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若い頃はドラマの連続でした。すべてが自分にとって一生を左右しうる出来事でした

2020-10-04 | いかなる差別もあってはならない
[インタビュー]
「私たち世代の前半は運命的な現代史ドラマの連続でした」

登録:2020-09-29 09:26 修正:2020-10-03 18:23


      

イ・ジョンシク米国ペンシルベニア大学名誉教授=イ・ジョンシク教授提供//ハンギョレ新聞社

 「自叙伝がとても長くなりますからね。どこかにまた書くことに備えて、ネタを残しておかなければなりませんから」

 今年89歳のイ・ジョンシク米ペンシルベニア大学名誉教授が最近出版した『イ・ジョンシク自叙伝ー満州原野の少年家長、アイビーリーグ教授になる』は、著者がロバート・スカラピーノ教授(1919~2011)と共著で出した『朝鮮共産主義運動史』(Communism in Korea)で1974年にウッドロー・ウィルソン・ファンデーション賞を受賞した時点で終わる。イ教授の生涯の前半部だけを紹介した同書には、中日戦争や国共内戦、太平洋戦争、朝鮮戦争の渦で生存のために奮闘した一人の人間ドラマが描かれている。

 米国のフィラデルフィア近郊の自宅で妻と暮らすイ教授と、今月22日(現地時間)午前、電話でインタビューを行った。

 最も記憶に残る人生の瞬間を尋ねると、彼は「1948年に家族と一緒に中国から鴨緑江(アムノクカン)を渡った時」だと答えた。「当時は北朝鮮が中国側の国境を塞いでいました。漁船に乗って北朝鮮の地を踏んだ私たち家族を、機関銃を担いだソ連のある少年兵が受け入れてくれました。ほかの人からすると何でもない瞬間かもしれませんが、私にとって画期的な出来事でした」。渡江に失敗していたら、人生はどう変わっただろうか。彼はおそらく中国朝鮮族として暮らしていたかも知れないと話した。「私の人生は様々な面で政治的影響を受けました。若い頃に違う選択をしていたら、人生がどう変わっていただろう、そういう予測はできません。それが可能なのは小説だけです。私たちの世代の運命はまさにそういうものでした。誰かが書くとしても、あれほどドラマチックには描けないと思います。若い頃はドラマの連続でした。すべてが自分にとって一生を左右しうる出来事でした」

 日本軍部が満州を侵略した1931年、平安南道价川郡北面(ケチョングン・プクミョン)で生まれたイ教授は、わずか3歳の時に“満州流浪”に出て、小学校3年生まで中日戦争の最前線だった漢口で過ごした。家族とともに平壌(ピョンヤン)に戻った1941年には、日本の真珠湾奇襲で太平洋戦争が勃発した。1年後、両親は中学入試を控えた長男のジョンシクを(彼の)叔母の家に預け、再び満州に向かった。しかし、彼は平壌第2中学校の受験に失敗し、1944年に家族が新たに定着した満州の遼陽に向かった。1945年春、遼陽工業学校に入学した彼は、その年の夏、日本が退いた後、遼陽で中国国民党と共産党の間の内戦を目撃する。最初は共産党の八路軍が入ってきたが、共産党が戦略的に都市を放棄したことで、遼陽は国民党のものになった。彼は自叙伝で、中国共産党の八路軍治下で朝鮮義勇軍10人余りがトラックに太極旗をつけて朝鮮語で軍歌を歌う姿を見て「とても誇らしかった」と書いた。

          

イ・ジョンシク教授の自叙伝の表紙//ハンギョレ新聞社

 1946年3月、朝鮮人避難民救済に献身した父親が行方不明になり、15歳のジョンシクは突然満州の「少年家長」になった。彼は無免許医師の下で助手をしたり、綿花工場労働として母親と3人の弟を養いながら父親を待ったが、結局父親には会えず、1948年に鴨緑江を渡った。再び戻ってきた平壌では、叔母の米屋を手伝いながら家計を支えたという。この時代、抗日運動家として名高かった武亭(ムジョン)将軍の自宅に米一俵を配達した記憶もある。

 朝鮮戦争の時は間一髪で米軍の爆撃を避けて一命をとりとめたという。「人民軍の徴兵を避けて隠れていた平壌の家が爆撃を受けた瞬間、素早く縁側の下に隠れました。後で見ると、残ったのは床だけで、家の壁や扉がみんな吹き飛ばされていました」。彼は平壌に進軍し民家の捜索をしていた国軍兵士と言葉が通じず、「奇妙でもどかしい思いをした」という記憶も打ち明けた。

 中国共産軍の介入で戦況が逆転した後は、越南し、国民防衛軍士官学校を経て、中国共産軍捕虜審問通訳官として働いた。「当時、中国共産軍の審問担当米軍の大半が日系2世でした。中国共産軍の捕虜たちは、多くが揚子江以北出身で標準語の北京語を使っていましたが、中国人2世の米軍はほぼ100%広東語しかできないため、コミュニケーションが取れませんでした」。中国人が経営する綿花工場で中国語を覚えたうえ、(日本の植民地時代に)日本語を母国語として学んだ彼が通訳官に採用されたのも、そのためだった。

 1954年に米国に留学した彼は、3年間でカリフォルニア大学ロサンゼルス校で学士号と修士号を取得し、1957年には偶然ハリウッド映画『祖国への反逆!第5捕虜収容所』(1957、カール・マルデン監督・出演)に人民軍兵士役として出演したこともあった。修士号を取得するまで生き残ることが唯一の目標だった彼を学問の世界に導いたのは、師匠スカラピーノ教授だった。「カリフォルニア大学バークレー校の先生が中国語と日本語の実力を見込んで私を研究助手に採用してくれました。立派な先生(スカラピーノ教授)が私を学問に導いたんです。師匠に会う前までは、とにかく生き残るのが重要でした。韓国の歴史についてあまり知らず、関心もありませんでした」

 彼は自叙伝で、師匠が送った『朝鮮共産主義運動史』の草稿2章を12歳年下の弟子である自分が突き返したというエピソードも載せた。1980年代半ばに韓国語版も出た『朝鮮共産主義運動史』は、朝鮮半島における100年に近い共産主義運動史全体を一貫した流れでまとめた著作で、国内では北朝鮮の実態を正しく知るための必読書に挙げられる。「礼に反する行動でしたが、師匠は何も言いませんでした。師匠の文章を批判する習慣は、皮肉なことに、スカラピーノ教授の自宅で開かれたセミナーから始まりました。日本の労働運動などについて討論していましたが、ここで同僚のチャルマーズ・ジョンソン(1931-2010)は師匠に『この部分はあなたが夜明けに居眠りしながら書いたようだ』と批判したこともありました」。『朝鮮共産主義運動史』を執筆する際、師匠とどこで見解の違いがあったかについて尋ねると、彼は「覚えていない。ただ師匠と衝突するようなことはなかった」と答えた。

今年89歳…43歳までを振り返った自叙伝 
「満洲の少年家長、アイビーリーグ教授になる」 
中国で父親が行方不明、朝鮮戦争で九死に一生を得る 
「1948年、鴨緑江に渡った時が最も記憶に残る」 
 
中国共産軍捕虜の通訳官を経て米国に留学 
「師匠スカラピーノ教授との出会いで学問の道へ」

 彼が師匠と共著で出した英文論文「朝鮮共産主義運動の起源」を2編に分けて発表したのが1960年と1961年だった。韓国で共産主義や共産主義運動を学問的対象にすること自体が危険な時代だった。さらに、彼はシベリアで始まった朝鮮半島の共産主義運動が抗日独立運動の一部だったという観点を示し、北朝鮮の最高指導者が抗日武装闘争をした金日成(キム・イルソン)だと記述した。「論文が韓国で出版されたとき、警察が私と同姓同名の東国大学教授を訪ねたそうです。私があの時、査察係に連れて行かれたら、どんな目に遭ったか想像もできません」

 このような記憶のためだろうか。彼は「韓国文化は過度に教条的で独善的」だという。「韓国は歴史の中で朱子学の影響を多く受けました。朱子学の理論と態度は非常に教条的です。何に対しても、そういう考え方が身についているようです。西洋や他の国の文章を見ると、『これが絶対正しい』というより『こういうこともあり得る』という態度が前提になっています。しかし、韓国では“正しい”か“正しくない”かがとても重要です。他の国の文化を見ると、懐疑心を持って疑問も提起します。韓国の歴史と文化はそれを許さない傾向があります。一度口を滑らすと袋だたきに遭います。学問的な論争ではなく、党派の争いになり、いろいろと複雑な状況になります。ある理論が新たに出て既存の理論を批判すると、異端だと攻撃されます。しかも、そのやり方が非常に激しい。韓国では論争が命がけの論争になります。私が金日成がにせ物ではないと言った時も、大騒ぎになりました。私は、外国で(学問的な)構想を描き、それを文章にしましたが、韓国国内にはそんな余裕がありませんでした。韓国の学者たちは、(学問的論争を)自分が属するグループの問題としてとらえます。周りの同僚や先輩、後輩を意識して、他の意見を許しません」

