カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

おいしくなくてもいい生活

2016-12-15 | 境界線

 テレビで80年代のコマーシャルのことをやっていた。川崎徹の一連の商品連呼CM。仲畑貴志の実感共感CM、ときて、やはり最後は糸井重里だった。
 僕にとっての糸井さんといえば、もちろんコピーライターというのは知っていたが、NHKのYOUという番組で司会をしているときに熱心に見ていた人だ。青島幸男の娘の青島美幸と共にやっていた。とても仲好さそうで良かった。
 その有名になったコピーはもちろん知っていて、「不思議大好き」は、ずいぶん話題になっていた。これが凄いのか! という空気だけは感じていて、その後もっとすごいといわれた「おいしい生活」は、なんとなく地味だな、と思った。
 それというのも仕方が無くて、関東ではウディ・アレンが出演して話題になったらしいが、長崎の地方の町に住む僕にはそれをタイムリーで見ることが出来なかった。西友は隣町にその後できたが、たぶんそんなCMじゃなかったのではないか(忘れたが)。
 それにその時も当然批判があったようだが、西武百貨店のコピーとして、まずまったく意味が分からない。仲間であるはずの仲畑氏もこれには批判していて、僕は後追いながら、まったくその通りだと思った。フェリーニの映画に「甘い生活」という名作があるが、実は最初はそのモジリなんだろうと勝手に思っていた。しかし多くの人は、「おいしい」と関係のない「生活」が結びつく驚きが凄いのだと言った。そうなんだろうか、という驚きは、実は当時もあんまり無かった。ちょっと手が届くくらいカッコいいのかもしれないとは、後追いのコピーライターには思われたのかもしれないが。
 でも僕は糸井さんのことはずっとファンで、特に鋭いという感覚というよりも、ちょっとした当たり前のことを言うのが好きだった。清志郎のことが好きなのも一緒だったし。なんとなく人のいいお兄さんということの方が大きかったかもしれない。本人も最先端おしゃれというような事とは別に、面白がるようなところがあったんじゃないか。だから政治や学問や映画などの分野においては時折的外れなことを言っていて、それはそれで良かったと思う。このようなタレントで商売もできて生きていけてるということでも、かなり凄いことには違いないのだから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする