転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



以前から拙日記で幾度かご紹介してきた、
台湾の評論家・焦元溥(Yuan Pu Chiao)氏の著作『遊藝黒白』

このほど、ついに森岡 葉氏によって翻訳され、
11月末から順次、電子書籍として出版されることになった。

『遊藝黒白』邦訳版、電子書籍として出版します。(May Each Day:森岡 葉氏のブログ)

原著に収録されているピアニストの人数が大変多いので、
今後数人分ずつに分けて、順次リリースされる計画になっており、
その初回が11月末、イーヴォ・ポゴレリチとグウィニス・チェンの
インタビューの日本語版ということになる予定だそうだ。
彼の前回来日の2012年5月当時に、森岡様が翻訳なさった原著収録分に加えて、
焦元溥氏がその後新たにポゴレリチにインタビューをされたものも、
今回あわせて翻訳・発売されるということで、大変楽しみだ。

我が儘を言えば、やはりこういう読み応えのある本は、
紙のかたちで手元に置きたかったと私は思ってしまうのだが、
分量があまりに多く、内容が高度かつマニアック、となると、
なかなか一般の書籍としては簡単には行かないのだろうか(汗)。
そういう本でも、欲しいところから買える・欲しいところだけ読める、
というのは電子書籍ならではの利点だろうとは思っている。
とりあえず、Amazonのオンデマンド印刷で紙の本としての購入も可能
とのことなので、当面、私はそのほうを選択するつもりだ。

それにしても、この『遊藝黒白』は強烈な本だ。
私は80年代には、ポゴレリチについて日本で活字になったものは
ほとんど全部読んだのではないかというほどの偏執狂ぶりだったが、
あの当時私が知りたかったことが、
このインタビューではほぼすべて触れられているどころか、
更に、それ以上のことまで詳細に明かされているのだ。
私はポゴ氏については過去、英語圏の雑誌・書籍も結構調べたつもりだが、
まだこれほどの内容のものに出会ったことがない。
少なくともポゴ・ファンならこの本は必見だろう。
多くの演奏家がそうだと思うが、彼らは、
訊けば何でも逐一説明してくれるほど、暇でもないし無防備でもない。
限られた時間で彼らから何を引き出すかが、インタビュアの腕の見せどころだ。
ポゴレリチにこうした傾向の話をさせた、著者の焦元溥氏とは
一体どのようなかたなのかと、私はそのことにも大変興味を持っている。

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