まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

「やくも」国鉄色リバイバル車両で出雲へ

2022年05月31日 | 旅行記F・中国

話は再び「やくも」国鉄色リバイバル車両の旅へ。

5月21日、岡山11時05分発の「やくも9号」に乗車する。この列車は昔の国鉄色で、「やくも」運行開始50年を記念して1編成がリバイバルとなった。出雲市~岡山を1日2往復する。

今回は指定席を確保。6両編成のうち、先頭1号車はグリーン車、2・3・6号車が指定席、4・5号車が自由席だ。特に混雑する時期でないこともあり、指定席は確保したが席には十分な余裕がある。ちなみに自由席も並ばずともゆったり着席できるくらいだった。撮り鉄が大勢押しかけることもあり、乗るほうも満員御礼なのかなと思ったが意外だった。なお、塗装は国鉄色で、車内のところどころに国鉄の名残もあるのだが、車内設備はあくまでJRになって改良されたものである。

その中であえて取ったのがこの席。車両中央部に、通路側の一人ぼっち席というのがある。構造上、空調ダクトが壁に設けられていて、そのでっぱりの分だけ席を空ける必要があるため、このような造りとなった。

もっとも、座るのは一人ぼっち席ではない。その後ろの席である。一人ぼっち席はあくまで通路側だし、ダクトにさえぎられて窓の外もよく見えない。逆にその後ろの席なら、前の空間があるぶん、私の短い足もゆっくり伸ばすことができる。これこそ「ゆったりやくも」の穴場だろう。ただ、前席背後のテーブルがなく、自席のひじ掛けの小さいものしかないので、ちょっと隣の席を拝借して一人ぼっち席背後のテーブルを使う。

「鉄道唱歌」のオルゴールが流れ、案内放送が流れる。まずは高速で走り、倉敷に到着。ここから伯備線に入る。大きくカーブを描くと、窓から先頭部分がちらりと見える。ここからは高梁川沿いの景色を楽しむ。

381系の大きな特徴は「自然振り子式」。カーブを通過する時に発生する遠心力を利用して車体を傾けることで、速度を保ったまま走行できる。他に「しなの」の中央線、「くろしお」の紀勢線で活躍したが、いずれもカーブが続く難所の区間で、スピードアップに貢献した。

一方、独特の揺れに気分が悪くなる人も結構いるそうで、洗面所にはエチケット袋も用意されている。

その後、「振り子式」の技術の向上が図られ、JR四国の気動車特急にも導入されている。ちなみに、381系からの置き換えとなる新型車両については、「車上型制御付き振り子式」というのが導入されるとあり、高速運転と乗り心地の両方を提供するとある。いずれ、新型車両と国鉄色がすれ違う日が来ることだろう。

備中高梁で下車する人が多く、ここから単線となりカーブも多くなる区間をかきわけて走る。

115系の湘南色も側線に停まる新見に到着。このところのJR西日本岡山地区は、「国鉄岡山」と言わんばかりに国鉄カラーを一つの商売ネタにしている。この「やくも」もそうだが、津山線を中心にキハ47の「ノスタルジー号」というのもある。この夏、「岡山ディスティネーションキャンペーン」が開かれるが、その中心にあるのは岡山地区の懐かしい鉄道のようだ。そうした層に焦点を合わせているのかな。キャンペーン内では津山線・因美線で「ノスタルジー号」を運行するほか、かつての急行「砂丘」、「鷲羽」を団体列車としてリバイバル運転する企画もある。「砂丘」、「鷲羽」の詳細は後日発表とあるが、タイミングが合えば乗ってみたいなと思う。

新見から先の伯備線の北側の区間は、単線ということもあってのんびり走るように見える。秘境駅の布原も通過する。

鳥取県に入ったところで昼食。これまで足を伸ばして、缶ビールやチューハイを開けて「飲み鉄」を楽しんでいたが(傍から見れば見苦しいおっさんだろうが)、食事は岡山駅で購入したにぎり寿司。その具材はサワラ、ままかり、黄ニラと岡山ならではのもの。黄ニラはシャキッと、少し鼻にツンと来る。

列車は分水嶺を過ぎて日野川に沿うようになり、その後も沿線の小さな駅を運転停車も含めて通過する。座席に身をゆだねて、車両の揺れと振り子に身を任せて進んでいく。

景色が開けて、右手にはうっすらとだが大山の姿を見る。

伯耆大山から山陰線に入り、米子に到着。列車としてはここで一区切りである。

ここからは山陰線の電化区間を走る。単線と複線が入り混じるところで、カーブは少ないので振り子を実感することはほとんどないのだが、車両が古いのか線路が今一つなのか、上下には結構揺れる。

松江を過ぎると宍道湖の眺めである。この日は天候もよく、湖面も穏やかである。その西にある宍道を過ぎる。木次線の分岐駅で、ちょうど備後落合行きの列車が停まっている。ロングシート1両の車内には空席があるように見えた。

ここまで来ると出雲市が近い。斐伊川の橋梁を渡り、3時間かけての国鉄色の旅もそろそろ終わりとなる。

14時12分、出雲市に到着。時間帯のせいか、出雲市に降り立った客はそれほど多くない。ただ、ここまで乗って来た記念に国鉄色に向けて多くのスマホやカメラが向けられる。やはり見ていて落ち着いた雰囲気を出している。

正面の案内幕が「やくも」から「回送」に変わる。この後、出雲市15時30分発の「やくも24号」として岡山に向かう。さすがに出雲大社には行けないが、駅前の「らんぷの湯」に浸かり、高架下の売店で出雲土産を購入した後で乗るくらいの時間はある。今回は片道乗車で満足したが、いずれ引退までに、国鉄色「やくも」での弾丸往復というのをやってもいいかな。

さて出雲市からどうするか・・・。

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