転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



何度でも執拗に沸いて来る「サマータイム」推しは、一体何なのか。
過去、日本で1948年から1951年実際に試して
「失敗だった」という結論が出ているのに、性懲りも無く、まだ言うか。
今回の東京五輪を見据えた案では、時計を2時間進ませるとなっているのだが、
通常の1時間進ませる夏時間であっても、私には到底受け入れられない。
「早起きは三文の得」ではあるが、これは世の中が通常時間で進んでいる中、
自分だけ早起きしたときに言える話であって、
世の中全体が前倒しになったら、単純に睡眠時間が削られ、自律神経が乱れる。

『2020年の東京五輪の暑さ対策』
『午前7時スタート予定のマラソンが、最も涼しい午前5時スタートになる』
などという、森善朗・元首相らの発言を記事で読んだが、
本当にそれが五輪の暑さ対策として有効であるというのなら、
競技スケジュールのみを、2時間前倒しの内容で組み直せば良いだけだ。
社会全体をサマータイムなどにせず、今の時刻のまま、
ただマラソンを「午前5時スタート」にすれば済むことだろう。
会場界隈の交通その他は、大会期間中だけ臨時ダイヤを組めば良いのでは。
盆でも正月でも花火大会でも、臨時便や増発便があるじゃないか(--#)。
2020年の場合、7月24日から8月9日、17日間だけの話だろう?

そもそも、「サマータイム」は、地理的に緯度が高く、
夏の日照時間が顕著に長くなる場所で力を発揮する考え方だ。
その典型的な例が「白夜」だが、それに近いほど明るい時間が長く、
夏ならではの行事や暮らし方が昔からあるような国や地域であれば、
「サマータイム」のシステムにも、一定の社会的な意義がある。
高緯度であれば、夏は日照時間が相当長く、冬には極端に短くなる。
例えばロシア演劇などでも設定としてよくある話だが、
冬は冷え込み、来る日も来る日も暗く閉ざされる「死」の季節である一方、
夏が来れば、夜遅くまで明るく温かく、活力に満ちているので、
人は一年の営みのうちの多くを、この貴重な、心地の良い季節に行う。

具体的に見ると、モスクワの場合、1月には日出が朝9時頃、日没は夕方4時、
これが夏になると、日出が午前3時50分頃、日没が夜9時過ぎになり、
明るい時間が夏には2倍以上、長くなる。
こういう場所であれば確かに、何もかも制限つきの冬に較べ、
夏のほうが、人々は自然に、仕事にも余暇にも時間を費やす気持ちになるし、
経済的な面でのメリットがあると言えるだろう。
つまり、サマータイムは「寒い国で、夏にのみ恵まれる太陽の光を、
最大限に活用する活動をするため」にあるのであって、
多湿地域での「猛暑」や「熱中症」の対策として
「朝の涼しいうちに活動を始めよう」という発想でできたシステムとは違う。
更に、上記のモスクワを含むロシアでさえ、サマータイムは、
国民の健康障害の原因になり、社会的不利益のほうが大きいとして、
既に廃止されたものであることを、忘れてはいけない。

今回の案の通り、夏だけ時計を2時間進めるサマータイムが実施され、
午前7時開始のマラソンが、実質、午前5時開始になる世の中では、
現在、朝6時頃に起床している我が家など、午前4時起床になる。
日によっては5時50分頃から起き出していることもあるのだが、
それだと午前3時50分頃に目を覚まさなくてはならないことになる。
丑三つ時からいくらも経っていない(汗)。
職場は今の時間でいえば大抵、午前7時始まりになる。
連日35度超でへとへとなこの時期に、朝4時前から起こされ、
7時に働き始めるなんて、想像しただけで体の具合が悪くなる。
夜は夜で、今の午後9時台には就寝せねばという強迫観念に悩まされる。
体調不良でしんどいのに、寝付けないと明日もまた体のつらい1日になる、
なんでオリンピックのせいでこんな拷問をされるのか!
と、腹立たしくなること請け合いだ。
主人も私も、睡眠障害を起こして仕事を退めることになるのでは。

労働者のこちとらとしては、どうしてもズラしたいならむしろ、
夏だけ2時間遅らせて欲しいくらいだ(--#)。
夏ばてで体が弱っているのだから、今より2時間ゆっくりできるほうがマシだ。
朝9時に始まる仕事なら、実質、午前11時開始になる。
朝7時に起きる人であれば、期間中は9時まで寝ていても良いことになる。
夕方5時の終業時間の頃には、今で言う夜7時になっているから、
それから残業しようにもどんどん暗くなり、すぐに夜中感覚だ。
きっと早めに切り上げて帰ることになるだろう(爆)。
こっちのほうが良くないですか(逃)。

……という「2時間遅れ」案は100パーセント冗談だが、
ともあれすべてが「オリンピックのため」なのであれば、
先にも書いた通り、「大会行事関連のみ2時間前倒し」で開催すれば良いのだ。
大会関係のみの2時間の「時差」ならば、開催まで2年ある今から計画すれば、
参加選手も観戦者も報道機関も、十分に克服可能ではないのか。
それのどこに、「サマータイム」導入を上まわる不都合があるのか、
私には、どう考えてみても今のところ、全然理解できない。
なぜ日本在住の人間全員で「午前7時のフリ」をしないと
マラソンを早朝スタートにできないと考えるのか????


追記(8月10日):『マラソン午前7時開始』という競技計画は
既にIOCの承認を受けたものである、というtweetを見かけた。
もし現在のタイムゾーンのまま『午前5時開始』を採用すれば、
ICOの承認に違反することになる。
そのため、現実の日本標準時が何時であろうと
マラソン開始時刻を『午前7時』と称する必要がある、らしい……???
本当かね??形骸化もここまで行くと……(呆)。

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