ていたので、吹雪の演出や回り舞台の効果が
全景として非常によくわかり、興味深い箇所がいろいろとあった。
役者では亀三郎が特に、芝居の輪郭が鮮明で素晴らしかった。
そもそも、先月の歌舞伎座の忠信利平でも思ったが、
この人は声と台詞の魅力が半端ないので、役者の『声』に惚れる私としては、
二か月続けて亀三郎を観ることができたのは幸せだった。
松也の助蔵は、かつて松助の演じた役でもあり(当時のは私は観ていない)、
松助の息子がここまで成長したのだと感慨深いものがあった。

素襖落』は松緑の独壇場だった。
昨今、どんどん体型がスレンダーになっている松緑なので、
太郎冠者の扮装をしていると、ますます体の薄さ(@本人比)が目立ったが、
芝居も踊りも前にも増してパワフルで、体力的な問題は全く無さそうだった。
松緑本人は陰な魅力と野性味のある役者さんに見えるのだが、
私はしばしば、舞台での彼には陽の威力を強く感じることがあって、
今回の太郎冠者もその明るい力強さに、文句なく楽しませて貰った。
そのうえ、舞踊ものはこの人の武器でもあって、
太郎冠者の『那須の物語』にしてもそのほかの小舞にしても、
私のように素養のない者が見てもわかるほど、鮮やかな踊りになっていた。
ここでも次郎冠者には松也、三郎吾には巳之助(名代昇進 初御目見得)と、
息子さん世代が顔を揃えて活躍しており、頼もしいことだった。
また、大名某が権十郎で、1月の国立劇場や2月の歌舞伎座では、
若干、声が割れ気味かと思われたのだが、今回は良くなっていて安心した。

そして昼の部の目玉は、菊之助主演の『与話情浮名横櫛』。
音羽屋の旦那(菊五郎)さんは、与三郎とお富のどちらも演じられる役者で
(戦後、両方を演じたのはこれまで菊五郎と9代目宗十郎だけだそうだ)、
更に、近年は金五郎と蝙蝠安まで演っているので、
音羽屋ファンには、様々な意味で縁の深い芝居だと思うのだが、
若い菊之助にとっては、このたびの与三郎は初役だった。

私は菊五郎が四十代になってからの与三郎は幾度か観ているので、
どうしても内心で較べてしまい、菊之助の芝居は硬く感じられたものの、
『切られ与三』になっても以前の若旦那の品がそのままあり、
心までは損なわれていない感じが、とても良かったと思った。
近年の菊之助には、主役の華とともに「芸の筋の正しさ」が
良いかたちで発揮されていると私は感じている。
ちなみに、源氏店の見せ場「おぬしぁ おれを 見忘れたか」の台詞のあと、
パっと着物の股を割って座り直すところで、露わになった菊之助の脚を見て、
私が内心「(旦那さんに比べて)細っっっ!!」と思ったことは内緒だ(逃)。
また、これの序幕では、昨日も書いたように、
松緑が鳶頭金五郎で出ていて豪華だった

私に、時間的金銭的にもっと余裕があったら、
あの客席降りのときの通路沿いの席に座ってみたいものだと思った(笑)。

お富は梅枝
今まで、菊五郎×時蔵コンビをたくさん観せて貰ってきた私だが、
菊之助×梅枝でこんな大きな演目を観られる日が来ようとは、感無量だった。
梅枝は溜息ものの美しさだったが、赤間源左衛門の妾という設定ほどには
色っぽい感じがしなかったように思ったが、違うだろうか(^_^;。
時蔵みたいに艶っぽいところがまだないのは、無理もないか(^_^;。
しかししっとりした声は素晴らしかったし、
和泉屋多左衛門の、実は妹、という種明かしが腑に落ちるように、
お富の暮らしぶりが自然に伝わる配慮が、
2幕目の最初からされていたと思うので、きめ細かくて巧いなとも感じた。

團蔵の蝙蝠安も実はとても楽しみだった。
あの「おとっつぁん(@『魚屋宗五郎』)」が初役で挑む蝙蝠安、
もともと抽出の多い役者さんだとは知っていたが、
こんな楽しい蝙蝠安が観られるとは、予想以上だった。
ぺたりと平伏した格好が特に、私の思う通りの蝙蝠安で、最高だった。


……もしかしたら、まだいろいろ書くことがあったかもしれないが、
とりあえず今、思い出したものは、以上。
あまりに良かったので、やはりできれば夜の部も観たい。
私にチャンスがあるだろうか。
道楽の神様、舞台の神様、お願い致します<(_ _)>。

Trackback ( 0 )




松緑も菊之助も見応えがあった!
息子世代が立派になって行くのを観るのが、
こんなに楽しいものだとは(笑)。

松緑は『素襖落』で太郎冠者を、
『与話情浮名横櫛』では鳶頭金五郎を演っていて大活躍だった。
序幕の『木更津海岸見初めの場』の客席降りのあと、
酔っ払いに絡まれて酒を強いられそうになる場面で、普通の金五郎なら、
「一滴も飲めないんで」「奈良漬け食っても駄目なんで」
等々と言って固辞するのだが、きょうの松緑は、
「あたしゃ、実は前の幕(=素襖落)で飲み過ぎまして…」
と言って断ろうとしていて、これが最高に可笑しかった(^^)。

Trackback ( 0 )



   次ページ »