 彼が解放政局の指導者の中で呂運亨(ヨ・ウンヒョン)に特に人間的好感を覚えるのも、このような認識の反映だろう。李承晩(イ・スンマン)と朴憲永(パク・ホニョン)は教条的だったが、呂運亨は開かれた心の持ち主で、他人の話にも耳を傾けた。イ教授は、解放政局で左右合作運動を率いた夢陽(モンヤン、呂運亨の号)と尤史・金奎植(キム・ギュシク)の評伝を書いた。「夢陽はとても人気がありました。活動分野が広かったし、人間的にも尊敬されました。人々に期待を抱かせるような性格でした」。しかし、当時の状況で夢陽が夢見た左右合作は不可能だったというのが彼の考えだ。「彼らにできる範囲がどれほど広かったかを考えると、(左右合作は)不可能なことでした。共産と反共陣営が合作することは、昔も今も難しいことです」

 若い時代に彼が数多くの“ドラマ”の中の人物になったのは、強大国の間で板挟みになった弱小国という祖国の影響が大きかった。朝鮮半島の未来について尋ねると、老学者は「楽観している」と答えた。「国際政治というのは一人でできることではないから、思う通りに進まないことも多々あります。だからこそ能力のある指導者の役割が重要です。ところが、最近の韓国人たちを見ると、かなりの自負心を持って国際政治の舞台で努力しているように見えます。荒波の中でも生き残ったことから、自負心が生まれたのかもしれません。今は比較的強い国になったではありませんか。韓国が歩んできた環境を見れば、今のように発展したは驚くべきことです。今後もうまくいくと期待しています。私は結構楽観的な人ですからね」

 近況を尋ねると、彼は「まだ元気な方だと思います。近く“老人ホーム”に引っ越す予定で、それを準備しています」と答えた。また他の著述計画があるのか聞いた。「昔から抱いてきた疑問があります。何かというと、朝鮮戦争の際、米軍の介入で金日成が非常に困難な状況になったでしょう。金日成の戦争計画を承認したスターリンもかなり当惑したと思います。そのとき金日成はスターリンに懇願したんです。早くソ連軍を送って、米帝を退けてほしいと。スターリンの立場からすると、朝鮮戦争が終わる頃に米軍が介入して苦境に陥りましたからね。しかし、金日成の支援要請にスターリンは返事をしませんでした。4~5日連絡が途切れたのです。金日成はかなり気をもんでいました。その時、スターリンの状況がどうだったのか、健康問題があったのか、それとも政治的な理由があったのか、誰も知りません。健康問題なら医療者らから報告があるはずなのに、私はまだそのような記録を見たことがありません。歴史には重要で面白い質問がたくさん残っています。『スターリンの4~5日』はなぜ重要なのか? スターリンの行動の根本条件に対する答えを見つける鍵かもしれません」

 『朝鮮共産主義運動史』は多くの称賛を受けたが、多少反共的だ、派閥争いを強調したなどの批判も受けた。改めて書くとしたらどの部分を書き直したいのかと尋ねると、彼は「そんなことは考えたことがない」と答えた。「私たちは最初にスケッチを描き出す段階でした。荒れ地から開拓したのです。今になって他の人の叙述を見て、こう書くべきだったのにと考えることはありません。私たちは資料を見た通りに書いて、資料に表れたものを解釈しました。同じ資料でも色々な角度から解釈できます。解釈は資料が豊富であってこそ様々な理論を持って書くことができます。当時はそんな段階ではありませんでした。時間的な余裕もありませんでした」
カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

ドイツ今回再びベルリン市ミッテ区の公共敷地に少女像が建てられた。

2020-10-01 | いかなる差別もあってはならない
ドイツの公共場所に初の少女像建設
「性暴力被害者の勇気を象徴」

登録:2020-09-30 06:34 修正:2020-09-30 06:58


独逸と韓国の人市民団体の連帯が実り 
ヤジディ族人権活動家「日本軍被害者だけの象徴ではない」 
日本の官房長官「撤去に向けて関係者にアプローチする」

      
 
今月28日(現地時間)、ドイツのベルリン市で行われた平和の少女像の除幕式で、ヤジディ族の人権活動家、ヌジアン・グィナイさんが少女像の手を握っている=ナム・ウンジュ通信員//ハンギョレ新聞社

 「平和の少女像(少女像)は、性暴力被害者の勇気と正義に対する象徴だ。その闘いは、今日も閉じ込められている3000人のヤジディ族女性への支援へとつながるべきだ」(ベレーナ・フランケ、「一つになった世界のための再分配財団」女性分科代表)

 「少女像が世界各地に設置されなければならない理由は、コンゴやアフガニスタン、シリア、ミャンマーで現在も行われている戦時性暴力に目を向けさせるためだ」(インジャ・エシェバフ元ラーベンスブルク市ナチス強制収容所記念館長)

  28日(現地時間)、ドイツのベルリン市で開かれた「平和の少女像」除幕式で、世界の戦時性暴力被害地域が次々と呼ばれた。少女像の建設を主導したドイツ・韓国の団体「コリア協議会」や建設に力を貸したベルリン在住の日本人女性たちの会である「ベルリン女の会」のメンバーたち、ドイツ地域の文化運動団体、スーダンの女性人権団体、咸興(ハムフン)地域の障害者たちを後援する「zusammen(共に)咸興」など、様々な女性人権運動活動家たちは除幕式で、現在世界中で行われている国家の性暴力を暴露し、解決を求めた。

 同日、最も多く呼ばれたのはイラク北部の少数民族ヤジディ族の女性たちだ。ヤジディ族人権活動家のヌジアン・グィナイさん(40)は「韓国から来た少女像はヤジディ女性たちの姿そのもの」だと述べ、拍手を受けた。ベルリン・ヤジディ女性協会を作ったグィナイさんはハンギョレのインタビューで、「2014年にイスラム国(IS)によるヤジディ族人種抹殺攻撃の後、多くの女性が性暴力の犠牲者になった。まだ3000人は行方不明の状態だ。彼らの大半は女性だ」と実態を伝えた。グィナイさんは「女性は自らを組織しなければならない。少女像は過去アジア地域で日本軍によって被害を受けた女性たちの象徴であるだけでなく、世界的な連帯で危機に瀕した他の女性たちを救わなければならないというシグナル」だと、繰り返し訴えた。

      
今月28日(現地時間)、ドイツのベルリン市で行われた平和の少女像の除幕式で、ドイツの女性団体「クラージュ」(勇気)のメンバーらが少女像の横で記念撮影をしている=ナム・ウンジュ通信員//ハンギョレ新聞社

 ドイツでは、少女像の建設・撤去を巡る戦いは常に現在進行形だ。ヴィーゼント市に建てられた「ヨーロッパ第1号」の少女像は碑文が撤去され、ラベンスブリュック記念館の小さな少女像が撤去されるなど、少女像の建設の度に日本政府の抗議が強かった。にもかかわらず、今回再びベルリン市ミッテ区の公共敷地に少女像が建てられたのは、地域団体と女性団体が連帯の意に共感したためと言える。ドイツで公共場所に少女像が建てられたのは今回が初めて。

 同日、連帯のメッセージを発表した「メディカ・モンディアル」の政治・広報担当のサラ・プレムベルクさん(40)は、なぜ韓国の少女像がドイツに建てられなければならないかという質問に対し、「日本軍慰安婦問題は、国家主義や女性の身体に対する統制、民族浄化(エスニック・クレンジング)などの形を変えて絶えず起きている国家による性暴力の一例だ。少女像は文化的記念物ではなく、世界各地で行われている戦時性被害の証拠であるため」と説明した。

 「メディカ・モンディアル」は、性暴力被害者に対する医療・心理・法支援のために1993年にドイツのケルンに設立された女性人権団体だ。サラ・プレムベルクさんはまた、「韓国だけでなく、第二次世界大戦当時、欧州でも多くの女性たちが性奴隷として連れていかれた。ドイツは戦犯国家として戦時性暴力被害者に対する責任を想起するため、少女像を建てる必要がある」という考えを明らかにした。

