まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

『最長片道切符の旅』をめぐる机上旅行~第12日(宇都宮~千葉)

2020年05月10日 | 机上旅行

宮脇俊三の『最長片道切符の旅』(以後、『最長片道』)を42年後に疑似体験するとどのような旅程になるかの机上旅行。第11日目を終えて机上旅行は宇都宮泊。『最長片道』では宮脇氏は常磐線の我孫子まで進んでそのまま帰宅している。

さて机上旅行。宮脇氏のペースに追いつきたいところで宇都宮を6時30分に出発。餃子の街である宇都宮には朝から「餃子定食」を食べさせる店があるのだが、それはあきらめて先に進むことにする。まあ、餃子風味にさまざまにアレンジした加工食品や土産物もあるので、買い求めるのも面白い。

『最長片道』では急行「まつしま4号」で宇都宮は通過して、水戸線との乗り換えとなる小山まで進んでいる。宇都宮から小山までは新幹線で1駅だが、机上旅行ではルールに沿って現在「宇都宮線」の愛称がつく路線で進む。走るのは普通、快速のみだが、現在は「湘南新宿ライン」という運転系統ができていて、時刻表を見ると宇都宮発で埼玉、東京を通り越して横須賀線の逗子や、東海道線なら小田原に行くのもざらにある。中にはその先、静岡県に入って熱海、果ては伊東や沼津まで行く便もある。長距離の鈍行というのは今はほとんどなくなったが、新たな首都圏の輸送ネットワークである。それだけに、どこかの路線で人身事故でもあれば影響は広範囲に及んでしまうのだが。

小山からは水戸線で再び茨城県に入り、友部に到着。常磐線でも快速に乗って我孫子を目指す。1時間の乗車だからグリーン車に乗ってもいいだろう。

我孫子に到着。ここで『最長片道』の第12日の始まりに追いつく。宮脇氏はこの日は小学校2年生の娘さんを連れての1日である。学校の都合で休みになっていて、奥さんも所用があり、家においておけないので連れていけということである。私は子どもがいないのでその気持ちはわからないが、こういう時、親は子の扱いに手を焼くのではないかと思われる。文面からも時折そうした描写もあり、この章はちょっと雰囲気が変わっている。

この先は房総半島を一回り。我孫子といえば立ち食いそばの「弥生軒」が有名である。丼からはみ出るくらい大きな唐揚げが乗った唐揚げそばが看板商品。私もいただいたことがあるが、結構賛否分かれそうな一品である。また「弥生軒」は「裸の大将」の山下清が一時働いていたことでも知られている(どういう仕事をしていたのだろうか・・)。もっとも本人はたまたま働いていただけで、特に我孫子に思い入れがあったわけでもなかったようだが・・。

我孫子からの成田線は現在は完全に通勤路線であるが、『最長片道』の当時はまだのどかな雰囲気もあったのだろうか。そのイメージは、その時に宮脇氏の娘さんが「おしっこ」と言って宮脇氏が慌てるところにある。列車は通勤型車両でトイレがなく、かといって1本遅らせると後の行程がズタズタになる・・・と心配していたところ、途中の駅で行き違い停車。「ホームの縁から車両の継ぎ目へ向かって済ました」とあるが、現在なら間違いなく通報されるやろうな。

成田からは佐原、香取といったところを過ぎて銚子を目指す。このまま銚子に行ければいいのだが、一つ手前の松岸で成田線と総武本線が合流する。一筆書きのルールでは松岸で折り返さなければならない。現在、東京近郊区間は房総半島全域に広がっていて、いわゆる「大回りの旅」で回ることもできるのだが、終着駅の銚子には行けないことには変わりない。この先の銚子電鉄、犬吠埼と見たいところはあるが、数分後にやってくる列車で総武本線に入る。

この先成東、大網とこまめな乗り継ぎがあり、外房線に入る。『最長片道』では急行「外房1号」に乗っているが、2020年版でも特急「わかしお9号」に乗る。この辺りから房総、車窓にも海の雰囲気が漂うようになる。今はこの辺りの普通列車も通勤型車両になったが、乗り鉄としては房総半島一周というのは日帰りでもさまざまに楽しめるルートだと思う。大原からいすみ鉄道(『最長片道』当時は木原線)に乗れば国鉄型車両も健在だし、その先の小湊鉄道につなげるのもよい。

安房鴨川で外房線から内房線に乗り換える。ご当地の海の幸を使った駅弁が入手できればラッキーだ。ご当地といえば房総には近海の捕鯨を行っている和田浦があり、くじらを食べさせる店もある。『最長片道』のルートを追いかけてひたすら乗る旅でなければそうした楽しみもまたあるなと思いつつ・・。

『最長片道』でも午後になると娘さんも退屈を催したようで、当初は安房鴨川から千葉まで鈍行で乗り通す予定だったところ、途中の千倉でいったん下車して、後続の特急に乗ることにした。千倉は宮脇氏が海の家に来たことがあり、娘さんも臨海学校で来たばかりというので、タクシーでしばらく町を回る。2020年版は・・・そこまでは追いかけなくてもいいかなとそのまま乗ることにする。

私の場合は、かつて在籍していた旅サークルのオフ会を房総半島でやったことを思い出す。旅サークルは関西を中心に活動していたが、その時は東京在住だった私が幹事役をさせていただいた。初日に木更津から内房線で館山を訪問、野島埼灯台などを回り、特急型車両を使った臨時快速で千葉に戻り飲み会。翌日は五井から小湊鉄道~いすみ鉄道に乗るというものだった。下見の時は冬で野島埼から東京湾越しに富士山も見えたのだが、実際の会は春になってから。花を見るにはよかったが霞が立つ時季で、富士山も見えなかったのが残念だったのを覚えている。

・・・もう昔の話で、その頃の人たちとは現在つながっていないのだが、そんなことを思い出してみたりする。

木更津、袖ケ浦といったところを過ぎて千葉に近づく。『最長片道』では千葉から総武本線で西船橋(まだ京葉線はできていなかった)で向かい、東京の北部をぐるりと回って新宿で向かう予定にしていたが、娘さんもいることなのであきらめ、そのまま西船橋を通過して東京に向かっている。

2020年版の机上旅行もちょうど18時で千葉に着く。乗るだけならまだ時間はたっぷりあるが、私もここでこの日の行程を終える。千葉駅近辺にも房総の海の幸を出す店がいろいろあったはずで、そうしたところでの一杯を楽しもう・・・(何だかそればかり楽しんでいるようだが・・・)。

 

※『最長片道』のルート(第11日続き、第12日)

(第11日続き)小山14:02-(水戸線)-15:11友部15:20-(急行「まつしま4号」)-16:09我孫子 ※ここで途中下車し、帰宅。

(第12日)上野7:40-(常磐線・成田線直通 我孫子8:14)-成田8:59-(成田線)-10:23松岸10:35-(総武本線)-11:32成東11:36-(東金線)-11:57大網12:01-(急行「外房1号」)-13:35安房鴨川13:38-(内房線)-14:10千倉14:57-(特急「さざなみ10号」)-17:09東京 ※西船橋 通過

※もし行くならのルート(第12日)

宇都宮6:33-(宇都宮線)-7:00小山7:07-(水戸線)-8:09友部8:28-(常磐線)-9:28我孫子9:47-(成田線)-10:28成田10:41-(成田線)-11:53松岸11:58-(総武本線)-12:45成東12:48-(東金線)-13:05大網13:46-(特急「わかしお9号」)-14:52安房鴨川15:16-(内房線)-15:57館山16:16-(内房線)-18:11千葉

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