まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

会津絵ろうそくまつり・ゆきほたる

2007年02月15日 | 旅行記B・東北

会津若松駅でパンフレットを見つけた。「幽玄の時の流れが其処にある。 第8回会津絵ろうそくまつり~ゆきほたる~」。会津の伝統工芸品である絵ろうそくを、市のシンボル鶴ヶ城はじめ市内のあらゆるところに灯すというものである。この日11日までのイベントということで、これは夜の楽しみとして観に行くことにしよう。

というわけで、その前に夕食である。市内をあちこち回った結果、市役所の近くに「会津名物桜肉専門店 吉し多」というのを発見。桜肉といえば馬の肉。よし、今夜は珍しく馬で攻めることにするか。

P2110967カウンターには有名人の色紙も多数飾られている。有名な店なのだろう。ここでまずはいわゆる馬刺しであるところの「桜さしみ」を、会津の地酒「花春」で味わう。東京の居酒屋メニューにも馬刺しはよく見かけるが、いかにも「今冷凍庫から出してきました」というものばかり。それを、魚をさばくかのように目の前で大将が肉塊をさばいて出してくれる。やわらかくて味わいが広がる。馬刺しって、こんなに旨いもんだ。今日はあいにくレバとかハツなどの内蔵モノは入っていなかったのだが、その分、カルビ焼きに冬期限定の桜鍋をいただく。他の店はどうか知らないが、こちらの桜鍋はスキヤキとしゃぶしゃぶの間というもの。鍋に入った汁や野菜の具材、そして生卵はスキヤキのものだが、大将の言葉では馬の肉はあまり煮込まず、しゃぶしゃぶしてちょっと色がつくくらいが旨いのだとか。いやいいねこれは。

P2110969ただ思うに、牛肉や豚肉、鶏肉は「その地のブランド」というのがあるが、馬の肉はどうなのだろうか。会津に馬肉を大量に産出する牧場があるのだろうか。大将と差し向かいなので自然と会話をするようになったのでふとそのことを尋ねたが、詳しいことは教えてもらえなかった。「まあ、北海道とか、いろいろだね」と。まあ、旨ければ北海道だろうが外国産だろうがいいんだけどね。

その足で、鶴ヶ城に向かう。店に入る前は雪の気配もなかったのだが、ここにきてしんしんと降っている。北出丸から場内に入る。

P2110986_1P2110977 すると、そこには幽玄としたほのかな灯りの世界。デザインがほどこされた筒やら、陶器のような器やらに包まれたろうそくが、しずかに辺りを照らしている。

P2111007目を上げれば幻想的に照らされた鶴ヶ城の天守閣。電飾で飾られたライトアップよりも、自然の火の灯りのほうが何だか暖かく感じられる。そのろうそくの灯を絶やさないように、スタッフのジャンパーを着た人たちが目を配って灯をついで回る。酒の酔いのせいもあって、ろうそくの灯がにじんで見える。

さて、パンフレットによれば「ナスカコンサート」というのが行われるそうだ。ナスカといえば「君の中で僕の中で」「金町娘」という作品のあるユニットである。「金町」ということで思いっきり葛飾区の匂いがするのだが、会津でコンサートとはねえ・・・、と思いつつ、本丸前に上がると、テントの中にはデュオの姿が。どうやら思っていたナスカとは違うようだ。

P2110990_1そこで唄われたのが、この「会津絵ろうそくまつり」のテーマソングという「ゆきほたる」。

ぼくたちはゆきほたる 冬のともしび 地上に降りた 北国の星

ぼくたちはゆきほたる 冬のともしび あなたの胸の ちいさな明かり

ボーカルを担当する女性と、ギターを奏でコーラスする男性のハーモニーが絶妙で、雪こそ少ないが冬のまつりのムードを感じさせる。前のほうにいたのでそれだけストレートに感情が伝わってきたといいうのかな。このナスカというデュオ、千代竜太さんと本田華奈子さんという二人組だが、どうやらこの場にいた中で彼らを知らないのは私くらいのようで、地元会津を中心に活動し、地元のFM放送やテレビにもよく出ているとか。ボーカルの本田さんは会津民謡もよくするとか。こういう「ご当地もの」に出会えるのもうれしいものだ。しんしんと降る雪の中、彼らの歌声で心温まる一時。

P2110992_13月には会津でライブを行うとかで、ミニコンサート後にはチケットの販売が行われた。残念ながら私は行けないので、彼らのCD「紅立葵」を購入。歌詞カードに2人の直筆サインを入れてもらった。先ほどのナスカが頭にあったものだから、「ナスカって、ほら最近いるでしょ?」と聞くと、そこは商売からか千代さんのほうが「あ、知ってますよ。バンドの方でしょ」と。そこで、「彼らより全然いいよ。コンサートには行けないけど、これからも頑張ってね」と声をかける。まあ、メジャーデビューというよりは、会津という地に根をおろして、会津の声、ハートというものを伝えてくれる、そんなデュオであってほしいなと勝手に思う。

P2110987本丸前では「ゆきほたる」の花火も上がり、いよいよ絵ろうそくまつりも終盤に向かう。天守閣のライトアップが消え、本当にろうそくの灯りが主役になる。雪は広場に薄く広がる程度なのだが、ムードはよい。ただこの暗さで写真を撮るのは非常に難しい。芝生を仕切る柵を三脚代わりにする。鶴ヶ城自体には2、3回来たことがあるが、こうした夜の風情は初めて。今はこういう魅力的なイベントがあるんだ。先の「大内宿雪まつり」ともども、また訪れたいものである。

雪にちなんだ一日を楽しんだ最後の締めは、会津若松駅すぐの「日帰り温泉 富士の湯」へ。入浴料が350円。タオル・バスタオルに館内着のセットが200円の追加。合計550円で各種浴槽を楽しめる。会津に数多くある温泉とはちょいと趣旨が異なるが、やはり最後は風呂で暖まるのが一番。

翌日は早起きして、往復きっぷの折り返し点である喜多方を目指す・・・。(続く)

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