 ベルリンの少女像建設のために日本軍慰安婦問題対策協議会とコリア協議会で力を貸した日本人たちもいた。コリア協議会のメンバーとして活動するイシヤマ・ユミコさん(46)は「最初は日本軍慰安婦がいたという事実を認めるのが最もつらかった。ドイツでは具体的にナチスについて教え、多くの映像と戦争遺産で歴史を想起させる。日本も主導的に歴史を記憶することができたのではないかと思う。日本に住んでいる時はこう考える機会さえ持てなかったことに怒りを覚える」と話した。

 一方、日本政府は今回のベルリン少女像も撤去を求める考えを示した。加藤勝信官房長官は29日の定例記者会見で、今回の少女像についても「極めて残念だ。撤去に向けて様々な関係者にアプローチし、我が国の立場を説明する」と述べた。
ベルリン/ナム・ウンジュ通信員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

 ファン局長は「(被害者が)何人も残っていないため、(民間委託でなく)政府主導で支援して、保護を強化すべきという国会や専門家の意見を受け入れた」

2020-09-27 | いかなる差別もあってはならない
「慰安婦」被害者支援、
正義連ではなく政府が直接することに

登録:2020-09-25 20:28 修正:2020-09-26 08:52


下半期補助金2億ウォンは予定通り支給

      

5月15日午後、ソウル市麻浦区の正義記憶連帯事務室の前に出入りを統制するポリスラインが設置されている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 女性家族部が正義記憶連帯(正義連)に民間委託した日本軍「慰安婦」被害者支援事業を、国家主導に改編することにした。ただし法律検討の結果、今年下半期の2億ウォン(約1800万円)の補助金は予定通り正義連に支給する計画だ。

 女性家族部のファン・ユンジョン権益増進局長は25日「安定的で信頼性のある日本軍被害者支援事業推進のために、民間中心の事業遂行体系を来年からは政府中心に全面改編する」と明らかにした。女性家族部は、被害者に対し個別型の医療・住居・日常生活支援業務を遂行する人材として4人程度置くことを検討中だ。これとは別に、地域別専門担当公務員を指定し、定期的に被害者を訪問する個人事例管理も実施すると明らかにした。

 ファン局長は「(被害者が)何人も残っていないため、(民間委託でなく)政府主導で支援して、保護を強化すべきという国会や専門家の意見を受け入れた」として、各種事業を「直接遂行したり、地方自治体を通じて遂行方法など具体的な方案はさらに検討が必要だ」と説明した。

 正義連に対し今年下半期に交付予定だった補助金約2億600万ウォンは、予定通り支給される。これは、検察によりユン・ミヒャン議員と韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の職員が共謀して2014年から今年4月までに6250万ウォンの補助金を不正受領したと判断され裁判に付されたが、正義連の不正受領などに対する疑惑は不起訴処分になった点が考慮された。

 ファン局長は「今年の健康治療および個別型支援事業は、検察の起訴内容に含まれなかった事業」だとし、「多角的に法律を検討した結果、補助金管理法上の補助金交付決定取消要件には該当しないため、事業の取り消しはできないとの結論が出た」と話した。ファン局長は「被害者の生活の安定のためには、正義連の残余事業を遂行することが避けられない」という話も付け加えた。

 代わりに女性家族部は正義連に対し、「健康治療および個別支援事業管理タスクフォース(TF)」を構成させる方針だ。また、下半期の補助金を一度に交付せず、前月の使用内訳を検討した後に適切ならば1カ月分ずつ追加する分割交付を実施すると明らかにした。タスクフォースの公務員と被害者間に常時連絡体系を構築し、不安を減らすようにする計画でもある。裁判に付された挺対協に対しては、釈明を要請し、補助金交付の取消方案を検討している。
チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

外務省出身の東郷和彦元オランダ大使らも、日本企業の自発的な参加によって基金を作り、中国の労働者たちにしたように謝罪の意を表明すること・・・

2020-08-07 | いかなる差別もあってはならない
戦犯企業の資産の現金化めぐる“さらなる衝突”迫る…
日本でも「包括的解決案を」

登録:2020-08-06 08:05 修正:2020-08-06 10:25


複雑に絡まった強制動員問題、いかに解決策を模索すべきか

      

今月、広島市中区にある平和記念公園内の「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」前で開かれた慰霊祭で参加者らが献花している。1945年8月6日、広島に投下された原爆で朝鮮人2万人以上が命を失ったものと推定される=広島/AP・聯合ニュース

 強制動員に関連した韓国最高裁(大法院)判決の履行をめぐる韓日間の対立が、妥協の糸口を見出せず、長期化している。韓国政府のマジノ線である「最高裁判決の履行」と日本政府の「65年体制の維持」という二つの目標を同時に満足させる“妥協案”を導き出すことが極めて難しいからだ。

 2018年10月に最高裁の判決が出てから、これまで二度にわたり、この問題を解決するための“具体的な解決策”が公開された。第一の案は2019年6月19日に韓国政府が発表したものだ。外交部は当時、「訴訟当事者である日本企業を含む韓日両国企業が自発的に拠出して財源を作り、確定判決を受けた被害者に慰謝料に該当する額を支給する」という妥協案を提示した。

 同案を詳しく読んでみると、韓日の対立を円満に収拾するため、韓国政府が非常に“前向きな案”を示したことがわかる。外交部は韓日請求権問題は1965年の協定で「完全かつ最終的に解決された」という日本政府の立場に配慮し、両国企業が「自発的拠出金」で財源を作るべきだと明示した。拠出金を出すのは日本企業の“自発的”判断であることを認め、裁判所の判決の核心である“強制性”をある程度緩和したのだ。最高裁判決の履行基準を「日本の被告企業が支払ったお金が原告に渡ればいい」というように柔軟に解釈し、妥協を図ったことが分かる。

 しかし、日本は“自発性”を掲げて事実上日本企業の参加を“強制”するこの妥協案を拒否した。さらに、昨年7月1日、フッ化水素など3品目の輸出規制を強化する報復を加えた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、「日本政府は何の外交的協議や努力もなく、突然一方的な措置を取った」として、深い憤りを示した。韓国政府はその後も、政府の参加まで保障するより典型的な案を掲げ、日本の態度変化を求めたが、成果を得ていないという。

 第二の案は記憶・和解・未来財団に基金を設置し、韓日両国の企業と個人が寄付金で財源を造成するという昨年12月の「ムン・ヒサン案」だ。この法案の柱は、財団が「国内外から寄付金を募集する際、(日本企業の参加を)強要しない」(第11条)というものだが、この案は、100%近く日本企業の自発的な参加を前提にしており、日本から好意的な反応を引き出せなかった。

 これに対し、今度は韓国で「被告企業の参加が保障されなければ最高裁の判決が履行されたとは言えない」という懸念が高まった。原告弁護団と被害者訴訟支援団も昨年12月18日の声明で、「加害者の責任を免除し、被害者に和解を強要するのは、韓国の立法府がやるべきことではない」と反対した。結局、同案は20代国会の会期終了とともに廃棄されてしまった。当時、日本のマスコミは「日本でも(肯定的に)評価する声があった」とし、残念がる声があがった。同法案と同様の案が再提出されたが、立法の可能性は今のところ高くない。

 対立が長引くにつれ、昨年7月のような“衝突”が再び表面化したことを受け、日本でも妥協を求める声が高まっている。日本経済新聞は5日付の社説で、日本企業の資産の現金化で韓日間に第2次経済戦争が起きれば「日本も無傷ではいられない…日本側も対立をあおる言動は自制し、ともに包括的な解決を探ってほしい」と勧めた。外務省出身の東郷和彦元オランダ大使らも、日本企業の自発的な参加によって基金を作り、中国の労働者たちにしたように謝罪の意を表明することで妥協案を作ることはできないかという意見を示している。
キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

事実に基づかぬ差別的な言説を放置せず、適切に対応するのが知事の務めではないか。自らも歴史に誠実に向き合い、都民の代表として追悼文を出すべきだ。

2020-07-25 | いかなる差別もあってはならない
 今日の朝日新聞が9.1追悼式典関係で社説「虐殺の史実:都は改ざんに手貸すな」を載せました。私たち日朝協会の運動を全国に広める契機にもなると思います。朝日新聞は、日朝協会に取材に来られました。  

