広島県の西部地域はもともと安芸国で、
この地域に多い、浄土真宗本願寺派の信徒を、「安芸門徒」という。
私自身は、父の家が神社神道で、母は北陸の浄土宗の家の出なので、
周囲とは少し事情が異なっていたが、
転夫ころもんの家が昔から安芸門徒なので、
結婚してからこのかたは、私もまた安芸門徒の家の者になった。
父の家のある村も、大半の人達が安芸門徒である。
というより、古い家が多いためか、多くの人がかなりのガチである(汗)。
家に仏壇があるのは当然だし、大抵の人が日曜学校の卒業生である。
父が高齢になり、私が本家の直系として数々の村の行事に関わるようになり、
通夜や葬儀に列席する機会も増えてからは、
村の地元の方々の信徒ぶりに感銘を受けることが度重なっている。
そもそも実家の村では結構最近まで、葬儀は各自の自宅で行っており、
同行(どうぎょう)という組織が実働していた。
地区内を細かく班分けした、葬儀の相互扶助をする仕組みがそれであり、
事務関係とか、食事の用意とか、弔問客接待をする「おやど」とか、
土葬だった頃は更に、埋葬の準備や墓まで柩を運ぶ「ごうりき」などが、
各家に割り当てられていて、近所じゅうで協力し合ったものだった。
さすがに今では、葬儀社に連絡して葬祭会館を利用するのが普通になったが、
会場での帳場等の役目には、阿吽の呼吸で同行の感覚が生きているし、
家族葬が持てはやされる昨今でも、香典を辞退されるケースが出てきた程度で、
村の葬儀そのものは相変わらず、割と盛大(違)である。
いつぞやTwitterで『マイ数珠』が話題になっていたが、
実家の村ではマイお念珠どころか、多くの人がマイ経本を所有しており、
法要や行事の際は、それを持参して正信偈(しょうしんげ)など唱和するし、
葬儀でもあれば門徒式章を着用して集まって来る。
こうした集まりに出る機会が増えるに従い、
私は自分も、この経本、通称『赤本』が欲しいと思うようになった。
舅宅の地元のお寺さんの場合は、法要等の前に『赤本』が配布され、
その時だけ貸して貰い、「では○頁です」と言われて開いていたのだが、
村では、法要等の開始時にはどれを読む等の案内は特になく、
周囲の皆はマイ経本スタンバイOKで、しっかり唱和し始めるのだ。
私も安芸門徒の家の嫁ゆえ、全く知らない世界ではないにしても、
諳(そら)んじているレベルには遠く及ばず、
前の列の人の赤本を背後から盗み見て唱和したりするのは、
なかなか厳しいものがあった。
という訳でこのほどついに、私も、自分のために『赤本』、
もとい、『真宗勤行集』を買った。
ネットでも注文できるし、街の仏壇屋さんでも扱っている。
これでヨシ、次に法要等があっても、もう怖いものはない。
正信偈でも讃仏偈でも、さぁ来い!(←違
また、浄土真宗本願寺派には仏教讃歌という、賛美歌的なものもある。
真宗本願寺派と音楽の関わりは深い。
私がよく行く築地本願寺には、パイプオルガンだってあるのだ。
通夜や葬儀に出ると、『みほとけに いだかれて』がよく歌われるのだが、
その歌詞と譜面も、ちゃんと『赤本』に掲載されている。
これで私も、1番から4番まで、自信を持って歌えるというものだ。
♪みほとけに いだかれて きみ 逝きぬ……
のあと、どこに逝ったかで毎回迷う、ということも、金輪際、無い!
【仏教讃歌を聴いてみよう】みほとけに いだかれて
(浄土真宗本願寺派西本願寺 YouTube)
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