転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



だって帰り道なんだよ東京からの(笑)。
行くだろ普通(笑)

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(追記)
龍 真咲のシシィが良すぎでビックリした(殴)。
こんな、退団してすぐにエリザベートのタイトルロールを演るなんて
かなり冒険ではないかと思っていたのだが、歌も演技も、大変良かった。
これまで定番だと私が思っていた、後半の、心を閉ざした皇后の姿は、
龍シシィからはあまり強くは感じられなかったが、
意図的にそのように演じていたのかもしれない。
成人した息子ルドルフへの対し方とか、『夜のボート』の歌唱など、
シシィの気持ちがこちらにも見えるものだったと思った。

作品的には、最近は本家の宝塚歌劇団が
何年かに一度は『エリザベート』を上演するので
私は正直なところ、有り難みがだんだん感じられなくなっていた。
初演の雪組がヒットしたあと、96年星組続演・98年宙組上演の頃には、
あのエリザベートが今度は一体どうなるのか!?という大きな興奮があったが、
以後、再演が重ねられ、こちらも全部の歌が歌えるほど(爆)見慣れてしまい、
最近は、申し訳ないが
「そろそろエリザが出るかと思っていたら、やっぱりか」
くらいの感覚に下がりつつあった。

しかし今回、OG公演のガラコンサート形式で改めて観て、
やはりこれは見事な作品なのだと、強く感じた。
音楽と限られた台詞だけで、これほど魅力のある舞台に仕上がるというのは、
作品そのものの底力が桁違いだということだと私は思った。
同時に、こうして路線男役や実力派スターだった人たちを配して上演すると、
各々が主役・準主役級の存在感や舞台経験を持っているために、
小さな役まで自己主張のひとつひとつが鮮明になって、
大変に見どころの多い舞台になるのだということも、よくわかった。

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ついでに、これは初演のときから思っていることなのだが、
私にとっては実は、『エリザベート』で一番盛り上がるのは一幕ラストだ。
トートを中央に、シシィ、フランツの三人の歌唱で幕となるところまでの、
音楽の秀逸さ、造形的な見事さと言ったら、もう。
あれこそ宝塚歌舞伎の真骨頂だと私は思っている。
特に、96年星組公演のマリコ(麻路さき)型トート(=銀橋ねそべり)を
観たときの衝撃と言ったらもう、たとえようもないほどで、
あれは私にとって、エリザ上演史上屈指の名場面だったと
今も自信を持って断言できる(笑)。

……が、そのあとの二幕は、誰がどうやっても、もうひとつなのだ。
高揚感が足りず、物語は「お片付け」にかかっていって、収束あるのみ。
『スカーレット・ピンパーネル』にもその傾向があったから
演出の小池先生のせい(爆)なのかとも思ってみたが、
私は映画『風と共に去りぬ』も好きなのは前半だけだった。
小説『銀河英雄伝説』でも私にとって面白いのは5巻までだ。
名作ほど、作劇というのは、えてしてそういうところに落ち着くものなのか、
それとも「昇っていく」話だけが好きという、私の趣味の問題なのか。

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