転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



NHKラジオ講座「まいにちフランス語」入門編、
今期は、大学生の女の子さくらと、
イラストレーターのフランス人男性ジュリアンのお話だ。
これがなかなか興味深い。

注意力散漫なジュリアンがうっかり車道に出そうになり、
さくらが「アブナイ!」と止めてあげたのが始まりで、
「はじめまして」「フランス人ですか」「あなたは学生ですか」
と、いわゆるbe動詞会話から、ふたりは仲良くなった。
私の知り合うガイジンは誰も「アナタは日本人ですか」などと
尋ねてくれたことがないのだが、どうしてだろう。
これに対する答えだけは、がっつり練習できているのに。

フランス語ができるかと尋ねられたさくらは、
un peu(少し)、と見え透いた謙遜をしているが、
実は絶対に文法ミスを犯さない、とてもデキる女子大生である。
つたないフランス語はページの無駄だし、
間違ったフランス語の連発ではテキストに載せられないからだ。

一方ジュリアンは、ポップ・カルチャー大好きのカルい男だ。
さくらと一緒にお茶したあと、仲見世通り、浅草寺、上野公園、と
案内して貰い、ジュリアンは秋葉原でコスプレに執着を見せる。
以後、待ち合わせてサッカー観戦(でもジュリアン遅刻)、
江の島行って、鎌倉行って、と毎日二人だけのデートを重ね、
しまいにジュリアンが「ボク銭湯に行きたい」と言いだし
おおおお次はとうとう温泉宿へ!?と私は色めき立ったのだが、
さくらちゃんは「フランスには温泉はあるの?」と話題を反らし
そこから火山や地震の話にまで引っ張ってしまう、なかなかの手練だった。

そして、「大学は7月から夏休みなの」「じゃあヴァカンスだね」
という会話のあと、ジュリアンが改まって言うのだ。
「さくら、ちょっと話したいことが、あるんだけど」。
おっ、今度こそ、コクる!?と盛り上がった私を尻目に、
ジュリアンが爆弾発言、
「ソフィーが来週、日本に来るんだ。ボクのガールフレンドだよ」

貴様貴様貴様 復讐ーーー
と私がさくらだったら即座に思うところだが、
さくらはコトもなげに、「ああ、あなたの恋人ね」。
ジュリアンはアッサリ認め、さくらに彼女の写真まで見せる。
いつも携帯していやがるのだ。
「なんて綺麗な人でしょう」と礼儀を忘れないさくらに、
「確かに悪くないね」と鼻の下が伸びているジュリアンだった。

そして来日したソフィーは挨拶のあと、
「さくら、あなたはとても良いガイドだそうね」
と先制攻撃をしかけるのであった。
ソフィーはジュリアンの恋人、さくらは、ガ・イ・ド。
一瞬でもカチンと来なかったか、さくら!?
しかし3人はどこまでも和やかに
東京タワー見物だの隅田川遊覧だのと名所めぐりを楽しむのであった。
やがては実家の仙台にまで、フランス人ふたりを招待するという、
ヒトが良いんだか含むところがあるんだか不明な、さくら嬢。

仙台の七夕祭り、松島観光、お寿司で夕食、
「キミの両親のもてなしにとても感謝しているよ」
とご満悦なジュリアンとソフィー、
どうやらふたりは、さくらの実家に泊まったらしい。
なんと神経の太いガイジンなんだろう。
私が親だったら、娘が、んな白人ふたりも連れて来ちゃ
意味がわからず、迷惑このうえないでございます(--#)。
話通じないし、何食べるかわからんし、デカいし。

東北旅行が終わり、フランス人ふたりは明後日帰国すると言う。
ああ、やっと帰ってくれるのか。と思うのは私のような人間であって、
さくらちゃんは、これで引き下がるようなタマではなかった。
そうだよな。この二人のために、どんだけ時間も費用もかかったことか。
……じゃなくて。
「まだ1ヵ月夏休みがあるの。フランスに行きたいと思っているの」
うおっ、さくら、金持ち!

「それってとてもいい考えよ!」
と応えるソフィーの顔は、引きつっては、いなかっただろうか?
こんなことになったのも、すべて、ジュリアンが悪いのである。

違うのか。

結末は、来月発売の3月号にて。

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