転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



facebookの友人のページを読んでいたら、
かつてあったポプコン(ヤマハポピュラーソングコンテスト)の話が
ほかの話題からの流れで出ていて、それで思い出したのだが、
このコンテストから誕生した多くのアーティストの中で、
私が今もどうしても忘れられないのが、磨香(まこう)という人のことだ。
彼女と、その歌声については、折に触れて思い出すのだが、
現在どうしているのか、私には全く知るすべがない。

彼女は83年のポプコンで登場し、世界歌謡祭でもグランプリを受賞したが、
不思議なことに、その後は活動をしなかった。
受賞時には高校3年生だった筈なのだが、
後に芸名を変えて再デビューしたとも聞かないし、
グランプリ受賞により、直後にアルバムが1枚は出たのではと思うが、
それもレコード時代のことではあり、今となってはほぼ追跡不可能だ。

冬の華 磨香(YouTube)

レトロな曲調や全体に漂う暗さも印象的ではあるのだが、
私が最も忘れ難く思っているのは、この磨香という人の、
日本語歌詞の発音の仕方だった。
英語風のリズムと発音で歌う日本人歌手なら当時からいたけれども、
磨香のはそういうものとは系統が違っていて、
普通の人より、調音点が全体に微かに前か後ろに寄っているような、
力の入った独特の発音で、しかも言語音としてかなり明瞭なのだった。
私は彼女の日本語に、とても心惹かれた。

こういう発音を伴った歌唱に、その後私は出会ったことがないので、
この人が活動を継続していたら、とても面白かったのではないか、
と想像することがときどきあるのだが、
しかし一方で、実質これ一曲だけが私の記憶に残ったこともまた、
それはそれで、良かったのかもしれないと思ったりしている。
彼女のことは私にとっては、例えて言うなら、
二度と太陽に近づくことのない彗星が、とてつもない勢いで通過する様を、
あのとき一度だけ見ることができた、……というふうな思い出になっている。

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