3月3日、倉敷マスカットスタジアムでのオープン戦観戦を終え、中庄駅に戻る。午前中は晴れの天気だったが、試合途中からは雲が出て、傘を差すほどではないが小雨も降って来た。終盤には一部照明灯もついた。
この日は16000人ほどの観客が詰めかけたが、最寄りの中庄駅は一時入場制限をかけるほどの混雑だった。
今回は広島から新倉敷への「こだま」往復プランのため新倉敷まで向かうのだが、いったん倉敷で下車する。
この後は帰宅するだけなので、これも久しぶりとなる倉敷での一献としよう。時刻はもうすぐ17時、この時刻から開店する店なら飛び込みでも入れるだろう。
駅前のアーケード街をぶらつく中、入ったのは「鳥好」。「鳥好」と聞いて連想するのは、岡山駅前にある「ミシュラン居酒屋」。岡山のミシュラン居酒屋は「駅前本店」を名乗っているのだが、倉敷の「鳥好」はその系列なのか、暖簾分けの店なのか。こちらはこちらでのれんに「倉敷本店」と書かれている。まあ、そもそも「鳥好」で検索すると全国各地の店がヒットする。「好」という縁起の良い字を使うことで千客万来の願いも込めているのだろう。
倉敷の「鳥好」、だいぶ昔に一度入ったことがある。一般的なカウンターはなく、幅の広い長テーブルに腰掛ける。先客は常連らしき男性一人だけだったが、この後、予約が何組か入っているようだ。
メニューを見ると、2時間飲み放題1650円とある。コース限定でなく、1人でも選択可能。さらに、飲み放題専用のメニューがあるわけでなく、通常メニューに載っているものがそのまま飲み放題である。まあ、メニューに載っているもの自体が定番ものがほとんどで、日本酒の純米大吟醸や焼酎の高級ブランドがあるわけでもないが、生ビール、チューハイ、ハイボール、熱燗といった大衆的なもので楽しむには十分である。
最初に一番搾り(岡山だから)を注文すると、枝豆と冷奴がきた。これは突き出しなのか、一緒に注文した「Aセット」の一部か。
その「Aセット」は刺身、焼き鳥盛り合わせ、トリス・・もとい鳥酢。鳥酢は蒸し鶏と春雨、ネギ、玉ねぎをポン酢醬油と薬味で合わせたもので、ミシュラン居酒屋のほうの「鳥好」でも必ず注文する一品。値段もお手頃で、これこそ前菜、突き出し感覚でいただける。この鳥酢、てっきり「鳥好」の定番かと思っていたのだが、岡山近辺の大衆酒場の定番メニューだという。その発祥であり、一番の名物という店があろそうで、ならば一度訪ねてみたいものである。
他に単品としてシャコ酢を注文。飲み物は生ビールからチューハイ、そして香川・金毘羅さんの「金陵」と移る。
先客の常連らしき男性は、この前にマスカットスタジアムでのオープン戦を観戦していたようだ。まだ他の客がおらず、愛想のいい店の人もまだ余裕があってこの男性と会話する中、私も自然と話に加わった形である。
18時になると予約のグループや飛び込みの客が相次いで店に入り、店内も賑わうようになった。店の人も急に慌ただしくなった。その中で、牛すじ煮込みやめざしなど、これも大衆酒場らしい一品でちびちびやる。
よい心持になったところで店を後にする。当日一人の飛び込みでも1650円で飲み放題ができるというのは大きいなと思い、また倉敷で一献となれば訪ねたいと思う。ずらり並ぶ一品メニューはほんの一部しか口にできなかったし・・。
この後、新倉敷まで移動して19時02分発「こだま861号」に乗る。やって来たのは500系である。別に車両形式を意識して列車を選んでいるわけではないが、たまたま来たのが500系だと「おっ」と思う。かつてはJR西日本のエース、時速300キロを売りにして鳴り物入りで東海道新幹線でも快走した500系だが、その後の新車両の投入や、東海道のパターンダイヤにそぐわないとして山陽新幹線限定の運用となり、16両編成も8両編成に縮められ、「こだま」として細々と走るだけになった。
この500系、現在は6編成が運用されているが、2024年からはN700系に順次置き換えられるとのことで、2026年には2編成までになるという。この独特の車体が見られなくなる日もそう遠くないようだ・・・。