羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

象彦の手箱

2008年04月10日 19時22分32秒 | Weblog
 かれこれ7・8年前に、小学校時代からの親友からいただいた手箱を使う決心をした。
 彼女は日本ではじめて「デス・エデュケーション」を専攻し、ホスピスを紹介した女性だ。

 この写真の手箱は、京都の漆司「象彦」のものだ。
 ここは寛文元年(1661)創業で、三代目が白象と普賢菩薩を描いたものを菩提寺に奉納し、それが都人の評判をとったということで、この名前があるという。
 東京の支店は麹町は番町一丁目にあって、静かな佇まいの店に見事な漆工芸の品が置かれている。ほとんど見るだけで満足の世界だ。

 いただいた手箱は大まかに編んだ竹に漆の素朴さが残った名品である。
 象彦の製品としては、珍しく普段使いできる雰囲気のものだ。
 なんといっても漆の臭みはまったくしない。いただいたときからだ。
 そして漆の朱は、落着いていて身と蓋では少しだけ蓋の方が鮮やかな色に仕上げてある。この逸品をおいただけで、部屋の中の空気が変わるのだ。
 そしてなにより軽い。だが、しっかりしている。

 掃除の時にパソコン環境をきれいにしても、その状態が保たれるのは三日。
 そこで細かいものを入れておくのに、この手箱を思い出して、使わせてもらうことにした。
 勿体なくて、傍におけずしまいこんでいた。
 モノを新しくおろすのに、これほど悩むというのは、年のせいかしら?

 因みに、1661年は徳川家綱の時代。家綱は、家康・秀忠・家光に続く四代目の将軍。江戸期がようやく江戸時代となっていくとき。西洋では、23年後の1684年、バッハが誕生する。フムフム……!である。
コメント
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