夕方からは伝統歌舞伎保存会研修発表会と
菊五郎劇団の面々によるお楽しみ大喜利。
この催しは自由席だったので、ある程度覚悟はしていたのだが、
『しらぬい譚』が終わったあとダッシュで外に出てみたら
案の定、列が出来ており、私もそこに加わって1時間余り並んだ。
「並び」なんてものは久しぶりだったが、
なに、その昔、宝塚関係でなんだかんだと並んでいたことを思えば、
この程度、チョロいものだった。
有り難いことにほとんど寒くなかったし。
予定より15分ほど早く開場になり、走り込んで、
一階ヒトケタ列ほぼ中央の上手寄りに座れた。
監修が菊五郎、指導が菊五郎・時蔵・團蔵・松緑・菊之助等々ということで、
研修発表会『すし屋』は音羽屋系の台詞回しが随所に感じられ、
これまで、菊五郎劇団を折に触れて観て来た私にとっては、
聞き覚え・見覚えのある箇所が多く、楽しかった。
咲十郎と松悟の声音なんて、時々、松緑にそっくりでもう……(汗)。
咲十郎は体が華奢で線が細い感じはしたが、権太の気質がよく伝わったし、
変な言い様かもしれないが、この人の存在感ゆえに、芝居全体に、
咲十郎を中心とした「大きなホームドラマ」的な手応えがあった。
日頃、観客としての私はこの演目を、権太の物語だとは思っていても、
あまり「家族」のドラマとは感じていなかったことに、今回気づいた。
研修発表会であるだけに、咲十郎も皆も「力を合わせた」面が大きく、
それがひとつの「家族」のイメージに、すんなり繋がったのかもしれない。
お里のやゑ六は台詞が明晰で、愛らしく、かつ健気、
音一朗は、「弥助」としての振る舞いと「維盛」としての高貴な佇まいとを、
僅かな姿勢や声音の違いで大変明確に演じ分けており、見事だった。
音蔵の女房おくらは体型的に老け役が難しいのではと思っていたが、
細部まで気を配った立ち方・動き方だったし、
八重之の弥左衛門も、時々「声が若い(^_^;?」と感じる箇所はあったが、
全体から醸し出す表情や情感が父親らしくて、実に良かったと思った。
という具合で、研修発表会を間近で味わえたのも素晴らしかったのだが、
席が上手寄りということで、偶然なのだが大喜利では松緑・左近の側で、
我ながら本日は完璧だった。
ここで言う大喜利とは、菊五郎劇団の役者さんそれぞれから出されるクイズに
客席の我々が手を上げて答え、指名され正解を言えた者はサイン色紙が貰える、
という趣向だ。
初っぱな、「はい、じゃあ2番~(^^)」といきなり自分で答えを言いながら
お客さんを指していた彦三郎、可愛いお爺ちゃんぶりに笑った笑った(涙)。
最初は色紙を貰うことに熱中しそうになったが、途中から私はそれをやめて、
役者さんをとにかく観察することに努めた。
舞台化粧でない松緑・左近をこれだけ身近で眺められるなんて、
私には滅多にないことだったからだ。
左近ちゃんが緊張気味にクイズを読み上げていたが、イイ声だった。
ほかの人は選択肢が「1番」「2番」だったのだが、
左近ちゃんのは「A」「B」で、続く松緑も「A」「B」、
出る前にどんなクイズにするか父子で考えたのかな~と微笑ましかった。
そして、最上手にいた松緑は自分の番が終わって、
次に下手側にマイクを渡すのかどうか、一瞬、迷った様子で、
このときはさすがに「素」だった。最下手側にいたのは、菊之助。
ついでに、なんと本日この大喜利の場で明かされた情報、それは、
……明日の公演には「謎の参詣人(亀蔵)」と並んで、
ピコ太郎本人の出演もあるという(笑)!
最後は、菊五郎が音頭を取って「手締め」。
それまで菊五郎がマイクを持って話をしていたのだが、
この段取りになったとき、阿吽の呼吸で時蔵がそばに来て、
菊五郎からマイクを受け取り、菊五郎のほうに向けた。
両手が空かないと手締めができないものね。さすがだった。
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