今日は、嬉しいメールをいただいた。
「この本は、とっても読みやすく、解りやすく、読ませる工夫がしてあるけれど、一筋縄ではいかない内容なので、ゆっくり熟読します」
見抜いてくださっている。
さらに、いただいた言葉の通りではないが、野口三千三は社会性が稀薄だったが、ここには野口体操の社会性を探る方向性が書き込まれているのではないか、というようなことも添えられていた。
実は、1998年秋、はじめて鴻上尚史さんにお目にかかった。
その後、翌年だったと思うが、『テアトロ』に鴻上さんと私の対談が掲載された。
「野口先生の思想と価値観を、世の中の片隅でもいいから、残しておきたいのです」
「羽鳥さん、それはムリです。片隅だったら、潰されます」
対談を終えて、オフレコでの会話である。
遡って、1975年、初めて野口三千三に出会った私は、それほど時間がたたないうちに‘野口体操の社会化’というテーマを持ったようだった。
実際には、没後になってから、ようやく行動になっていたと思うが、しかし、先生が亡くなる10年前にはじめた「野口三千三授業記録の会」で、記録を残していくことからすでに始まっていた。
「授業記録の会」で残した記録を生かすには、ある程度の社会的な認知がなされていなければ、残した意味が半減し、いやそれどころか記録が無に帰すると思えていた。そこでけして多いとはいえないが、いただいた仕事やマスコミとの関係をお断りすることなく続けていった。
しかし、未だに社会の常識の壁は厚い。
今回の本は、その意味からしても、本当は過激な内容も含まれているのだが。
「一筋縄ではいかない」
その言葉をいただいたことは、非常に嬉しい。
これまで5冊の単著共著を残してきたが、今回のものは社会性というテーマを隠し持ったはじめての本だ。一見、実用書で‘健康’と‘身体’を扱っているようでありながら、それだけではすまない問題を書いたつもりで、序の口だけれど。
しかし、果たして私が何となくのイメージとして持っている‘野口体操の社会化’を、探ることが徒労に終わるのではないだろうか、という漠然とした思いも抱きつつある。
それは思いがけずもらった電話による。
安易な形で権威に追随しないと思っていた人が、権威に弱い人だったということを知ってしまったことだった。
「今までのあなたのおっしゃていたことは、なんだったのか?」
一冊の本を世の中に出してみると、一皮剥けた‘本当の顔’が見えてくるものだ。
それは自分自身にも当てはまることで、実に恐ろしい。
没後十年、さて、これから始まる。
因みに、鴻上尚史さんとの対談は『テアトロ』1999年10月号№686ー【身体を考える】鴻上尚史対談シリーズ①野口体操ーです。
「この本は、とっても読みやすく、解りやすく、読ませる工夫がしてあるけれど、一筋縄ではいかない内容なので、ゆっくり熟読します」
見抜いてくださっている。
さらに、いただいた言葉の通りではないが、野口三千三は社会性が稀薄だったが、ここには野口体操の社会性を探る方向性が書き込まれているのではないか、というようなことも添えられていた。
実は、1998年秋、はじめて鴻上尚史さんにお目にかかった。
その後、翌年だったと思うが、『テアトロ』に鴻上さんと私の対談が掲載された。
「野口先生の思想と価値観を、世の中の片隅でもいいから、残しておきたいのです」
「羽鳥さん、それはムリです。片隅だったら、潰されます」
対談を終えて、オフレコでの会話である。
遡って、1975年、初めて野口三千三に出会った私は、それほど時間がたたないうちに‘野口体操の社会化’というテーマを持ったようだった。
実際には、没後になってから、ようやく行動になっていたと思うが、しかし、先生が亡くなる10年前にはじめた「野口三千三授業記録の会」で、記録を残していくことからすでに始まっていた。
「授業記録の会」で残した記録を生かすには、ある程度の社会的な認知がなされていなければ、残した意味が半減し、いやそれどころか記録が無に帰すると思えていた。そこでけして多いとはいえないが、いただいた仕事やマスコミとの関係をお断りすることなく続けていった。
しかし、未だに社会の常識の壁は厚い。
今回の本は、その意味からしても、本当は過激な内容も含まれているのだが。
「一筋縄ではいかない」
その言葉をいただいたことは、非常に嬉しい。
これまで5冊の単著共著を残してきたが、今回のものは社会性というテーマを隠し持ったはじめての本だ。一見、実用書で‘健康’と‘身体’を扱っているようでありながら、それだけではすまない問題を書いたつもりで、序の口だけれど。
しかし、果たして私が何となくのイメージとして持っている‘野口体操の社会化’を、探ることが徒労に終わるのではないだろうか、という漠然とした思いも抱きつつある。
それは思いがけずもらった電話による。
安易な形で権威に追随しないと思っていた人が、権威に弱い人だったということを知ってしまったことだった。
「今までのあなたのおっしゃていたことは、なんだったのか?」
一冊の本を世の中に出してみると、一皮剥けた‘本当の顔’が見えてくるものだ。
それは自分自身にも当てはまることで、実に恐ろしい。
没後十年、さて、これから始まる。
因みに、鴻上尚史さんとの対談は『テアトロ』1999年10月号№686ー【身体を考える】鴻上尚史対談シリーズ①野口体操ーです。