
フェンダー・ムスタングがいちばん好きだった。
そのシェイプ。
少し小柄なところも、とても良かった。
だからまだ20代の初めごろ・・・・・あれはアメ村で働いてるくらいの時期だったかな。
ランブルフィッシュで使うために、新品のムスタングを買った。
7万くらいだったかな。思い切って、買ったんだ。
一人暮らしの、古着屋勤めの、食うや食わずの(←マジだって)貧乏暮らし・・だからもちろん、ローンを組んで。
でも、それは意外と「使えない」ギターだった。
後で聞くと、当時の、初期のフェンダージャパンのムスタングは評判悪いらしい。(出来が悪い、ってことか?)
そんなこと知らないし、フェンダーUSAの、オールドのムスタングなんて高くて買えなかった。倍くらいの値段だったかな。
俺が買ったのはフェンダー・ジャパンのムスタング。白くて、美しいギター。
何故使えなかったか、というと音が弱い感じがしたから。
だから、ランブルフィッシュではそれ以前から使っていたストラトキャスターを使い続けた。
ムスタングは、ランブルのワンマンライヴのときは一曲くらいで使ったけど、
あとは家で眺めていた。
あのとき、もし 倍くらいのお金を捻出して(どう足掻いても無理だったと思うが)、
オールドを買っていたらもしかしたら、
メイン・ギターとして使えるものが手に入ったのかな。
でも好きだったから、いいや。あれはあれでいいギターだった(と、日記には書いておこう)。
そうだ、「ばるぼら」の1997年の2ndアルバム「レイコとの夜」に収録されている「BQロック」の録音は、
そのムスタングを使った。ギターソロは3テイク録って、あとで「一番下手なテイク」を(自選で)採用した。
何しろ、ソロの途中でチューニングが微妙に狂っていく。滅茶苦茶、と言えば滅茶苦茶である。
・・・・・というような、とても愛着のあるギターだったのだが、
その後・・・・今から12年位前、正垣祐樹の家に入った空き巣狙いの泥棒に・・・・盗まれてしまった。
ひゅぅぅぅぅぅ(←風の音)。
それから、色々ありまして。
今年になって俺は
フェンダー・メキシコの「サイクロンⅡ」というギターを手に入れる。
これは見た目はほとんどムスタングで、
しかしスケールがミディアム・スケール(ギブソン・スケール)で、
ピックアップとピックアップセレクトスイッチがジャガー用のもの。
トレモロユニットはストラト用のシンクロナイズド、という
変態合体ギターなのだ。キャンディ・アップル・レッドのボディに、白いライン。
かっこいいし、便利そう・・・・と、わりに軽い気持ちで手に入れたのだが、
後になって気づく。これって、昔から(無意識で)探してた、
俺にとっての「理想のギター」なのではないか?と。
「サイクロン」は、ヤフオクなどで、他の個体も時々、見かけるのだけれど
「サイクロンⅡ」は、ヤフオクでも、楽器屋の店頭でも、ギター雑誌でも、見たことがない。「珍品」と言ってもいいだろう。
「他に誰も着ていない服」のように、ギターも、そういう要素って(俺にとっては)大事だ。
(ああ、20年前はほとんど誰も、シングル・ライダースなんて着てなかったんだぜ。)
ちゃんと、音も良い。
余りギターに詳しくない人には「ただのムスタング」に見えるみたいだけど、
それはそれでいい。何しろ俺は、ムスタングをこそ、愛していたのだ。
長年、欲しいと願っていた「使えるムスタング」。
当分はこれを使うから、いつかライヴに、実物を見に来ておくれよ。
追記
YOUTUBEにアップされてる、ランブルフィッシュの「ぼくらの世界」という曲の動画の、
終わり近くで、俺が、この話に出てくる「フェンダー・ジャパンの白いムスタング」を抱えてる場面が
あった。チラッとだけど。希少だ、レアだ、有難い。興味ない人も(?)ぜひぜひ、見て見てください。