中国やインドの人口が巨大すぎて霞んでしまうためか、あまり話題にあがらないが、世界人口増の背景にあって、その増え方の主流に躍り出ているのは、アフリカ諸国である。既に日本のように人口が一億を超えている国が、ナイジェリア、エチオピア、エジプトと三か国もある。予測ではコンゴ、タンザニア、ニジェールなどなど、複数の国々が将来的には1億以上の人口を擁し、日本を超えるのは確実だろうと考えられている。
中国のような人口大国と違うのは、いまだに出生率が高いことである。それでも出生率は年々下がってきており、全世界的にはいずれ人口減少へと転換することにはなるだろうけれど、それは100年後なのかどうか。だからそれまでの間、多少の鈍化を経ながら増え続けていく代表に、ナイジェリアがある。ナイジェリアでは、一人の女性が平均で7人もの子供を産んでいるとされる。それでも近年は減る傾向になり、徐々に減って5.5人になると推計されているが、それでも2.1を割り込む国がほとんどの中、驚異の数字と言っていい。2050年までには3億7700万人に達するとされ、アメリカの十分の一の国土に、北米の人々より多くの人が住むようになる計算になる。
本来人が増えること自体は、経済発展にも寄与し、望ましいことである。日本の奇跡の戦後復興も、日本の人口の多さが最大の要因だったともされている。そうではあるのだが、ナイジェリアの爆発的な人口増には、かなりの問題が潜んでいると言われる。残念ながらナイジェリアは最貧国で、毎年餓死者を出している。穀物などの輸入も3兆円を超えており、食糧事情が内政を圧迫しているほどだ。人々が貧しいのなら手を差し伸べる手立てはあるが、治安も悪く、せっかく農業従事者が穀物を生産しても、いわゆる成功した農家や農業法人に勤める職員などが、年間350人も誘拐されるか殺されている。貧困が悪の連鎖を呼び、数千人の人が何らかの形で誘拐されているともいう。せっかく国内で豊かになろうとしても、貧困が足を引っ張りそれを許さない。一流大学を出て、例えば医者になったとしても、多くの若者はこの国では働かず、外国へ飛び出してしまう。必要とされる人間はいなくなり、飢えた大衆は人から奪うことで生き延びようとしているのである。
そういう面があろうとも、もちろんこの国を何とかしようと働いている人は大勢いる。そうして新しく生まれる人々で、しばらくは若々しい国として発展しようとしているのである。これからの地球の人口の推移を見るとき、間違いなくナイジェリアの人々が、将来の地球の人間像となっていくのであろう。