まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第12番「萩の寺」~新西国三十三所めぐり・16(西国七福神めぐりを懐かしむ)

2016年08月12日 | 新西国三十三所
新西国三十三所めぐりの今回は、豊中にある東光院萩の寺、そして川西の満願寺の2ヶ所を回る。それぞれ、曽根と雲雀丘花屋敷が最寄り駅ということで、言うなれば阪急宝塚線シリーズである。いずれも駅からのアクセスも近い。となれば、雲雀丘花屋敷からもう少し足を延ばして、こちらは西国2巡目として中山観音駅前の中山寺にも訪れることにする。

まずは阪急梅田から、宝塚線の雲雀丘花屋敷行きに乗る。行き先表示の「雲」と「花」の文字が大きいのが特徴である(余談だが、今回カメラをいわゆるコンデジの、それも小型のものに替えている。ブログでの写り具合はどうだろうか)。

高架駅の曽根に到着。目指す萩の寺は歩いて5分くらいのところで、最寄り駅の距離でいえば新西国の中で断然近いところにある。前回の福崎の金剛城寺が駅から4キロの歩きで、しかも寺の人が不在で朱印をいただけなかったことを思うと、今回は楽勝に感じる。たまにはこういう回があってもよい。

萩の寺を訪れるのは初めてではなく、2回目。1回目は2009年の正月である。この時のことをブログの記事で書いているのだが、今は亡き大和人さんとの「西国七福神めぐり」である。この西国七福神は、阪急宝塚線の開通にともない、沿線への参詣者、観光客誘致のために結成されたもので、元々中津にあった萩の寺も招聘の形で移転した。ちょうど毘沙門天も祀っていたということもあるのだろう。梅田から乗ると最初に曽根に来るため、七福神めぐりの第1番札所のような役割もある。

大和人さんと回った時は、私は本当にスタンプラリー感覚で七福神の「大福帳」にスタンプを押してもらって喜んでいたのだが、彼はきちんと朱印帳を持参して大事そうにいただいていたのを覚えている。あれから何年も経っているし、大和人さんが急逝したのも4年前の夏のことだが、今度は私が西国先達、それに新西国めぐり(おまけに四国めぐり)で訪ねることになるとは。この後訪ねる中山寺も西国七福神の一つで、今日は7つ全ては回らないとしても、彼の追悼も兼ねることにする。

萩の寺の門をくぐる。拝観料は入口の筒に入れる方式。新西国三十三所めぐりの作法を書いたしおりがあるのでいただく。般若心経の全文も入っている。

萩をはじめとした緑に囲まれた参道を歩く。門を入った時から癒し系の音楽が流れていて、西国七福神の唄だという。楽譜がお堂の壁に貼られている。宝塚歌劇と同じく、西国七福神発足の時に作られたのかな。歌詞も七番まである。

奥の本堂に行く。西国七福神の毘沙門天がメジャーだが、新西国の観音霊場としては、「こより十一面観音」が本尊である。こよりとは、あの紙のこより。南北朝時代、後醍醐天皇が亡くなった時に南朝の女官たちが天皇の菩提を弔うために法華経を書いた紙をこよりにして衣を作り、観音像に着せたとされている。その後、その観音像の行方もわからなかったそうだが、1984年に萩の寺で眠っていた観音像を修復に出したところ、こよりが出てきた。調べてみるとその時の像がこれだということで、新たにこよりの衣を作ってお祀りしたという。まあ、新西国は昭和のはじめに発足したが、その時はただの観音さんで、「こより」がついたのは30年ほど前のこと。

さて納経所はどこだったかと戻ると、本堂の途中から奥に分かれたところにあった。不動明王らしき石像があるが、これは不動明王ではなく、道了大権現という。室町時代の妙覚という禅僧が小田原の大雄山で修行して、天狗に化身したのだとか。豊臣秀吉の小田原攻めで吉祥を得たことから大坂に勧請され、道了信仰というのがあったそうだ。これも、萩の寺の豊中移転にともない一緒に来た。

・・・それにしても、中津から豊中に移転て・・・前に来た時は全然知らなかったが、沿線開発、沿線振興のためとして、まるまる移転してしまう寺というのもなかなかないだろう。その上で、境内に墓地を確保して、ちょうどお盆の墓参りや供養に来た人たちの対応もしている。

で、ここでは朱印も無事いただいたが、書かれている文字は「薬師如来」。あれ、「チーム薬師」はここにいたのか?

・・・これがどうもいたようだ。

西国七福神の毘沙門天、新西国のこより十一面観音、秀吉からの道了大権現と来て、最後は薬師如来で落とす・・・。大阪らしいというか、まあいろんな仏が集まったスポットで、今では駅の近所、周りの住宅地にも溶け込んだ風情でいいのかなと思う。上に挙げた以外にも、あごなし地蔵やスリランカから来た釈迦像、北大路魯山人の観音像もあり、さまざまな句碑と合わせて小さな境内にギュッと詰め込まれているので、面白いところではある。

次は雲雀丘花屋敷に向けて、再び各駅停車にて・・・・。
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