朝日新聞社説(2020年7月25日


虐殺の史実:都は改ざんに手貸すな



 こうしたおかしな行いが自由な社会を窒息させ、都政に対する不信を膨らませると、小池百合子知事は気づくべきだ。

 関東大震災後の混乱の中で虐殺された朝鮮人や中国人の追悼式典を開いてきた団体が、会場の公園を管理する都から「誓約書」の提出を求められている。
 内容は、▽参加者に管理の支障となるような行為をさせない▽順守されなければ都の式典中止指示に従う▽次年度以降、公園利用が許可されなくなっても異存はない、というものだ。

 なぜ問題か。虐殺の事実を否定する団体が3年前から式典と同じ時間帯に「犠牲者慰霊祭」と称して集まり、大音量で「虐殺はでっち上げだ」などと演説を行っているためだ。昨年はこれに抗議する人たちとの間で衝突もあった。
 同様のことが起きれば来年から式典を開けなくなる恐れがある。否定派の団体の関係者はブログで「目標は両方の慰霊祭が許可されないこと」だと公言している。その思惑に手を貸し、歴史の改ざんにつながる「誓約書」になりかねない。

 そもそも地方自治法は「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と定め、安易な規制は許されないとする最高裁の判例もある。都の対応は集会や表現の自由への理解を欠き、いきすぎと言わざるを得ない。
 知事の姿勢が影響していることはないだろうか。小池氏は歴代知事が式典宛てに出してきた追悼文をとりやめ、虐殺について「様々な見方がある」などとあいまいな発言を繰り返す。

 だが「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を投げ込んだ」といった虚偽の話が広がり、市民や軍、警察によって各地で虐殺が行われたのは厳然たる事実だ。多くの公的記録や証言があり、内閣府中央防災会議の報告書にも明記されている。にもかかわらず、否定派の団体は差別的表現を使いながら、暴動やテロがあったと言い募る。

 小池氏は先の知事選で、ヘイトスピーチ対策を盛り込んだ都条例の制定を1期目の成果に挙げた。そうであるなら、事実に基づかぬ差別的な言説を放置せず、適切に対応するのが知事の務めではないか。自らも歴史に誠実に向き合い、都民の代表として追悼文を出すべきだ。

 災害時のデマは過去の問題ではない。東日本大震災では外国人窃盗団が暗躍しているとの流言が広がり、現下のコロナ禍でも外国人の排斥や感染者へのいわれない攻撃が起きている。
 社会不安が広がるとどんなことが起き、そうさせないために日頃からどうすべきか。97年前の惨劇から学ぶことは多い。

日本の不動産関連の大手企業であるフジ住宅が、謝罪や再発防止策を出すどころか・・・

2020-07-13 | いかなる差別もあってはならない
日本の住宅会社
「韓国人は嘘つき民族、在日は死ね」度が過ぎた嫌韓

登録:2020-07-12 21:13 修正:2020-07-13 07:00


フジ住宅が配布した嫌韓文書 
「野生動物」表現、雑誌収録も 
「慰安婦、個室のある2階建て家屋で 
生活が贅沢だったといえるほど」など 
歴史わい曲内容が多数 
 
2013年から2年余り、段ボール3箱分 
全職員に配布し感想文を要求 
韓国人3世職員が訴訟 

大阪地裁、提訴から5年後に 
「許容限度を超えている」110万円支払を命じる

      

フジ住宅が配布した韓国人嫌韓文書を見て、職員が書いた感想文の一部。「(韓国は)嘘が蔓延した民族性を持っていると思いました」などの内容が記されている。「ヘイトハラスメント裁判を支える会」ホームページより//ハンギョレ新聞社

 日本の不動産関連の大手企業であるフジ住宅が、長期にわたり「韓国人は嘘が蔓延した民族」「在日は死ね」のような“嫌韓”内容が書かれた文書を社内に配布し、裁判所から賠償を命ずる判決を受けた。だが、会社側は被害者に対する謝罪や再発防止策を出すどころか「思想の自由に大きな制約が加えられる」という論理を展開して控訴すると明らかにし、物議をかもしている。

 大阪地方裁判所は2日、嫌韓文書を配布し続けたフジ住宅と今井光郎会長に対して「社会的に許容できる限度を超えた」として110万円を賠償するよう命じた。

 今回の判決は、フジ住宅の職員である在日韓国人3世の女性が訴訟を提起してから5年たって下された。この女性は、小学校高学年の時から日本名を書かずに韓国名を使っていて、日本人男性と結婚した後にも名前と国籍は変えなかった。匿名を希望したこの女性は、勝訴後に朝日新聞とのインタビューで「『在日』であると堂々と言える日本になってほしい」として会社を辞めずに闘ったと言い、「子には憎悪や偏見に屈し、沈黙する未来を残したくない」と明らかにした。

 フジ住宅は、売上1104億4400万円に達する大規模な会社で、950人余りの職員が仕事をしている。この会社は、2013年2月から2015年9月まで2年半以上にわたり韓国人嫌悪発言を書いた文書を全職員に配布し、職員に感想文を提出させてきており、今回の訴訟を提起された。今回の裁判を助けた日本の「ヘイトハラスメント(特定集団への差別・いじめ)裁判を支える会」によれば、こうした文書は全部で段ボール3箱分にもなるという。これらの文書には「在日は死ね」という極端な表現から、韓国人を「嘘つき」とか「野生動物」などと侮辱する雑誌やインターネット記事などが含まれている。歴史を歪曲する内容も多数含まれていた。「慰安婦の場合、個室がある大規模な2階建て家屋で宿泊し生活した」として「生活が贅沢だとも言えるほどだった」という内容が代表的だ。会社は、文書を読んだ後に「韓国は嘘をついても責任を負わない、嘘が蔓延した民族性を持っている」と職員が書いて出した感想文を集めて再び配布もした。またこの会社は、植民支配とアジア侵略戦争を美化した中学校教科書を支持するアンケートに回答するよう職員に強要したりもしたと分かった。

 被害者を支援した弁護団は、最近声明を出して「フジ住宅株式会社に対し、本勧告を真摯に受け止め、従業員の職場における人格権的自律を脅かす行為を中止するよう強く求める」と明らかにした。

 だが、フジ住宅側は「7月2日の判決結果についての弊社の見解」という資料を出し「もしこの判決を受け容れれば、弊社は今後国際情勢等に関する書籍を、一切、社員に紹介することすら出来なくなってしまう。少なくとも何を配ってよく、何を配ってはいけないのかを自分で決める事ができなくなる」」とし、控訴する意向を明らかにした。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「PNR」の株式8万1075株(額面価格5000ウォン基準、4億537万ウォン)だ。

2020-06-06 | いかなる差別もあってはならない
日本企業の韓国内資産の強制売却急ピッチで進む…
韓日、再激突の危機

登録:2020-06-05 06:32 修正:2020-06-05 14:24


日帝強制動員被害者への賠償判決 
日本、書類受付を拒否して履行せず 
裁判所、伝達されたと見なし、現金化措置に突入

        

日帝強制動員被害者のキム・ヨンファさん(左から2番目)とキム・ハンスさん(左から3番目)が昨年4月、ソウル瑞草区の裁判所前交差点で日帝強制動員事件の追加訴訟提起記者会見を行ってから、訴状を提出するために裁判所に向かっている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が日本の輸出規制措置に対し、世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを再開したのに続き、裁判所が強制動員被害者の賠償判決を履行しない日本企業の国内資産に対する強制売却の手続きを公式化したことで、韓日の対立が再び激化する見通しだ。日本政府は、現金化措置が行われれば、対抗措置を取ると反発している。

 大邱地裁浦項(ポハン)支部は今月1日、新日鉄住金(現日本製鉄)に対し、保管されている差し押さえ命令書類などを取りに来るよう、公示送達の決定を下した。日本が差し押さえ命令書類の受け取りを拒否し、1年5カ月以上時間を引き延ばしてきたため、裁判所が書類が渡されたものと見なす公示送達の決定を下したのだ。裁判所の公示送達は8月4日午前0時を期して効力が発生する。

        

 強制売却の手続きに入る現金化の対象は日本製鉄が2008年1月、ポスコと提携して設立した製鉄副産物リサイクル会社「PNR」の株式8万1075株(額面価格5000ウォン基準、4億537万ウォン)だ。これに先立ち、昨年1月、裁判所は新日鉄住金が日帝強制動員の被害者らに対する賠償判決を履行しなかったことを受け、これらの資産に対する差し押さえ申請を承認した。
日本強制動員被害者問題関連日誌//ハンギョレ新聞社

