日本と韓国と朝鮮の友好をすすめます・・日朝協会です。アジアと世界情勢を観る。

日本と韓国と朝鮮の歴史・現在から、
平和な未来を切りひらくために....
ご入会ください。1ケ月¥500

「誓約書」のターゲットは、「朝鮮」表示者、朝鮮民主主義人民共和国以外の国へ渡航予定の人だ。

2016-04-01 | 朝鮮新報ニュース
入管当局による明白な権限濫用/「朝鮮」表示者への「誓約書」要求


朝鮮の水爆実験、人工衛星打ち上げを口実とした日本政府による「わが国独自の対北朝鮮制裁」(以下、「独自制裁」)が発表された2月10日以降、日本各地の入国管理事務所や空港の入管ゲートで、「朝鮮」表示者(特別永住者証明証または在留カード上の「国籍・地域」欄が「朝鮮」となっている者)に対し、「私は北朝鮮には渡航しません。仮に北朝鮮に渡航したことが確認された場合には再度上陸が認められないことを承知した上で出国します」とする内容の「誓約書」に署名を求めることが相次いでいることがわかった。

一刻も早い「誓約書」への署名要求の取り下げはもちろん、被害当事者に対して「誓約書」を返却するなどの救済措置が求められる。
入管法に違反

「誓約書」のターゲットとなっているのは、「朝鮮」表示者で、朝鮮民主主義人民共和国以外の国へ渡航予定の人だ。

在日本朝鮮人人権協会(以下、人権協会)によると、大阪入国管理局の事務所では、2月19日の時点で「誓約書」が使用されていることが、その提示を受けた当事者によって確認されている。関西空港では、当初「誓約書」をすべての「朝鮮」表示者と「必要と思われる者」に求めていたが、現在は「誓約書」のタイトルを外した別の書式の文書(詳細は後述)を使用していることが確認された。

関東においては、東京入国管理局では3月4日時点で「誓約書」の使用が、成田空港では22日時点で関空と同様の別の文書を使用していることが確認されている。

入管当局が署名を求めている「誓約書」(人権協会提供)

関空、成田空港では別の書式に変更されているが、その他の地方入管や空港では現在も「誓約書」が横行している可能性がある。

言うまでもなく、朝鮮の自衛的措置としての水爆実験、合法的権利である人工衛星の打ち上げに対する日本政府の「独自制裁」、とりわけ在日朝鮮人に対する規制措置が極めて不当なものであるが、この「誓約書」は法律上、また人道上、到底容認できるものではない。

「独自制裁」では、「北朝鮮を渡航先とした再入国の原則禁止」とする対象として「在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者」を挙げ、その「対象者を従来より拡大」するとしている。曖昧な表現による「制裁」措置のもとで、今後「制裁」の対象者がどこまで拡大されるのか予断を許さない状況だ。

このようななか、「独自制裁」の「朝鮮を渡航先とする再入国の原則禁止」対象でない「朝鮮」表示者に対して見境なく「誓約書」への署名を求めることは、在日同胞たちの祖国往来、海外渡航の権利をじゅうりんし、その不安をよりいっそう増幅させるものだ。

人権協会の金東鶴事務局長は、出入国管理及び難民認定法26条第7項において、再入国の取り消しができるのはあくまで「その者が本邦にある間において」のみとしていることから、「誓約書」の文言は法規定を逸脱しており、これを「承知」したと誓約させることは、権限の濫用以外の何物でもないと指摘する。

また金事務局長は、「『誓約書』の内容は期限を付してもおらず、未来永劫、朝鮮への渡航の断念を余儀なくさせかねない内容であり、結果、植民地支配にはじまる歴史的経緯、そして日本の社会状況から、家族が海をまたぐ形で生活することになった少なくない在日朝鮮人の家族が対面することをも阻害することにもなる」と話す。

実際に「誓約書」に署名させられた在日同胞のなかには、「渡航しません」と誓約してしまった以上、「今後、朝鮮に渡航すれば日本には戻って来られない」、したがって「もう朝鮮に行くことは叶わないのではないか」と憂慮している人もいる。一方で、関空において「誓約書」への署名を拒否して出国し、無事に再入国した事例も確認されている。

人権協会が関空、東京入管に確認したところ、「誓約書」は法務省からの通知などの指示によって出されたものだという。このことは法務省の入国管理局でも確認している。だが法務省はその指示の元となる文書について内容確認をしたいという同協会の求めには応じていない。
関空、成田では書式を変更

現在、関空と成田空港で「朝鮮」表示者に対して使用されている文書は次のような内容だ。

「平成28年2月10日から,政府の方針により,日本に在留する外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国は認められないこととなりました。そのため,再入国許可申請時又は出国時に北朝鮮に渡航しないと申告していたにもかかわらず,日本に在留する外国人の核・ミサイル技術者が北朝鮮に渡航したことが判明した場合には,再入国許可の取り消しなどの処分を行う場合があります」とし、「北朝鮮へは渡航しません。日本に在留する外国人の核・ミサイル技術者が北朝鮮に渡航したことが確認された場合には,再入国許可取り消しなどの処分が行われる場合があることを理解しています。上記のとおり間違いありません」とあり、この文章の下に署名欄がある。

関空においてこの形式は、2月13日に法務省入国管理局入国在留課から新たに送られてきたという。

「誓約書」では、朝鮮に渡航した場合の処分について「再度上陸が認められないことがある」とした。日本に戻って来られない、「片道切符」になる恐れがあるのに対して、新たな書式は「再入国許可の取り消し」に処分が緩和されている。つまり再上陸したうえで再入国許可を取り消す場合があるということだ。だが「誓約書」と同様に期限が付されておらず、祖国との往来を永遠に絶たれかねない憂慮は排除できない。

他方で入管当局は、朝鮮への渡航者に対しては2月10日以降、核・ミサイル開発と無関係であることを確認する「質問表」への署名を求めている。だが、目的地が朝鮮でないにも関わらず「質問表」と前述の文書、両方への署名を求められたという被害も確認されている。

(金淑美)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。