羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

バカラ

2009年12月04日 11時21分55秒 | Weblog
《 あなたは、あなたに、どのバカラを贈りますか 》
 十二個のオンザロック用のグラスが並んだ全面広告が、朝日新聞朝刊に掲載されている。
… ポリニャック シャトル ローハン パルメ ネプチューン シュノンソー ピカデリー …
 丸の内‘出光美術館’の途中にバカラショップを見つけた。思わず歩道に佇んだまま見とれた。お陰で美術館での待ち合わせに遅れてしまったことがある。
 透明なガラスにそれぞれ洗練されたカットが施されている。基本はあくまでもシンプル。かなり凝った意匠でもこれ以上は無理というところまで削りこんである。

 カラン カラン 氷を入れる。少なくとも冷蔵庫で作ったものではない。ましてコンビニで買ってきた氷ではない。おっとあの頃まだコンビニはなかった。
 切り出された氷。時に南極から運ばれた氷!? 琥珀色のウィスキーを注ぐとピシッピシッと音をたてる。徐にグラスをとって香りを嗅ぐがすぐには口をつけない。無音の時が流れる。
 二十数年前、肝硬変で亡くなった年の離れた知人は、数個のバカラを宝物にしていた。
《 あなたは、あなたに、どのバカラを贈りますか 》憎いね!
 酒税が高かった時代、ジョニ赤、ジョニ黒が贅沢だった。夢を砕くようだがジョニ黒は一本一万円していた。
「ほんとにお酒が好きだったあなた。五十代でも天寿をまっとうしたのよ」 
 広告を見ながら呟いた。
コメント
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