 日本政府は、実際に現金化措置が行われた場合は、対抗措置も辞さない方針を示唆した。菅義偉官房長官は4日、「韓国の司法手続きは明白な国際法違反」だとし、「日本企業の正当な経済活動の保護の観点から、あらゆる選択肢を視野に入れて引き続き毅然と対応していきたい」と述べた。日本製鉄側も「(強制動員の)問題は国家間で正式に合意された日韓請求権協定によって『完全かつ最終的に解決された』と理解している」とし、日本政府の対応と歩調を合わせる意向を明らかにした。

 問題は韓日関係が冷え込んだ中、強制動員問題がさらなる経済・安保対立に広がりかねないという点にある。聖公会大学のヤン・ギホ教授(日本学)は「公示送達の時点と日本の輸出規制に対する世界貿易機関(WTO)への提訴再開がほぼ同時に行われている」とし、「日本は(現金化措置が)国際法違反だと見ており、引き下がるわけにはいかないないだろうし、日本が報復措置を取れば、我々も対抗措置が取らざるを得ず、このままでは衝突が再燃しかねない」と述べた。

 強制動員の被害者側も、現金化措置がもたらす影響を懸念し、法的手続きを進めると同時に、今年初めに問題解決に向けた協議体の設置を要求した。韓国と日本の弁護士や学界、経済界、政界、被害者の代理人、支援団体など、両国が様々な角度から問題解決の糸口を見出そうという意図だった。しかし、彼らの活動も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大などであまり進んでいない。

 韓国政府は最高裁(大法院)の判決を尊重し、“被害者中心主義”の観点からこの問題を解決するとしているが、具体的な解決策作りは容易ではない。外交部のキム・インチョル報道官は同日、「司法判断を尊重し、被害者の権利が実質的に実現されると共に、両国関係が総合的に考慮される合理的解決策を議論していくという、開かれた立場で臨んでいる」とし、「日本とは緊密に協議するために最大限努力している」と述べた。世宗研究所のチン・チャンス首席研究委員は「現金化が実際に実行されるまでまだ時間がある」とし、「直ちに問題を解決しようとするよりは、最悪の状況を防ぐという危機意識を持って、韓日政府が対話に取り組まなければならない」と述べた。
キム・ソヨン、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

留学生のみ成績要件が設けられ、朝鮮大学校が給付の対象外とされている問題で29日、当事者の学生らが都内で会見し、「差別をやめ、等しく学びの継続を支えてほしい」と訴えた。

2020-05-31 | いかなる差別もあってはならない
日朝協会東京都連A氏より、投稿がありましたので掲載します。

成績要件設定は「差別」
都内の留学生ら 支援策巡り、撤回を訴え

 新型コロナウイルスの影響で困窮する学生に現金を給付する国の支援策を巡り、留学生のみ成績要件が設けられ、朝鮮大学校が給付の対象外とされている問題で29日、当事者の学生らが都内で会見し、「差別をやめ、等しく学びの継続を支えてほしい」と訴えた。会見に先立ち人権擁護団体は文部科学省と交渉し、要件の撤回と朝鮮大学校を含めて対象を拡大するよう求めた。(石橋学)
 ネパール出身で上智大学大学院生のダリマ・タマンさん(23)は「留学生だけ成績優秀でないといけないのは差別で、おかしい。生活に余裕がない学生ほど働かなければならず、いい成績が取れない状況を分かってほしい」。
 バイト先のレストランは営業自粛し、別の働き口を探して学費をやりくりする日々に心身の疲労は増しているという。
 朝鮮大学校2年の男子学生(19)は高校無償化制度に続く排除に、「学びの否定、存在の否定が繰り返された。共通の敵は民族や文化ではなく、ウイルスであるはずだ」と声を震わせた。〔神奈川新聞・2020年5月30日付〕

[国連要請にも逆行」
朝鮮学校対象外 師岡弁護士が非難

 「困窮度合いではなく成績を要件とするのはおかしい。対象を(学生の1割強の)43に限ったためパイの奪い合いになり、日本人学生と留学生の間に分断を生む」。会見を主催したNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鈴木江里子副代表理事はそう断じ、すべての困窮学生を救済するよう求めた。
 とりわけ朝鮮大学校は学校自体が対象外とされ、師岡康子弁護士は「国際人権諸条約に違反する公的な差別。コロナを被害を受けながら、差別よってとりこぼされているマイノリティーの救済を求めている要請にも逆行している」と非難した。
 「これ以上、新たな差別をつくらせてはならない」。人権団体「外国人人権法連絡会」共同代表の田中宏・一ツ橋大名誉教授はそう力を込めた。日本が朝鮮半島を植民地支配した歴史を踏まえ、「朝鮮人の民族教育はの保障は日本の責務だが、それを果たさず外国人の教育を保障する政策がないという問題が背景にある」。
 この日は約5万6千筆のインターネット署名も提出され、田中名誉教授は「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う社会であってほしい」と世論の高まりを訴えた。(石橋学)     〔神奈川新聞・2020年5月30日付〕
                  
                  記事と写真は無関係です。
                  

自由法曹団東京支部から日朝協会に送られてきました。

2020-05-30 | いかなる差別もあってはならない
9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典の開催につき不当な誓約書の提出を条件とすることを撤回し、占有許可を求める声明

 自由法曹団東京支部は、自由法曹団(1921年創立、憲法と人権、平和と民主主義の問題にたずさわる弁護士が約2000名以上加入し、全都道府県で活動している団体)の東京支部として、都内の約460名の弁護士が結集している団体で基本的人権の擁護、平和・民主主義の発展を目指し、諸活動に取り組んでいます。
 9.1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会が毎年9月1日に開催している関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典につき占有許可の条件として提示した誓約書の提出要求を撤回するよう求めます。

趣 旨
 東京都は9.1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典の開催場所である東京都立横網町公園の占有許可申請に対して実行委員会に提示している占有許可の条件(「公園管理上支障となる行為は行わない」「(都の大法要と重なる時間は)拡声音量装置は占有しない」「(集会で使う拡声器は)当該参加者に聞こえるための必要最小限の音量とする」、「遵守されないことにより公園管理者が集会の中止等、公園管理上の必要な措置を指示した場合は、その指示に従います。また、公園管理者の指示に従わなかったことにより、次年度以降、公園地の占用が許可されない場合があることに異存ありません」との内容の不当な誓約書の提出を占有許可の条件とすることを撤回し、同委員会へ直ちに占有許可してください。

理 由
 本追悼式典は、関東大震災時に殺害された朝鮮人犠牲者を追悼するものであり、虐殺犠牲者を悼み、二度と繰り返すまいと誓うものです。朝鮮人が武装蜂起や放火をするといったデマで、自警団や軍隊、警察による殺傷事件が起き、中央防災会議の報告書は、朝鮮人らの虐殺犠牲者数を、震災死者数(約十万五千人)の「1~数%」に当たると指摘しています。こうした悲劇を踏まえ、横網町公園に1973年、朝鮮人犠牲者追悼碑が建立され、40年以上追悼式が行われてきました。式典は毎年厳粛に静かに執り行われており、管理上の支障や混乱が生じたことは全くありません。
 今回の都による異例の条件付与は、朝鮮人虐殺を否定する団体が2017年から追悼式と同時間帯に「慰霊祭」を開くようになったことがその要因であると考えられます。都は誓約書の提出を要求する理由として、2019年追悼式典の会場付近でトラブルが生じたことを挙げていますが、「不逞朝鮮人」などの言葉で犠牲者を貶め、静謐であるべき追悼の場を妨害する者の言動は、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例に定める不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)に該当することが明らかであり、このような団体と本追悼式典との双方に混乱の原因があるかのようにいう行政の対応は、本追悼式典を妨害する団体を不当に利するものというほかありません。
 小池百合子都知事は、歴代の都知事が行ってきた式典への追悼文の送付を取りやめ、また、追悼碑にある犠牲者数などについてはさまざまな意見があると述べて明白な虐殺についても諸説あるかのような極めて消極的な姿勢を示しています。関東大震災の朝鮮人虐殺が事実であることは明白であるにもかかわらず、「虐殺否定論」に利する態度をとることは、悲劇を繰り返すまいと積み重ねてきた東京の追悼の歴史が、壊されてしまいかねないものと憂慮します。
 自由法曹団東京支部は、東京都に対し、2020年9月1日関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典開催に関する主催団体の占有許可申請を直ちに受理すること、主催団体に提示した誓約書要請を撤回し昨年までと同様の占有許可を速やかに行うことを強く求めます。2020年5月28日
自由法曹団東京支部
支部長 黒岩哲彦


      

