羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

『野口体操入門』 アクティブ新書 重版

2009年12月07日 14時12分41秒 | Weblog
 まだまだ夏の暑さが残る七年前の九月のことだった。
 自宅から一分もかからない所で、本に載せる写真撮影を行ったのは。
 撮影は佐治さん、モデルは翻訳家の常田景子さん。
 ほぼ一日がかりの撮影を終えて、お二人が肝臓癌を患っていたが切羽詰ってはいない父と話をしてくださった。
 その日以降、本つくりは着々とすすんだ。
 同時進行で父の病状は悪化の一途を辿った
 当時、私は、週に一回、茅ヶ崎の大学に通い、帰宅時には東京駅から二駅目の御茶ノ水で下車し、そのまま病院に泊り込む回数が次第に増えていった。
 地の利がよかった。岩波書店も近く、編集者の方が来てくださったり、私が出向いたりしながら十二月に校了に漕ぎ着けた。
 
 第一章には、父の病気や思い出を書いたのは、脱稿したとき既に残された時間は少ないことがわかっていたからだ。
 この年は、看病と大学の授業と朝日カルチャーのレッスンと家のことをこなしながら本を作った。
 
 父が息を引き取ったのは十二月十九日夕方のこと。
 残念なことに、出来上がった本を父に見てもらうことは叶わなかったが、納骨を行った四十九日法要には間に合って、お寺さんの配慮で父の位牌のそばに置かれていた。それから六年、昨日、九刷りが届いた。もしかするとあのときの読経は、本への入魂の儀であったかもしれない。不思議な感覚に囚われているが、ありがたいことです。
コメント
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