血液の抗凝固剤および膵炎治療薬の成分である『ナファモスタットメシル酸塩』(以下ナファモスタット)が最も強力な抗ウイルス効能を示した」と発表した。

2020-05-15 | いかなる差別もあってはならない
「ナファモスタット、レムデシビルより新型コロナ治療効果600倍」
登録:2020-05-15 06:41 修正:2020-05-15 07:25


韓国パスツール研究所、ヒト肺細胞実験で効能を確認…臨床試験に入る

        

韓国パスツール研究所の研究チームは今月14日、血液抗凝固剤及び膵炎治療薬の成分である「ナファモスタットメシル酸塩」が、新型コロナウイルス感染症の治療薬として有力視されるレムデシビルより効能が600倍も強いことを発見したと発表した=ゲッティイメージバンク提供//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルスを抑制する治療薬として有力視されているレムデシビルよりはるかに優れた効果のある薬物を、韓国パスツール研究所の研究チームが発見した。同研究所は10カ所の病院と共に研究者臨床試験に着手した。韓国パスツール研究所のキム・スンテク人獣共通ウイルス研究チーム長は14日、「新型コロナウイルスの抑制効果のある24の薬物でヒト肺細胞培養実験を行った結果、血液の抗凝固剤および膵炎治療薬の成分である『ナファモスタットメシル酸塩』(以下ナファモスタット)が最も強力な抗ウイルス効能を示した」と発表した。同研究チームは12日(現地時間)、研究結果を論文事前掲載サイト「バイオアーカイブ」(bioRxiv)に報告し、特許を出願する一方、関連分野の国際ジャーナルに論文掲載の承認を申請した。

 同研究チームは、新型コロナウイルスが細胞に進入する際に使うスパイクタンパク質を活性化する過程で、「TMPRSS2」というタンパク質分解酵素が作用するという最新のドイツの研究結果を参考にし、同タンパク質を抑制する薬物を対象に抗ウイルス効能を研究してきた。ウイルスは表面にあるスパイクタンパク質を利用して人間の細胞の中に入った後、無限複製を繰り返し、細胞に感染を広げる。細胞内でウイルスのgRNA(ガイドRNA)は、自らを断片化するタンパク質分解酵素を作り、16個に分割される。この中には、複製機能を担うRNAポリメラーゼも含まれている。タンパク質分解酵素を抑制するか、RNAポリメラーゼを抑制すればウイルスの無限増殖を防ぐことができる。現在臨床試験中のレムデシビルやアビガンはRNAポリメラーゼを抑制する効能があり、カレトラ(ロピナビルとリトナビル配合剤)はタンパク質分解酵素を抑制する効能がある。

 韓国パスツール研究チームは今年2月から新型コロナウイルス治療薬の候補物質を発掘する「薬物再創出」研究を通じて24の薬物を発掘し、「ベロ(Vero)細胞」培養実験を行ってきた。ベロ細胞とはアフリカミドリザルの腎臓上皮細胞に由来するもので、培養実験に多く使われる。キム・スンテクチーム長は「新型コロナウイルスは人間の肺に侵入して病気を引き起こす。新型コロナウイルスがベロ細胞に感染する過程と肺細胞に感染する過程が異なる点に着目し、人間の肺細胞培養実験も行った」と説明した。肺細胞としては肺がん細胞に由来する「Calu-3細胞」を使用した。

 実験の結果、ベロ細胞では新型コロナウイルス抑制効果が大きくなかったナファモスタットが、Calu-3肺細胞では最も強力な効能を示した。どの程度の濃度の薬物を投与したときにウイルス複製を50%まで減らせるかを薬効として示す「IC50」が、ナファモスタットの場合、ベロ細胞では13.88マイクロモーラー(uM)だったが、肺細胞では0.0022マイクロモーラーだった。これはレムデシビルの肺細胞IC501.3マイクロモーラーより600倍も小さいもので、その分ナファモスタットの効能が優れていることを意味する。

 ナファモスタットは、韓国と日本ですでに血液の抗凝固剤や膵炎治療薬として承認されており、動物実験と臨床試験第1相の過程なく、直ちに新型コロナウイルス治療薬の臨床試験第2相に入ることができる。韓国パスツール研究所は、今回の研究結果を基に、ペ・インギュ慶尚大学病院感染内科教授を総括責任者として、10カ所の病院が参加する研究者臨床試験を食品医薬品安全庁の承認を受けて進めている。臨床試験を通じて韓国食薬庁の承認を受ければ、国内ではナファモスタットを新型コロナウイルスの治療薬として使うことができる。

 米国立衛生研究所(NIH)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療ガイドライン審査団は現在、レムデシビルに対してのみ酸素療法が必要な重症入院患者に限って使用するよう勧告しているだけで、クロロキンやカレトラなど残りの薬物に対しては使用の推薦を留保している。
イ・グニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「COVID-19で売り上げが落ち、それによって解雇されている社会的弱者層は、食べていけない状態が発生している」

2020-03-04 | いかなる差別もあってはならない
生計立てられなくなる…「しばらく立ち留まる」ことができない人々
登録:2020-03-04 06:56 修正:2020-03-04 08:34


「新型コロナショック」の被害も二極化 
矢継ぎ早に福祉措置取るIT、大企業のように 
在宅勤務・有給休暇は考えられない 
顔色をうかがいながら出勤する中小企業労働者 
その日暮らしの自営業者やフリーランサー 
当面の生計立てるためにそれぞれ生きていく道を見つけるしかない 


           

首都防衛司令部の将兵たちが今月3日午後、ソウル江南区開浦洞の九龍村で防疫作業を行っている。ソウル市は首防司の協力を得て管内の緊急防疫に兵力と装備を投入したが、毎日自治区別に申請を受け付け、大衆が集まる場所を中心に消毒する計画だと発表した=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 先月23日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機警報が深刻レベルに引き上げられてから3日で10日目を迎え、事態が長期化する中、感染症の危機がもたらした社会経済的被害の大きさにも格差が生まれている。政界や学界などは、日常から離れて社会的な距離を置くため、「しばらく立ち留まる」ことを薦めているが、勤務する会社や周りの助けを受けて在宅勤務や有給休暇、家族介護などが可能な人々とそうでない人々にとっては危機が差別的に迫っているのだ。

 昨年11月基準で従業員数約3600人のゲーム会社「NCソフト」は、最近、破格の措置を取った。COVID-19に対応するため、先月27日から6日まで、全役員と社員が有給休暇に入ったのだ。有給休暇以降は9日から部署別に半分ずつ分けて交代で在宅勤務(テレワーク)を行うことにした。NCソフトの関係者は「社員にできれば旅行などを控え、家で家族にサービスする時間を持ってほしいと呼びかけた」とし、「10日近く有給休暇を与えた会社はNCソフトが唯一であるだけに、役員や社員たちも粛々と過ごす雰囲気だ」と話した。

 ネイバーも先月26日から全職員テレワークを施行しており、カカオとKTなど、IT業界の大手企業も素早くテレワークを実施している。ネイバーの関係者は「ノートパソコンなどに業務プログラムを設置できるようにし、機器を追加で使いたい社員がいる場合は予算の範囲内で追加支援している」とし、「テレワークに支障がないよう支援している」と話した。

 SKイノベーションをはじめとするSKの系列企業6社も、先月25日からの必要不可欠なスタッフを除き、テレワークを行うようにしている。大林建設や韓火建設など、多数の建設会社もテレワークを実施しており、サムスン電子やLG電子は、妊婦など高リスク群の役員や社員に限りテレワークを認めている。京畿道板橋(パンギョ)のあるIT企業社員は「地下鉄通勤をしてきたが、テレワークで自宅の外に出ることもほとんどなく、感染源との接触は少なくなった」と話した。SKテレコムのKマネージャーは「COVID-19でテレワークが活性化し、技術的にテレワークに問題がないことが立証されたようだ」と話した。

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テレワークする大企業と顔色うかがいながら無給休暇取る中小企業
 

 中小企業は雰囲気が一変している。感染危機を避けるという理由で、むしろ労働条件が悪化した企業も続出している。自動車部品製造関連の中小企業に勤めるKさん(31)は最近、普段より1時間30分早い朝7時30分までに出勤する。サラリーマンが最も多く集まる公共交通機関の通勤時間を避けるべきという会社の方針によるものだ。退勤時間も1時間30分繰り上げられたが、仕事をしているうちに普段と同じ時間になる場合も多い。会社側は有症者に限り、自宅隔離を実施している。Kさんは「感染した場合の不利益を恐れ、絶対にCOVID-19にかかってはいけないと思っている人が多い」と話した。

 中小企業の労働者らは、有給休職や在宅勤務などは考えられないのが現状だ。医療関係の中小企業で働くOさん(25)は「イントラネットなど、社内ネットワークが不十分であるため、外部では業務を行うのが難しく、テレワークができる人たちがうらやましい限り」だと語った。IT関連中小企業の社員Kさん(30)も「体調が悪い場合は休みを取るように言われれているが、社員が少ない中、1人が抜けるとその空白が大きく、顔色をうかがわざるを得ない構造」だと話した。仁川空港で航空会社に地上業務を委託されている中小企業に勤めるYさん(32)も「今月初め、会社から『コスト削減のために無給休暇を実施する』というメールが届いた。年次休暇も一緒に使うように促され、給料が先月より半分以下に減る予定だ」とし、「大手航空会社は休暇を使っても一部の給与を支給するというが、私たちは無給休暇を取りながらもいつ会社がなくなるか分からないと心配しなければならない状況だ」と語った。

 大企業はマスクの品薄事態に対処するいわゆる「マスク福祉」にも積極的だ。ネイバーは最近、社内に「大邱(テグ)・慶尚北道に家族がいる場合は、会社が代わりに送るから申し込んでほしい」という通知を出した。COVID-19の感染者が集中的に発生した大邱・慶尚北道地域出身の社員を対象にした福祉の範囲を家族にまで拡大したのだ。ウリ銀行の関係者は「本店レベルで大量に確保するつもりだったが、それがうまく行かず、営業店に予算を割り当てて個別的に買うようにしている」と話した。国民銀行は営業店の社員1人当たり30枚分のマスクを確保し、少しずつ配っている。新韓銀行も「一日一人一枚のマスク」を原則にし、営業店に支援していると発表した。

 教育部が2日、全国小中高校の始業式をさらに2週間延長したことを受け、大企業は育児支援が必要な労働者について、家族の世話をするための休暇や年次休暇などの使用を積極的に薦めている。特に、妊婦の社員や学校(幼稚園)の始業式(開園)の延期で子どもの面倒を見なければならない社員などに対する配慮を優先している。

 しかし、学校現場ではその負担が一般の教師ではなく、学童の教師に転嫁されている。大邱新岩小学校で非正規職の学童教師として働いているムン・スジョンさん(46)は「一般の教師たちは在宅勤務をしているのに、緊急な状況だからといって私たちには出勤しろと言う」とし、「学校は教師を保護するために在宅勤務を実施しているのに、誰にも守ってもらえない思うともどかしい。でも、非正規労働者だから何も言えない」と訴えた。

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限界に達した零細事業主とフリーランサー

 特に、日当で生計を立てているフリーランサーの危機感は限界に達した状態だ。ソウルのある区民体育センターでピラティス講師として4年近く働いてきたCさん(33)には最近、出勤を取りやめてほしいという連絡が届いた。センター側は区役所からの指示だと伝えたという。一つのレッスン当たり日当を受け取るCさんはセンターに抗議してみたが、「ここに入りたがる講師は多い。訴えを起こしたければ好きにしろ」と言われた。Cさんは「出ていくお金は決まっているのに、入ってくるお金がないため、積金を解約した」とし、「いつまで待たなければならないかも知れず、ただ茫然としているだけだ。少しでも支援してほしい」と話した。ソウル恩平区の銭湯で保証金6千万ウォン(約540万円)に家賃200万ウォン(約18万円)で垢すり室を借りて、10年間働いてきたKさん(58)はCOVID-19の感染拡大以降、お客さんが半分以下に大幅に減り、最近従業員にしばらく仕事を休むように通知した。「その日、二人で焼酎を飲みました。こんな風に体を使う仕事をしているのに、1カ月に少なくとも300万ウォン(約27万円)は稼けないとおかしいでしょう?なのに銭湯にお客さんが来ません」

 実際、地域の労働福祉センターなどにも関連の相談が増えている。これらの相談は、在宅勤務や賃金の“一部”を支援する雇用維持支援金などに関する内容よりは、零細事業主たちの無給休職と解雇関連の相談や休業手当などについてよく知らない、いわゆる社会的弱者層からの質問が多い。ソウル冠岳区のイム・ソンギュ労働福祉センター長は「最近、特に長期勤務が保障されていない職場でその日暮らしをする社会的弱者層の電話が増えている。毎日1件や2件はある」とし、「COVID-19で売り上げが落ち、それによって解雇されている社会的弱者層は、食べていけない状態が発生している」と話した。

 「私が作っていく福祉国家」のオ・ゴンホ共同運営委員長は「もともと福利厚生を備えた正社員中心の事業場と周辺部事業場の格差が存在するが、COVID-19のように災難状況が来たときは、普段認識できなかった格差がさらに大きく現れる」とし、「正社員と非正社員の格差がある事業場では、非正社員にも正社員に準じた支援が行われなければならず、零細自営業者らには国家レベルの支援ネットワークが必要だ。災難状況での休業給与や営業の断絶によって発生する損失を支援する制度と財源が必要だ」と指摘した。
ペ・ジヒョン、チョン・グァンジュン、チェ・ミンヨン記者、キム・ジェソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

新型コロナウィルスの感染による肺炎の流行期間中、多くの企業は再開の日取りを遅らせており、「所属する企業の再開の日時は未確定」という人が29%に上った。

2020-02-07 | いかなる差別もあってはならない
「仕事再開待ち」84% デリバリー・運転手は半数が再開
人民網日本語版 2020年02月06日14:50


生活サービスサイト・58同城が5日に発表した調査研究報告書によると、全国の働く人々のうち「現時点で仕事が再開していない」状態にある人は84%に上り、再開率が高い職種は食品デリバリーの配達員、運転手、ハウスキーパーなどで、いずれも待機率が50%にとどまるという。中国新聞網が伝えた。

     

データによると、再開を待つ人の中には、「春節(旧正月、今年は1月25日)の連休前に受け取った通知よりも休みが延びた」という人が30%おり、「再開の日時は未定」は29%、「連休前の通知通りに再開する予定」は22%、「会社は再開したが自分が会社に行けていない」が4%だった。また仕事を再開した16%の人のうち、「連休前の通知通りに再開した」は10%、「連休前の通知よりも再開が早まった」は5%だった。

同報告によると、新型コロナウィルスの感染による肺炎の流行期間中、多くの企業は再開の日取りを遅らせており、「所属する企業の再開の日時は未確定」という人が29%に上った。また「連休前の通知よりも再開を早めた」企業は5%あり、こうした企業は医療機器、防疫用物資製造、物流、小売などの産業が多く、新型コロナウィルス肺炎対策および物資の供給保障・価格安定に向けた正常な運営を行うために始業時間も早めている。

またデータからわかるのは、目下、再開率が高い職種は食品デリバリーの配達員、運転手、ハウスキーパーなどで、いずれも待機率が50%だった。つまりこの3職種は半数がすでに仕事を再開したということだ。

人が大勢いる空間で食事することを避けようと、多くの消費者が食品デリバリーを注文して家で食べることを選択したため、食品デリバリー配達員の再開率が高くなった。路線バスや地下鉄には乗りたくないが、外に出なければならない人は、オンライン配車のタクシーで出かけることが多いため、また医療物資や宅配便の荷物は長距離輸送の必要があるため、運転手の再開率も高くなった。

販売員、警備員、宅配便配達員も待機率が低く、順に54%、63%、67%となっている。

同報告は、「新型コロナウィルス肺炎対策が行われている間も、スーパーや薬局などの小売店舗は通常通り営業するため、多く販売員たちが現場に投入されることになった。大衆による感染症対策に向けて、多くの団地が『出入りの記録』、『体温測定』、『出口の封鎖』などを始めたため、より多くの警備員が必要になった。これと同時に、消費者が外に出て買い物する回数を減らし、ECの買い物を利用するようになって、物流ニーズが拡大したため、多くの宅配便配達員が職場に復帰して業務を再開した」と分析した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年2月6日

これからは一人の市民として、自分を防御したいと思います。

2020-01-18 | いかなる差別もあってはならない
監察もみ消し”起訴されたチョ・グク前長官、
「結論ありきの捜査、法廷で反論する」

登録:2020-01-18 06:30 修正:2020-01-18 07:54

          

ユ・ジェス元釜山市経済副市長に対する監察をもみ消した疑惑と関連し、職権乱用権利行使妨害容疑を受けているチョ・グク前法務部長官が昨年12月27日午前、拘束令状が棄却されたことを受け、松坡区ソウル東部拘置所を出て車に向かっている//ハンギョレ新聞社

 ユ・ジェス元釜山市経済副市長に対する監察を中断した疑いで裁判にかけられたチョ・グク前法務部長官が、検察の捜査について「結論ありきの捜査」だとし、「法廷で一つひとつ反論する」と述べた。

 チョ前長官は17日、自分のフェイスブックに「法務部長官に指名されてから始まった、私を最終標的とする家族全体に対する検察の全面的な総力捜査が終了した」とし、感想を述べる書き込みを掲載した。同日、ソウル東部地検刑事6部(部長イ・ジョンソプ)は、(チョ前長官が)2017年大統領府民情首席秘書官に在職した当時、ユ・ジェス元釜山市経済副市長(当時金融委員会金融政策局長)に対する監察を中断した疑い(職権乱用)で、チョ前長官を在宅起訴した。

 チョ前長官は家族関連の容疑について、「家族関連の問題において、“公正の価値”が徹底して具現されなかったことについて、道徳的責任を痛感する」としながらも、「民情首席の地位を活用して利益を得た“権力型不正”の容疑はなかった」と主張した。監察もみ消しに関連した容疑については、「事後的に見て、民情首席としての政務的判断に欠ける部分もあった」としながらも、「監察終了後に報告を受け、相対的に軽い措置を決めたことが職権乱用だという公訴事実についても、その虚構性を明らかにする」と記した。

 チョ前長官は、検察の捜査を「結論ありきの捜査」だと規定し、「私の法的責任については、法廷で事実と法理に基づいて徹底的に争いたい」と記した。また、「長官在職当時は、検察捜査にいかなる介入もいかなる抗弁もせず、黙々と甘受したが、これからは一人の市民として自分を防御する」意向を示した。

 チョ前長官は「学者や民情首席、法務部長官として念願し進めてきた権力機関の改革が次々と実現しており、嬉しく思っているが、これを被告人として見守らなければならないと思うと、感情が交錯する」とし、「晴天の霹靂のように突きつけられた悲運だが、最後まで戦う」と書いた。

以下はチョ前長官の書き込みの前文。

 昨年12月31日、ソウル中央地検に続き、今日はソウル東部地検が私を起訴しました。法務部長官に指名されてから始まった、私を最終標的とする家族全体に対する検察の全面的な総力捜査が終わったのです。

 検察の控訴状を見ても、マスコミが大々的に報道した民情首席の地位を活用して利益を得た“権力型不正”の容疑はありません。しかし、家族に関する問題において、“公正の価値”が徹底して具現されなかったことが確認され、道徳的に責任を痛感しています。事後的に見て、民情首席として政務的判断に欠けた部分もありました。理由問わず、元民情首席であり、前法務部長官として、国民の皆様に申し訳なく思っており、国政運営に負担を招いた点を反省しています。

 しかし、私の法的責任については法廷で事実と法理に基づいて徹底的に争うつもりです。長官在職当時は検察捜査に対していかなる介入も、いかなる抗弁もせず、黙々と甘受しましたが、これからは一人の市民として、自分を防御したいと思います。

 “結論ありきの捜査”に対抗し、全面的に陳述拒否権を行使した疑いに対して、検察は私を被告人にしましたが、法廷で一つひとつ反論します。監察終了後、報告を受けて相対的に軽い措置を決めたのが職権乱用だという公訴事実に対しても、その虚構性を明らかにするつもりです。

 学者や民情首席、法務部長官として念願して進めてきた権力機関の改革が次々と実現しており、嬉しく思っていますが、これを被告人として見守らなければならないと思うと、感情が交錯します。晴天の霹靂のように突き付けられた悲運ですが、最後まで戦います。皆さんに申し訳なく、また感謝しております。

2020.1.17.チョ・グク
イム・ジェウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

金平一大使は金正恩委員長の父親である金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の異母弟だ。

2019-12-01 | いかなる差別もあってはならない

国家情報院「金正恩の叔父の金平一大使、北朝鮮に帰国完了」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.12.01 09:33

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金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の叔父に当たる金平一(キム・ピョンイル)駐チェコ北朝鮮大使(65)が帰国したことがわかった。

複数の国会情報委員が30日に明らかにしたところによると、徐薫(ソ・フン)国家情報院長は前日の情報委員会全体会議に出席し、金平一大使が最近北朝鮮に入国した事実を確認したと明らかにした。

これに先立ち国家情報院は先月4日の国会情報委員会国政監査で、「金平一大使が近く交替させられ帰国するものとみられる」と報告したと情報委員会野党幹事を務める自由韓国党の李恩宰(イ・ウンジェ)議員が会見で明らかにした。

金平一大使は金正恩委員長の父親である金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の異母弟だ。金日成(キム・イルソン)主席と金主席の2番目の夫人金聖愛(キム・ソンエ)氏の間に生まれた。

金平一大使は金日成主席に似た容貌と合理的な性格から金日成主席を継承する有力候補とされたが金正日国防委員長との権力闘争で押し出され、1988年にハンガリー大使として発令されてから海外を転々とし北朝鮮の権力核心から脱落していた。「白頭(ペクトゥ)血統」の小枝と分類され、海外で事実上の島流し状態だった。

金正恩委員長の叔母の夫張成沢(チャン・ソンテク)氏が処刑され、異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏が2017年マレーシアで暗殺された後、次の標的になるかもしれないという観測も出たことがある。

金平一大使が30年以上ぶりに帰国することになった背景をめぐり、彼が帰国しても構わないほど金正恩体制が安定したという解釈がある一方、対北朝鮮制裁長期化などで対内外的危機を感知した金正恩委員長が外部危険要素をあらかじめ遮断したという分析も出ている。

高齢者世帯の特性に合った所得保障体系を打ち立てるべきと指摘されている。

2019-10-10 | いかなる差別もあってはならない
低所得層の43%が「70歳以上の高齢者世帯」
登録:2019-10-10 05:50 修正:2019-10-10 07:25


統計庁所得別70歳以上世帯主の状況 
低所得層は2003年13.7%→2019年43.4%に 
世帯分化で世帯内の分配機能も弱まる 
基礎年金拡大など、状況に合わせた福祉政策が急務


          

          資料写真//ハンギョレ新聞社

 所得下位20%の低所得層世帯主のうち70歳以上の高齢者の割合が40%を超えたことが分かった。高齢化が急速に進み、労働市場の外に押し出された高齢者が低所得層に多く流れ込んだ結果だ。所得階層間の格差を縮めるためには、高齢者世帯の特性に合った所得保障体系を打ち立てるべきと指摘されている。

 9日、共に民主党のキム・ギョンヒョプ議員が統計庁の家計動向調査資料(2003~2019年)をもとに分析した所得別の世帯主の状況によると、所得下位20%に占める70歳以上の世帯主の割合は、今年第2四半期現在43.4%だった。全国の世帯を対象に統計を取り始めた2003年当初は13.7%で、16年間で29.7%ポイント増えた。一方、同期間の全世帯における70歳以上の世帯主の割合は3.6%から13.8%へと10.2%ポイント増えた。所得上位20%の中では、70歳以上の世帯主の割合は0.4%から2.6%へと2.2%ポイントしか増えていない。高齢化で増えた高齢者世帯主が低所得層に集中しているかたちだ。

 世帯当たりの平均就業者数も、所得下位20%では2003年の0.78人から2019年の0.68人へと0.1人減った。一方、所得上位20%では、同期間で1.82人から2.1人へと0.28人増えた。キム・ギョンヒョプ議員は「高齢化と就業可能人口の減少が所得最下位層に集中しており、その層に合わせた高齢者雇用拡大と雇用セーフティーネット強化のための財政拡大が急務」と語った。

 高齢者の貧困は高齢化にともなう1人世帯の増加など、世帯分化の影響も受ける。ソウル大学のク・インフェ教授(社会福祉学)は今月5月『保健福祉フォーラム』への寄稿文「所得保障分野の政策課題と推進戦略」において、「産業化が進むにつれ子と同居する高齢者の割合が大幅に減り、家族内の分配機能が弱体化した」とし、「私的扶養が急速に解体される過程で公的扶養体系が定着しなかったことが、高齢者の貧困の増加や所得不平等の拡大に影響を及ぼした」と分析している。ク教授は、高齢者の貧困の解消のため、高齢者対象の生計給付金から扶養義務者基準を廃止するなど基礎生活保障制度を改善し、基礎年金の拡大などの老後所得保障制度を強化する案などを提示している。これとともに、高齢者を実際に扶養する世帯に対する人的控除や勤労奨励金支給の強化なども政策案として挙げられている。
イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )